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庵字の秘密基地  作者: 庵字
スーパー戦隊最大の異端児『未来戦隊タイムレンジャー』
9/14

9.タイムロボ出動!

 物語終盤、一度倒された怪人が巨大化して復活。戦隊も巨大ロボを呼び出して応戦します。スーパー戦隊おなじみの展開であり、『タイムレンジャー』においてもその流れは踏襲されています。ですが、この一連の流れに対して、こんな疑問を持ったことのある方はいらっしゃらないでしょうか。「どうして戦隊ロボと巨大化した怪人のサイズが同じなんだろう?」と。

「何を当たり前のことを書いているんだ」(「どっちも人間が中に入る着ぐるみなんだから、同じサイズになるのは当たり前だろ」は、なしで 笑)と言われるかもしれませんが、これって結構凄いことだと思うのです。前もってどちらかの陣営が「相手の巨大化した怪人(巨大ロボ)のサイズはこれくらいだから、それに対抗しうるサイズで巨大ロボ(怪人の巨大化システム)を作ろう」と準備できれば話は別ですが、まったく偶然遭遇した、あるいは相手に巨大戦用兵器が存在することを知らないまま戦闘に突入した両陣営の、繰り出した巨大戦用兵器のサイズが申し合わせたようにピタリと一致する、という現象は特異なことではないかと思うのです。

 例えば、『機動戦士ガンダム』の世界に『伝説巨神イデオン』の敵であるバッフ・クランが存在していて、地球に攻めてきたとします。地球側は当然、自分たちの兵器である「モビルスーツ」で対抗し、バッフ・クラン側も自陣営のロボット兵器である「重機動メカ」を繰り出します。シリーズにもよりますが、モビルスーツの平均的な全高は18メートル程度で、対する重機動メカは、50~80メートルサイズから、中には100メートルを超える全高に達するものすらあります。戦場で重機動メカと相まみえたモビルスーツのパイロットは、「うわっ! でかっ!」と驚愕するでしょう(漫画家の長谷川裕一が描いた、『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』という漫画もありました)。

 同じ惑星で同じ生物が使う兵器であれば、惑星の重力や物理法則、兵器を運用する生物の生体などの諸条件は同じため、まったく別個に開発した兵器でも大きさや設計思想が似通っていて当然でしょうが(どの国がどの時代に作っても、戦車や戦闘機の大きさが著しく変わることはありません)、スーパー戦隊が戦う敵は、別の星なんてものはかわいいほうで、別の次元から来ただとか、人知科学の及ばない、悪魔や精霊などのオカルトを力の源としているものもいるほどですし、戦隊側にもそれは言えます。異なる文化、文明、土地、場合によっては物理法則すら異なる環境のもと開発された兵器が、たまたま同サイズに収まっていたというのは、やはり奇跡的に凄いことなのではないかと思うのです。「ぴったりじゃん!」と、その場で意気投合して和解が成立しても不思議ではありません(ちなみに、スーパー戦隊シリーズのひとつ『五星戦隊ダイレンジャー』には、敵味方どちらにも属さない第三勢力として、戦隊ロボと巨大化怪人のサイズを遙かに凌駕する超巨大メカが出てきます)。

 さて、そこへ来て「タイムロボ」です。ここまで書いたら、もうお分かりですね。そう、タイムロボは巨大化した囚人を鎮圧するために開発された武装ですから、そのサイズは、圧縮冷凍の反動でリバウンドした囚人の大きさから逆算して設計されたものなのです。相手の巨大兵器のサイズがあらかじめ分かっていたパターン、ということですね。

 そうすると、「前もって敵のサイズが分かるのであれば、もっと大きなロボを用意して圧倒したらよいのでは?」という疑問も出てくるでしょうが、そこはやはり、タイムロボの目的が相手(巨大化した囚人)を殲滅することではなく、再び圧縮冷凍して「逮捕」することにある点が大きく関係してくるでしょう。過度な戦力を持て余して囚人を殺してしまったら何にもなりません。「時間保護局は何をやっているんだ!」と批判を受けるでしょうし、そもそも、そんな強大な武装を開発、所持する許可、予算は出ない可能性もあります。加えて、囚人がリバウンド、巨大化するとしたなら(作中でもそうであったように)ほとんどが市街地においてであり、極力街に被害を出さないように囚人を鎮圧するとなれば、相手と同じサイズで白兵戦を仕掛けるのがベターではないかと思います。

 ちなみに、タイムロボには、地上戦・白兵戦用の「タイムロボα(アルファ)」と、空中戦・射撃戦用の「タイムロボβ(ベータ)」という2種類の形体があり、圧縮冷凍能力を持つのはαだけです(後に支援メカ「タイムシャドウ」と合体することで、βでも圧縮冷凍が可能になりますが)。この「飛び道具のない(誤射などによる第三者被害を出す可能性が少ない)αでしか圧縮冷凍できない」ということに、タイムロボ開発のコンセプトが現れているように思います。

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