(13/13)王子様のように
つまりこの話は
『バーーーカ花沢!!』という話なのです。
『ザマァ花沢!!!』という話なのです。どんなに先を読んだところでゴリラのパワーには勝てないんですよ。だって霊長類の王、ゴリラなんだから。
翌日が大変だった。
花沢光彦は朝からオウムのように同じ答弁を繰り返した。
「そうなんです。中原さんと付き合ってるんです。2年前からなんです。隠してたとかじゃなくて。すみません」
取引先から電話があってわざわざ確認された時は本当に参った。『仕事しろよ!!』と心から思った。
終業ベルがなると花沢はカバンを持ってゆっくり中原紗莉菜の元まで歩いてきた。
「紗莉菜」
呼びかける。
「仕事終わった? 一緒に帰ろう?」
そしてまるで舞踏会で踊りを申し込む王子様のように紗莉菜に向かって右手を差し出した。
「うん!」と手を取ろうとして紗莉菜はあることに気づき慌てた。
「あっでも今、会社だから『プライベートな時間』ではないんじゃないの?」
一瞬ミツヒコの顔が面映い感じになった。
「ふん!」
明後日の方向を見る。片眉をあげた。
「まぁ。もう終業ベルなったし。プライベートなんじゃないの?」
「うん! わかった!!」
中原紗莉菜の顔が輝く。急いでパソコンを消す。机の上はグチャグチャのままでミツヒコの手を取る。
「ミツヒコ! 帰ろう!!」
そして2人で手を繋いで会社を出た。大日本帝国産業の従業員は全員。それをあっ気にとられて見送った。
(終)
お読みいただきありがとうございました!
☆☆コメディ【文芸】日間67位☆☆
【次回作】は『彼女の恋心』
お付き合い丸2年半の中原さんと花沢くんの話です。
豪快で勇猛果敢。大変優秀なセールスレディ中原紗莉菜だが『恋愛』は超下手くそ。
親切で気の利く男、会社同期の花沢光彦に恋をするけど、なかなかうまく対応できない。
男なんてみんなぶん殴っておけばいいんじゃないの!?
不器用ガールが何とか恋を頑張ろうとする話です。
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