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刹那の風景 第三章  作者: 緑青・薄浅黄
『 苺の花 : 尊重と愛情 』

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『 ロイールの贖い 』

【ウィルキス3の月23日:アルト】


 ヤトさんに呼ばれて、緊張しながらセイル達がヤトさんの前へと移動して

話しを聞いている。そこにロイールとジャネットとエミリアは入っていない。


セイル達が、3人は自分達を止めようとして一緒に行動していただけで

3人はずっと自分達を説得しようとしていたと告げ、ロイール達が

罰を受けないようにヤトさんにお願いしていた。


ヤトさんが、最初からロイール達に罰を与える気がなかったのか

セイル達や大先生達が頼んだから受け入れたのかはわからないけれど

ロイール達は、ヤトさんに呼ばれることはなかったが

リオウさんから、そういう時は必ず大人に知らせなさいと

きつく言われて終わりになった。


リオウさんが、ポケットから魔道具を取り出して

起動させてから口を開く。


そして、クロージャ達はリオウさんにお説教されていた。

内容は、オリエさんのお説教とそう変わらない。


あの魔道具は多分、こちら側の声が向こうへと届かないように

したのだと思う。黒達が何かを話しあっていたし他の人達も

色々と片付け始めていたから。


ミッシェルの方を見ると、人差し指を唇に当てながら

リオウさんの話を聞いている。ロイールは俯いていて

何を考えているのかはわからない。今日の朝からロイールの様子が

少しおかしかったから気になるけれど、皆の前で聞いてもいいのかが

わからなかったから、あとでこっそり聞こうと思っている。


ジャネットとエミリアは、心配そうにセイル達を見つめていた。


俺は師匠の横に座って、セイル達の話が終わるのを待っている。

正直退屈で仕方がない。オリエさんが一度話していたんだから

もうそれ以上言わなくてもいいと思うのだけど……。


リオウさんが、ワイアット達を叱るのは

リオウさんにとって、ワイアット達は大切な人に入るからなんだろう。


そんなことを考えて、そっと師匠の横顔を見る。


『師匠ー』


隣に座っている師匠を心話で呼ぶと

師匠が紅い瞳を俺に向けてから答えてくれる。


『どうしたの?』


髪の色が変わっても瞳の色が変わっても

師匠の優しい雰囲気は変わらない。


『アルト?』


師匠と話がしたいのに、何を話していいのかわからない。

今までの事とか。昨日の事とか……。


なにかこう……色々ありすぎて。

頭の中も心の中も、いっぱい詰まってるような感じで

うまく言葉にできなくてちょっと苛々する。


それに

一番言いたい言葉が、素直に言えない。


師匠がそんな俺を見て、困ったように笑って

俺の頭を数回軽く叩く。


『これからもね

 すれ違う事はきっとあると思うんだ』


『すれ違う?』


師匠が何のことを言っているのか

よくわからなくて、首をかしげる。


『うん。僕はアルトに嫌われたのかと思っていたから』


「嫌ってない!!

