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第6話 鳥狩り

第四位階下位

 



 横に大きく広がり、少々の時間を掛けて始めたローラー作戦。キョーの巣は直ぐに見つかった。


 険しい山肌から生える数少ない木、その中でもやや高い位置にある大木に、キョーは草や枝を突き刺して、巨大なマンションを形成していた。


 そんなキョー数百匹の巣窟に、クァォン・ゲンギュがいない事を確認してから、複数ある出入り口を塞いで一斉に殲滅する。

 キョーやキョーキヨーに関わらず、1人1体を担当にして影のナイフで首を切り落とす。


 それが終わり次第、再利用出来ない様に木を破壊した。


 そう言った事を手早く10度程繰り返し、1,000匹程のキョーを亡き者にした時点で、時間切れだ。


 8万DP程度の額を稼いで、仮拠点に帰還した。


 割と広めに作られた、入り口が石で塞がった穴蔵の仮拠点、そこにシャドー達がきっちりおさまったのを確認してから、俺とクロは平原の第3拠点に帰還する。


 まぁ、昼は長いし、一応一晩経ったウェンティ達に顔を出しておいた方が良いだろうと言う判断だ。





 昨日に引き続き、柔らかいベッドの上でポヨンポヨンしていたウェンティ達。


 顔を出すと寄って来て、ピーチクパーチク何かを言う。

 良い奴と言うのは分かった。


 取り敢えず年齢とかも分からないし、来る奴来る奴頭を撫で、そのゴワゴワした緑の髪を摩る。


 良く頑張ったなと、後は任せておけと、コア経由で声掛けもして、それとなく慰問をすると中には泣き出してしまう者もいて、その傾向はより強い戦士達等にこそ多かった。

 多分、強いからこそ、もう後がない事を良く理解していたのだろう。


 部族の滅びを少なくとも延命して貰えた事が、それ程嬉しかったか。


 何はともあれウェンティ達の慰問を済ませ、次に行なったのは、山の様なキョーの死骸を見せる事。

 まぁ、見せると言ってもドールによる血生臭い青空細断作業を見て貰った訳だが。


 コアによると、ウェンティ達は思った通りの驚きを見せ、これならばと期待を胸に抱いた様子との事で、おそらく思惑通りに行っただろう。


 キョーの素材は、魔石を水纏錬磨法の材料に、それ以外はゲルコアやスライム、ウォンクル、ノルメリオ等、あちこちの餌に使う。



 そんなこんなでウェンティ達向けのパフォーマンスを済ませた後は、朝食だ。


 青空朝食をしていると、寄ってきたのはウェンティ。多分……おそらく……最初の子だ。


 何を言うでもなく俺の横に腰掛け、持ってきた自分の飯を手掴みで食う。

 なんだこいつと思いつつ、その頭をわさわさ撫でてやると、彼女はニカっと微笑んだ。


 俺もニッと笑い返し、朝食を食べ始める。



 懐かれたらしい。



 そんな事を思いつつ、にょんと生えたクロを抱きかかえながらコアの報告を聞く。



『今朝の報告は二件です』

「ほう」

『先ずは進化ですが、チェス・リトルポーン達がチェス・ポーンに進化しました』

「良し……!」



 やや控えめに喜びを表現しつつ朝食を貪る。


 これで実質D級のクイーンが2,226体分だ。戦力としては十分に期待出来るぞ……!


 とは言え、あくまでも期待出来るのは陸上戦のみで、残念ながらクァォン・ゲンギュ戦には期待出来ない。



『続けまして、峡谷の名称ですが、無数の磔になった生き物達を哀れんで、《夜鳴きの峡谷》と名付けました』

「ふむ」



 まぁ、確かに丑三つ時に泣いてそうな仕打ちと言えばその通りだ。

 干からびたのもあれば腐ったのもぶら下がってたからな。


 ありゃあ放っておくと、サジェカントと同様に生態系をぶっ壊すタイプの脅威だ。



『報告は以上です』

「おう」





 朝食を食い終え、各種訓練を終えた。


 やはり、クァォン・ゲンギュは銃撃で撃ち落とせればそれが1番だが、ナイフの間合いならともかく距離が離れれば命中率は否応無く下がる。


 今回は射撃訓練を少し多めにしてみたが、所詮は焼け石に水にしかならない。

 少なくとも今回に向けては無駄な努力である。



 俺が訓練をしていた一方で、避難してきたウェンティ達も色々と活動をしていた。

 小川で服を洗ってる奴等がいたり、錆びた短槍を振り回して修練してる奴がいたり、今は休む時だとずっとベッドに張り付いている奴がいたりと様々である。


 まぁ、何かしないと行けないと言う焦りは理解出来るし、その中で安静にしておかないと行けない連中がしっかり休めているのは、戦士見習いの俺的には評価に値する。


 まぁ、今回に限ってはウェンティ達に戦場に立って貰う気は無いので、気にせず過ごして欲しい所だ。



 そんなこんなで、またウェンティの最初の子と青空昼食を頂き、修行の再開。


 今度は魔力コントロールに時間を割いていると、その報告は届いた。



『マスター、元『風乙女達の安息地』にキョー達による襲撃が発生しました』

「状況は!」

『敵の総数はおよそ1,000体、ウェンティの姿が見えない為か周辺の木々にとまり、様子を伺っています』



 まぁ、襲う相手がいなければそんな物か。



「仮拠点はどうだ?」

『問題ありません』



 そりゃそうか。何せ仮拠点は出入り口が石で塞がっている、ほんの僅かな隙間を通れるシャドー限定拠点だからな。


 キョーじゃどう足掻いても出入り出来ない。


 はたから見たら、広場に大きな円形の石が置いてある様にしか見えない。



 キョー達は暫し風乙女達の安息地を見回った後、また自分達の巣へと戻っていった様である。





 日が十分に沈んだ夜。


 2度目のローラー作戦を開始した。



 既に10の巣を滅ぼしているが、今日は何処まで行けるやら。


 そんな不安と共に始まったローラー作戦は、極めて順当に進み、1つ、また1つとキョーの巣窟を滅ぼして行く。


 狩りは昨日よりも手際良く進み、夜も更けた中頃には8つの巣を滅ぼして、遂にその一報は届いた。



『クァォン・ゲンギュを発見した様です』

「場所は?」

『此処より南西、向かって左斜め前方です』



 コアの案内に従い、現場へ急行する。


 見えてきたのは、一際に大きな一本の木。



『木一本を丸ごと一つの巣としている様で、他のキョーやキョーキヨーはいません』

「王の寝室って訳か」



 護衛が居ないのは好都合。


 仕掛けるなら、今か?



『ですがどうやら、魔法を使うだけあり、魔力感知に優れている様で、先程のシャドーの接近で目を覚ましてしまった模様です』

「成る程……」



 寝てた状態から魔力感知で目を覚ますって、どんだけ察知能力が高いんだ。

 野生の感みたいなのもあるかもしれないが……まったく、易々とは行かせてくれないもんだな。



「……取り敢えず峡谷内のキョーやキョーキヨーの殲滅を優先しよう」

『承知しました』



 その間に、何か作戦を練らないとな。



 

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