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第4話 求る力、与うる力

第三位階中位

 



 蛇の死体は、コアが回収した。


 さっきまであった頭や肉はしゅぴんと消え、後には血だけが残っている。



「蛇はどこ行ったんだ?」

『私の保存空間内です。さっきの切り取った石もここに入ってますよ』



 そんなのあるのか。俺も欲しいな。



『そこなら私の手を加える事が出来ますので。解体した後、使えそうな素材以外はジェリーの餌にしましょう』



 解体機能も付いてるのか。それとジェリー、何でも食えるのか? 存外どれもゴミじゃないな。



生体解析アナライズ属性抽出エレメントアブソーブ、DP変換等の機能を増設すればより出来る事が多くなるので、DPに余裕が出来れば是非検討してください』

「へぇ、便利そうだな?」

『どれも1万DPからなので、まだまだ先の話ですが』



 そりゃ遠い話だぜ……。


 やっぱりDPを得る為にも魔物を生成しなくちゃな。


 気疲れして座り込んでたのを止めにして、手慰みににぎにぎしていたシャドーウォーカーを地面に下ろす。


 さて、と話し掛ける前に、コアが切り出した。



『先の襲撃で、マスターが寝込みを襲われればG級にすら負けかねない事が判明してしまいました』

「……面目ねぇ」

『と言う訳で、およそ2キロ以上の重さに反応する感圧トラップを仕掛けましょう』



 防衛力の向上が急務である。





 コアの提案を採用し、迷宮の入り口に落とし穴を設置した。


 これは、2キロ以上の重さに反応し、がぱっと開くタイプの落とし穴だ。

 魔力充填式で、十分な魔力が貯まると閉まる仕様らしい。


 貯まるまでは開きっぱと言う訳だ。


 横幅はチビ達が通れる程度の道を残し、縦幅はおよそ3メートルにも及ぶ大きな罠。

 これは俺が外に出ないと言う前提と、罠が開きっぱの時に飛び越えて来れない様にする為である。


 中の深さはおおよそ10メートル程度。


 俺は鉄の槍を設置するモンだと思っていたが、コアが言うには竹槍くらいで良いとか。

 実際、鉄の槍は一本1DPだが、竹の槍はぶっといのが5本で1DP。高さがある為威力も十分なのだとか。


 そんな訳で落とし穴は完成した。


 消費DPは52P。高いのか安いのかいまいち分からんが、罠としてはかなり初見殺しな罠だと思う。


 念には念を入れてとの事で、罠はもう2個仕掛けた。


 1個は、落とし穴トラップと同じ物を広間の入り口に。

 もう1個は、18Pと安価ながらも再使用に落とし穴の10倍は時間が掛かるギロチン罠。それを中間地点に設置した。



 これで防衛力や抑止力は十分だろうとサポーター様が仰ったので、言う通り十分なのだろう。



 防衛力を整えたので、次にやったのは魔物の生産だ。


 60Pを使って池側の壁を除外、90Pで池を10倍に増やし、ペルタを3000匹放った。

 奴等にはとにかく増えて貰って、DPを生産して貰う。


 逆側にも同様にスペースを作り、回収した石を再利用する事で費用を抑え、10Pでふわふわした土を配置、そこにバド・ユレイドを100匹。プチモームを300匹放った。

 素早く進化すると言うイモムシに期待しての事だ。頼むから畑から出るなよ。


 続けて、外側に向けてネズミ穴を10本程通し、その内部に幾らかのスペースを生成。通路に繋げたり等して、そこへピッドを1000匹放つ。

 増える事も当然期待しているが、それよりも小さな穴から入って来る虫やらを集団でボコせる様な仕様だ。

 ヘビもギリギリ入れる様になっており、小動物と迷宮の気に誘われて首を突っ込むと、進むも戻るも出来ない様になる罠である。


 少し崩落の心配もしたが、迷宮の壁は補強されているので、強力な魔獣に攻撃されたりしない限りは崩落しないとの事だった。


 それから、正面から入って来た虫対策でジェリーを100匹広間に放ち、結構使えるっぽいシャドーウォーカーを1000匹、此方は形が自在なのでネズミ穴を使える利点がある。


 そして、特に何かに使う訳ではないが、幼児程度の力を持つ小人戦力としてピグマリオンを500配備した。


 罠も含め、締めて6,382Pのお買い上げだ。


 残りは3,606P。結構な出費だが今後も湯水の様に使わざるを得ないだろう。



 そうこうあれこれやってる内に、日は大分登って来た。


 さて、次はどうすっかね……って所で気付いた。



「……そういや、腹が減らねえな」

『先程も言いましたが、迷宮内にいれば必要なエネルギーは供給されます。それはマスターも例外ではありません』



 確かに、餌が不要って言ってたな。


 それなら食わなくてもいいか。



『……ですが、食事自体は凡ゆる面で好影響を与えるので、余裕があれば食べさせた方が良いと思われます。それに、食事は精神を安定させる効果があります。マスターが心身共に健康である事は我々の発展に大きな影響を与えると考えられるので、マスターは是非食事を行なってください』

