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第18話 蛇を狩る

第四位階下位

 



 突発的なボス戦を無事乗り越え、そこはかとなく自信を身に付ける。


 敵はC級の脅威だが、仕掛ける側は此方だ。


 後は、稼いだイニシアチブを維持する為に、いつもの作戦で行く。

 そう、ルー先生突撃作戦である。



『およそ1時間に一度で十分な効果が見込めるかと』

「それをおおよそ30時間だな」

『幸いルーセントソードには、マスターが訓練に使う程余裕がありますから、追加で1万DP程度で十分です』

「実行だ」





 作戦開始から数時間。


 結果は、思っていた形とは違う形で現れ始めていた。



『東エリアに生息していた魔物達が、その他のエリアへ放射状に進出しています』

「ほう」

『おそらく、中央で起きているエリアボスとルーセントソードの戦いから逃れる為だと思われます』



 成る程。確かに、あんなデカブツが暴れてるなら、弱い奴等は逃げ出す筈だ。


 流石はルー先生、派手にやってくれているらしい。


 殲滅部隊を派遣したい所だが、万が一もある。


 此処は、少しでも勝率を上げる為、俺達が出るべきだろう。



「コア、クロとカースドドールと狩りに行って来る。ナビを頼む」

『承知しました』



 このチームなら、万が一が起きてもどうにか逃げ切れるだろう。

 最悪の場合でも、5倍クリミナルチェインと5倍ルーセントソードを使えば、逃げるくらいの時間は稼げる筈だ。





 東エリアから逃げてきたのは、今まで目にした事のない種だった。



「ツインヘッドバイパーね」

『E級です。それに加えてD-級、サードヘッドバイパーも1体観測されています』



 蛇なら何度か見かけているが、頭が2つ以上あるのは、どうやら壮大湿地東エリアにのみ生息していたらしい。


 取り急ぎ現場に駆けつけ、それを観察する。


 見上げたツインヘッドバイパーは、割と大蛇だった。



 てっきり頭が2つになった、ただの蛇だと思ったら、大振りなサージナイフの刃渡りでギリギリのサイズ。

 俺の腕より太い。流石はE級の魔物と言った所だ。


 まぁ、とは言えである。



「クロ」



 そう声を掛けると、早速ツインヘッドバイパーを影が拘束。


 ヒョイっと影から出ると、全く抵抗できないツインヘッドバイパーの首を切断、2つの頭を裂いて、撃破した。



「こんなもんか」

『頭を裂かずに放置すると再生し、ツインヘッドバイパーとビッグバイパーになります』

「増えるのか」



 そこ等へん魂とかどうなってるんだろうな。

 多分ツインヘッドに戻る方に元の魂があるんだろうが、無い方は新しく魂が発生するのか? するんだろうな。生命って不思議だ。



「さぁ次に行こう」

『ナビゲートします』





 次々と蛇やツインヘッドバイパーを始末して回り、遂にサードヘッドバイパーと遭遇した。


 首1本が俺の胴体よりも太く、流石はD級と言ったサイズ感。


 早速とばかりに、背後から奇襲、サージナイフを起動した。


 肥大化した刃により、サードヘッドの首を根本から切断。

 するとサードヘッドは、全ての首が一息に逃走を開始した。



「マジか!」



 逃すのは面倒臭い!


 そう思ったのも束の間、即座にクロのシャドーバインドとクロ自身、それからカースドドールのダークチェインが3つの頭を拘束した。


 俺も即座に飛び掛かり、先ず真ん中の頭にマナバレットを3発接射した。

 続けて左には、サージナイフを起動して頭を刎ねる様に切り裂き、右の首には逆手に握り変えたサージナイフを突き立てて起動し、頭を左右に引き裂いた。


 さぁ、どうだ!



『右は沈黙、真ん中も間も無く死にますが、左は生存』

「頑丈だな」



 頭だけになっても生きているそれに、クロがシャドーバインドを掛けて口を塞ぐ。

 俺は直ぐにそれへ駆け寄ると、頭にマナキャスターを押し付け、3発接射した。



『サードヘッドバイパー、絶命を確認しました』

「ふぅ」



 中々に魔力を喰われたのは、流石D級と言った所。


 クロも消耗しているだろうし、一旦仮拠点に戻って瞑想するとしよう。



「仮拠に戻る、ナビを頼む」

『承りました。左方向へ進んでください』



 クロに潜り、ナビに従い仮拠点へ向かう。



『この時間ですと、夜まで待ってから狩りに向かった方が良いでしょう』

「やっぱりそうなるか」



 瞑想をして魔力を回復すると、ちょうど日暮れになる。

 それならば、少し待って進化したシャドー達の力を借りて、敵を一掃する方が良い。


 その間に敵が東エリアに戻る可能性もあるが……まぁ、ルー先生が夜を徹して大暴れしてくれれば逃げて来る方が多いか。





 夜を待つ。


 本来恐ろしい筈の暗闇は、何時だって俺達の味方だった。


 早めの夕飯を摂り、日が沈んでからも暫し待つと、その時は来た。



『マスター、シャドー系9,000。到着しました』

「ご苦労様」



 そう声を掛けると、無数のシャドーウォーカーに分身してわちゃついていたクロが元に戻り、狭い穴蔵内でくるくる踊っていたカースドドールも俺の近くに来る。



「さぁ、行こう」

『殲滅を開始します』



 クロに潜る。


 すると、周囲にシャドー達の気配が感じられた。


 コレは……?


 俺が首を傾げていると、コアの注釈が入った。



『今までは影に擬態して地面を這って進んでいましたが、今は全員がシャドーウォークやシャドーバインドを習得している為、同じシャドーウォーク中の者同士感知する事が出来ます』

「成る程」



 流石コア。聞く前に答えてくれる優秀さよ。


 シャドー達は流れる様に移動を開始し、その途中で随時合体して行く。



「そういや、今合体するとどんな効果があるんだ?」

『合体の精度や強度が向上しており、単純なパワーやスピードの増大、手数の増加が期待出来ます』

「するとしないどっちが良い?」

『個の質が高い方が安定しますし、数で此方が圧倒している以上、今はする方が良いかと。ストーカーとチーフには互換性があります』

「ふむ」



 まぁ、敵はあまり群れていない以上、接敵する時は此方の方が圧倒的に数が多い。


 夜は長いし、態々分散してリスクを背負いながら戦うよりも、合体して確実に潰して行く方が安全で効率的だろう。


 とは言えやはり心配は心配なので、初戦はしっかり見て行く。



 先ず最初に遭遇したのは、F級の毒蛇。

 袋小路の森にいた蛇よりも大きく、俺の腕くらいはある。


 それへ合体シャドーチーフが3人掛かり、つまり9人掛かりで掴み掛かり、鋭い闇のナイフが蛇を細断する。

 最後に頭をザクっと切り裂き、蛇は藻屑となって消失した。


 ペペペルタやウォンクル達の餌行きだ。



 次に遭遇したのはE級、ツインヘッドバイパー。


 今度は18人掛かりで大蛇を取り押さえ、ツインヘッドバイパーすらも細断する。

 ストーカーとチーフは同じE級なので、然もありなんと言う結果だ。


 勿論此方も、ペペペルタやウォンクル達の餌行きである。



 接敵出来る数を間接的に増やす事が出来る為、コレならD級のサードヘッドバイパーも取り押さえて切り刻む事が出来るだろう。


 ただし、消耗が無い訳ではない。取り押さえるのだって全力だ。


 あまり連続戦闘はさせず、常に全力で事に当たれる様、休憩しながらの戦闘を意識しよう。



 

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