7.敵が関東近郊でしか活動しないわけ
もう(日本の)特撮のお約束というか、「特撮あるある」としてすっかりおなじみなものに、「世界征服などの壮大な目標を掲げる悪の組織が、どういうわけだか日本の関東近郊でしか活動しない」というものがあります。この理由は誰がどう考えたって明白で、「スケジュールと予算の問題」以外の何ものでもありません。ですが『タイムレンジャー』は、このメタ問題にも作中で二段階に渡った理由を付けています。
まず、第一段階の理由は、敵組織「ロンダーズファミリー」の本拠地が関東近郊の森の中にあることです。30世紀から時間移動した先がたまたまそこだったわけです。ロンダーズファミリーの本拠地は元刑務所の建物で移動不可能なため、そこに落ち着くしかなかったのです。
そして、第二の理由。これが実に振るっていて、この点は『タイムレンジャー』が他の戦隊と一線を画する大きな理由のひとつにも繋がっています。ロンダーズファミリーが日本の関東近郊でしか活動していない理由。それは「金儲けにちょうどいいから」なのです。そう、金儲け。タイムレンジャーの敵組織、ロンダーズファミリーには、世界征服だとか、全人類抹殺だとかいった壮大な目的はありません。そもそもドルネロが20世紀にやってきた目的が、「30世紀では商売がやりにくくなったから」という、いわゆる「高飛び」なわけです。ドルネロ以下、ロンダーズファミリーの構成員たちにとって、経済大国日本の首都圏という大都会は、恐喝、詐欺、窃盗といった「シノギ」を挙げるのに格好の土地です。わざわざ他の場所へ出向く理由がありません。タイムレンジャーの怪人たちが、東京を中心とした関東一円にしか姿を見せないのは当たり前の話なのです。