「……じゃあ食っとこうかな」



 そこまで言うなら食べるか。イマイチピンと来ないけどな。


 作業的にもキリがいいし、今食おう。



「えーと、どうすれば?」

『メニューを可視化します』

「おお」



 ヴォンと現れた半透明のウインドウには、DP1で生成可能な料理が幾らか並んでいた。



「……これ全部1Pなのか……お、寿司、刺身もある、海鮮丼か……うーん、悩ましい」



 ……携帯食もあるな。干物の類いもある。

 迷宮内でエネルギー補給がある。なら、迷宮外ではそれが無いだろうし、こう言った物は結構重要なんじゃ無いか?

 流石に外に出て活動する事が一切無いなんて事はないだろうし。



『マスターは海鮮が好きなのですね』

「魚が好きなんだよ。貝はちっと苦手、あとタコイカもあんまり食べないかな」



 魚卵系もちょっと苦手なんだよなぁ。



『要望があれば多少聞けますが、如何しますか?』

「海鮮丼、マグロ尽くしでネギトロ多め」



 シュピンと音と光を放ち、注文通りの品。の3倍はありそうなデカ盛り丼が出現した。

 えー、容器はプラスチックか? あと醤油も付いてる。箸は普通に割り箸だな。



『どうぞお召し上がりください』

「頂きまーす」



 ……これが1DPとなると、物の値段とDPはイコールにはならないんだな。そこら辺の基準はどうなってるんだろうか?





 一人では食べきれなかったが、コアが残りはシャドーウォーカーとピッドに与えましょうと言うので無駄にはならなかった。

 容器はジェリーに処分させると言うので、近場でうぞうぞしていたジェリーに任せた。


 残飯処理班は優秀である。



 美味い飯を食いながら色々考えたが、やっぱり魔物生産やら防衛力やらの必要量は相手次第だから、結局の所俺が幾ら頭を働かせても分かる事じゃない。

 何らかの前提となる情報と根拠を持っているであろうサポーター様が良いと言うならそれで良いのだ。


 じゃあ次に俺がやるべき事は何か? 考えれば考えるだに多々沸いてくるが、なによりも当初の目的を優先すべきだろう。


 それはつまり……。



「……さて、魔物と罠はこれで良いとしてだ。支配に付いてそろそろ詳しく教えて貰おうじゃないか」

『それに関してはもう少々お待ち下さい。地脈を通じての情報収集がもう少しで終わりますので』

「あぁ、そうなの? じゃあ待つわ」



 そんな事してたんか。有能かな? 敵戦力のソースはそこから出てたんだろうな。


 さて、じゃあ……。



「……DPで今買える物とか見せて欲しいんだけど」

『どうぞご自由にご覧ください』



 提示されたウインドウを覗く。


 やっぱり、何が出来るかを把握しないといけないよな。

 さてさて、何があるかなぁと。



「ふむふむ」



 表示されていたのは、食事系。さっき見た奴だった。


 ……え、なに? 食いしん坊だと思われてんの、俺?


 んん? 何か桃だけやけにバリエーションあるんだが。1DPから1000DPまでのがあるんだが? ナニコレ、桃推しなの?



「……えーと、食事系以外のは」

『タブからメニューを選択してください』

「あー、成る程。パソコンみたいなのか」



 上の方にあったタブからメニューに戻ると、収益表みたいなのが表示された。


 えーと、地脈から日間100DP。予測生産量が7DP。合計107DP。

 それから、収益が蛇ので8P分入って、出費は6,383P。


 6000+1名で7DPしか生産出来ないのに、蛇1匹殺しただけで8DP。

 やっぱり外敵を排除する方がずっと稼げるんだな。


 続いて、表示されている2つの項目。『機能』と『アイテム』からアイテムを選択した。


 出てきたのは、『食事』『道具』『武装』。


 食事はもう見たので、先ずは道具から見てみる。



「んー。大体の物は買えるな」



 ロープやら網やら杭やらから、イス、テーブル、食器。それに布団、棚、花瓶。

 蝋燭、松明、油、水。ボードゲームにリュックに水筒にと、何でもござれである。


 幾らか分類されているそれらを見た感じ、大きい物と……鉱物系は必要DPが高いと分かった。

 密度が高いからだろうか? それとも価値が関係しているのか?



