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第3話 里へ向かう

第四位階下位

 



 そう、100万DPだ。


 それだけあれば色んな事が出来るが、特にやっておくべきは蘇生枠の解放である。

 そりゃそうだ。残機が増える。


 ただし、コアに曰く、支配領域外で死亡した場合は、遺体の早期回収が不可欠だとか。


 ともあれ、蘇生枠は早めに取っておきたいラインである。


 だが、今回取ったのは蘇生枠じゃ無い。



 支配領域から出て、野山を駆ける。


 上ではウェンティが樹上を跳び、俺よりかなり前を進んでくれている為、俺もそこそこの速度を保ちながら進めている。

 持ち物は、装備とポーションとスクロールのセット。


 いつも通りの制服で、おまけと言えばクロが付いているくらい。いや、クロはいつも憑いてるからおまけじゃないか。


 おまけと言えば——



「コア、どうだ?」

『通信状況は良好です』



 ——コアがついて来ている事。



 そう、サブコアの作成である。


 その機能は、単にコアと通信出来ると言う点でも十分なのに、更なる機能が、それも幾つも付いている。



 先ずは、アイテムの収納だ。


 規模は拡張可能であり、初期は最初のコアと同じくらいのアイテム収納が付いている。

 停止空間の様な超便利機能は付いていないが、取り敢えずゴルボルズ10匹はしまえるので、収納に困る事はそうそう無いだろう。


 出し入れに関しては、なんか大気中の魔力濃度や敵対者の活性度とかで問題が生じる場合もあるとかだが、概ね半径5メートルの円形で展開可能だ。



 次に重要な念話機能。


 これも5メートル圏内であれば、言葉の分からない対象との対話が可能だ。

 最悪クロでも荷運びは出来る為、今回の主目的である。



 次に観測機能。


 こちらもアイテムの出し入れと同じで5メートル圏内であれば、相手の大雑把なランクを観測可能となっている。

 まぁ、ネズミくらいの小型サイズで強いのと意図せず接近した時くらいは警告に使えるだろう。



 最後に、一部DPを使った機能。


 今出来るのは、活心に、魔物生産、その進化、一部アイテム生成、料理、それから、支配領域外に出て少しだけしか使えない、短距離転移による支配領域への帰還。これはなんか座標と転移魔法陣の兼ね合いらしく、長距離転移機能を解放すれば長距離転移分の転移帰還が出来るとか。


 一応工事も出来るが5メートル圏内と言う但し書きが付く為、色々現実的では無い。


 尚、DPの持ち運び可能量は100万DPまでとの事だったので、取り敢えず持てるだけは持って来る事とした。



 そんな訳で、朝から駆ける事暫く。


 登れぬ崖をクロでスライドしまくったりと、多少のズルをして辿り着いた山の高所、そこは、割と悲惨だった。



 昼前に見えて来たのは、正に未開の部族の集落と言った様子の、ウェンティの里。


 生木と布と石を組み合わせた家と言うには些かしょぼい布のテントや、木の葉のベッド等……穴蔵に住んでいたゴブリンの方が未だマシと言った様相を呈していた。


 奇異の視線に晒される中、そんな集落から少し進み、見えて来たのはちょっとした大型の自然物だった。

 大きな岩が幾つか組み合わさり、下の方にちょっとした規模の雨風が凌そうな空間がある。


 一見すると直ぐにでも倒壊しそうに見えるが、きっと何百年もこのままなのだろう。


 うわぁ、すげぇーとびくびくしながらそこに入り込むと、直ぐに見えて来たのは、怪我人達と子供達。

 俺は直ぐに怪我人に駆け寄った。


 ウェンティ達が何やらぴーぴーきーきー言っているのを他所に症状を見る。



「これは……」



 そこそこの深さで袈裟に切り裂かれた様な傷跡。

 今は、処置がちゃんとしてないからか、化膿して酷い事になっている。



「中級で足りるか?」

『可能です。先ずは飲ませて内側の回復を優先しましょう』

「おう」



 ぶっかけようとしていた手を止めて、怪我したウェンティを引き起こす。


 その間に情報が伝わっていたか、怪我人は特に抵抗する様子もなく、痛そうに上体を起こした。



「さぁ、これを」



 意味の無い声掛けをして、取り出した中級ポーションを口元に寄せると、怪我人は直ぐに意図を汲んで、ポーションをペロリと舐めた。

 苦く無い甘い奴だから大丈夫だぞ。


 そうと思ったのも束の間、怪我人は直ぐにポーションを飲み始め、間も無く傷が癒えて、動ける様になる。


 そう言った形で片端から怪我人にポーションを飲ませまくっていると、1番の重症者の所に着いた。


 身体中傷だらけで、他何人かと同じ様に骨折もしている。

 古傷も幾らか見られ、歴戦の戦士だと分かった。



『目元の傷が深いですね、上級ポーションが必要かと』

「実行」

『飲ませてください』



 落ちて来た小瓶をキャッチして、荒い呼吸の彼女を抱き起こし、上級の甘い奴を飲ませる。



「これで大丈夫か?」

『ほぼ問題ありませんが、内部に入って来た病原とは自力で戦わねばなりません。暫し安静が必要かと』

「ふむ」



 まぁ、妥当だな。





 その後何人かの治療を進め、次に向かった場所では軽傷者の治療。


 それが終わり次第ウェンティ達の餌やりだ。全力でゴマをすって行く。



 皿に山盛り乗せられた普通の唐揚げを用意し、寄ってくる欠食達にポーションと共に配って行く。

 これで健康問題も解決だ。



 臨時の唐揚げポーション屋で里中のウェンティが尾羽をぶち広げるのを見届け、一段落した所で、それは起きた。



「キョー! クァ!」

「キョーキヨークァキー!」

「ゲンギュ!」

『どうやら、敵の襲撃の様です、撤退しますか?』

「……いや」



 味方が一応いる現状、俺が引く訳にはいかないでしょ。



 

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