 少しの疑問を残しつつも、上の方にあった魔法道具と言うタブを開いた。



「ん?」



 そこにあったの、高額商品のオンパレード。


 勿論1DPや10DPのもあるが……マジック・バック、一、十、百、千、万……100万DP? 嘘だろ。

 蛇10万匹以上狩らないと駄目なんか。やばいな。


 他にもサブ・コアとか、生命の聖杯とか、清水の宝玉とか、何か凄そうな物がいっぱいある。


 ……なんか欲しくなりそうだから手の届かない所は見ない様にしよう。


 ソート機能を使い、ギリギリ手の届く100DPまでの品物だけを見る。



「むむむ」



 大雑把に分ければ、種類はざっと5つに分けられる。


 1つは、投げたら爆発するらしい傷石。破石。爆石なる石。

 火、風、土、水の4属性が売っている。

 取引なのか生成なのか分からんが、売っていると言う解釈で良いだろう。



 2つ目は、魔法のスクロール。


 1DPだと、小さな火を起こす『イグニッション』。

 ちょっとした風を起こす『ブリーズ』。

 土を出す『ソイル』。

 少しの水を出す『ウォーター』。

 暫く光る球体を出せる『ライト』。

 精神に作用する黒い霧を出せる『ブラックミスト』。

 その場に半透明の盾を出す『マナシールド』。


 10DPだと、爆発する火の玉を飛ばす『ファイアーボール』。

 風の刃を飛ばす『ウインドカッター』。

 石を飛ばすらしい『ストーンシュート』。

 水流を放つ『ウォーターストリーム』。

 光線を放つ『シャイニーレイ』。

 治癒し辛い傷を与える『カースドスカー』。

 半透明の鎧を得られるらしい『マナアーマー』。


 100だと、炎を噴射する『フレイムブラスター』。

 小さなタツマキとカマイタチを放つ『トルネードスライサー』。

 落とし穴と石槍を出現させる『ピットドロップ』。

 渦巻く水に閉じ込める『ヴォルテクスジェイル』。

 光の剣が現れて自動的に戦うらしい『ルーセントソード』。

 黒い鎖が現れて敵を縛る『クリミナルチェイン』。

 半透明の壁が出るらしい『マナウォール』。

 雷が放たれる『サンダーボルト』。

 植物を急成長させる『グロウブースト』。

 無数の刃を飛ばすらしい『ブレイドマーチ』。

 冷たい風を吹き付ける『コールドストーム』。



 3つ目は、魔法薬系、初級、下級、中級のポーション。


 4つ目は、属性石や属性結晶なる、魔力の塊? らしい物。こっちは4属性が安めで、闇と光とか言う強そうなのが高めだ。


 そして最後に、属性石等を消費する事でずっと使える魔道具の類いだ。

 値段は100DPからで、『給水の水袋』やら『採光の指輪』やら、大した物は無い感じだった。



 続いて武装。


 例によって高額商品を排除した。光の剣とか炎の戦斧とか雷の刀とか何か凄そうなのがあったが、使えもしないのだから見ない。見たい。でも見ない。


 あったのは、木製の武器が1DPで数本購入可。鉄製武器が1DPのナイフから5DPの戦斧まで。

 10代には何も無く、ちょうど100で『命中の矢』と言う少しのホーミング性を持つらしい矢があった。


 防具は、たくさんあったが殆ど服。まともな防具は、革鎧飛んでチェインメイル、ハーフプレート、フルプレートくらい。

 大した物は無いな。


 ふと思い至って制服で検索を掛けて見たら……出た。



「……うっそだろ?」

『どうかしましたか?』

「いや、これ、え? これ……え?」

『? ……!?』



 それがあったのは、100万DPの所だった。


 それも、セットじゃない。クツで100万。ズボンで100万。パンツとインナーで100万。シャツで100万。ブレザーで100万。合計500万である。



『これが主の慈悲です!』

「……確かに慈悲を感じる」



 これが真の神のお小遣いか。


 効果は、汚れを浄化する『清浄化』。壊れても直る『自動修復』。暑さや寒さに耐性が付く『耐暑』『耐寒』。防御力が上がるらしい『防護』。怪我を早く治す『治癒力向上』。精神の安定を促す『精神耐性』。


 何か色々付いてて凄いなコレ……あれ? 俺が比較的落ち着いてるのってコレのおかげじゃね?


 ま、まぁ良いや。神に祈っておこう。



「おお、神よ、501万DPもくれてありがとうございます。もう祈ったらもっとくれないかななんて思いません」

『そうです。不敬な思考をやめた事でマスターは一段と主へ近付きました。主に感謝を捧げるのです』

「へいへいありがとうありがとう」

『……』



 ほんとマヂ感謝。目が無いのにジト目を感じる。


 ……こうなる事を見越して敢えて教えなかった。なんてのも神ならあり得るか?

 ま、感謝しない訳ではないから取り敢えず五体投地しておこう。


 へへー。ありがとうございますっ、ありがとうございますっ!



『情報収集が終わりました。寝っ転がって無いでちゃんと聞いてください』

「待ってたぜ」



 機能の確認は後回しだ。



 

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― 新着の感想 ―
[一言] 桃推しが強いのでユキが作ったシステムなのか、それとも作者さんが桃が好きなのか、どちらなのだろうと思いました。
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