 俺が師匠を嫌うわけがない!!」


師匠が言った言葉に対して、思わず声を出して答えてしまう。

俺がいきなり大声を出したことで、皆が驚いてこちらを向いたが

師匠が「気にしないでください」といい俺と師匠の周りにだけ

魔法を使って結界を張る。


みんなの視線が俺達から離れないけど

師匠は気にすることなく、俺と話をすることを選んだ。


「僕も同じだよ。

 僕がアルトを嫌う事はない」


「うん……だけど」


「うん?」


「そう思うんだけど。

 思うだけど……」


どうしても不安になる時があるんだ。


「心を揺らしてもいいんだよ」


「心を揺らす?」


「そう。不安になることは誰にでもあるから。

 自分が大切に想う人ほど、嫌われるのが怖いと

 思ってしまうものだから」


「師匠も?」


「そうだね。

 アルトに嫌われると悲しい」


「俺は嫌わない! 絶対!」


俺の言葉に師匠が笑う。


「僕も同じだけれど。

 これからも、アルトが不安になることがあるかもしれない」


「……」


「そんな時は、アルトの中の僕ではなく。

 僕自身と話をしてくれると嬉しいな」


「俺の中の師匠?」


「そう。もしかしたら、僕がこう言うんじゃないかとか

 こう思っているんじゃないかとか、アルトが頭の中で

 想像した僕じゃなくて、僕自身の声を聞いてほしい。

 きっと、アルトの中の僕は嫌な事ばかり話すだろうから」


「……」


師匠の話に、そういえば悩んでいる時に

頭の中にぐるぐると回っていたのは、否定の言葉ばかりだった。


「うん。ごめんなさい」


師匠を疑ってごめんなさい……。

そう言いたかったけど。言えなかった。


「大丈夫だよ。そういった感情は

 誰にでも訪れるものだし。辛いものだと知っているから」


「うん」


「僕からのお願いはこれで終わりだけど

 アルトから僕に、こうして欲しいって願いはある?」


「うーん」


暫く考えてから、1つだけ見つけた。


「師匠の依頼に、俺がついていく事ができなくても

 師匠の口から話しを聞きたい」


「寝ていても?」


「うん。起こしてほしい」


「わかった。今度からそうするよ。

 もし、アルトが出かけていなかったりした時に

 緊急の依頼が入ったりしたら、手紙に書いて

 アルトの机の上に置いておくから」


「はい。帰ったら手紙読まないと!」


「もう、読まなくてもいいと思うけど……」


「読むの!」


俺の言葉に、やっぱり師匠が笑う。

俺と師匠の話が終わった頃、リオウさんの話も終わったようで

セイル達がぐったりして立っている。


師匠が魔法を解くと、ミッシェルが「大丈夫?」とそばに来て

声をかけてくれた。それに頷いて返事をすると

ミッシェルが、ホッと息を吐きだし「よかった」と言ってくれた。


リオウさんが口を閉じ、ヤトさんの方へと視線を向けている。

リオウさんの視線に、ヤトさんが軽く頷いてから

セイル達を見て口を開いた。


「浅はかな行動のせいで、自分達の命だけでなく

 友人達の命をも奪う結果になっていたかも

 しれないことを決して忘れないように。

 君達が命を落としたら、悲しむ人が沢山いることも

 覚えておかないといけない」


ヤトさんの重い声に、クロージャ達が真剣に返事をし

ヤトさんが今回の罰を言い渡した。


今日から、28日まで遊びに行くことの禁止。

その間に、反省文を書いて孤児院の規則をノートに書き写すこと。


来月から、学校が休みの日の午前中

クロージャは図書館の手伝い。

ワイアットは薬草園の手伝い。

セイルは飼育動物の世話の手伝いを3カ月間することと

2カ月間の小遣いの停止だった。


ロイールも、ギルドから罰を受けて飼育動物の世話をしていたけど

俺もちょっとやってみたいなぁ。

今度こっそり見に行ってみようと思う。


学校は、今月いっぱいお休みになってしまったので

クロージャ達ともう学校で会う事はないと思っていたけど

ヤトさんが、ハルを出るまで自由に学校に行ってもいいと言ってくれた。


師匠に行ってもいいか聞いてみると

「いいよ」と言ってくれたのでいく事にする。


休みになったぶんと、俺の報酬の一部として

お金を払わなくてもよくなったみたいだ。


俺の報酬は、好きな時に取りに行けばいいらしい。


ヤトさんの話が終わるとすぐ、オリエさんが

「家に戻ります」と告げ、セイル達を連れていく。

セイル達は、俺達の方へと視線を向けて小さく手を振ってくれたから

俺達も小さく手を振り返す。もう少し話していたかったけど

それが無理な事はわかったから、何も言わずに見送った。


ジャネットとエミリアが、俺達に「また遊ぼうね」と笑っていいながら

セイル達の後を追い部屋を出ていく。


「僕達も家に帰ろうか」


師匠の言葉に頷くと、リオウさんが口を開く。


「疲れていると思うけど

 セツナとアルトは、もう少しここに居てくれない?」


「なにかありましたか?」


「ギルドの風使いに、ギルド職員の髪の色を赤色に

 変えるように指示をだして、ミソラ草の販売を始めたの」


「え? もうですか?」


「ええ。奴隷商人もうろついているようだし

 早い方がいいでしょう」


「ありがとうございます」


俺の為に、計画を早めてくれたのか。


「ありがとうございます」


師匠のあとに続いて、お礼を言うと

リオウさんが笑って「それもお仕事の一つだから気にしなくていいわ」と

言ってくれた。


「今から、黒と黒のチームに歩いて

 ギルドまで報告に来てもらうから

 帰るのはその後の方がいいと思うの」


「……」


リオウさんの話に、サフィさんがため息をつき

クリスさんが苦笑して、アルヴァンさんが片手を顔に当てて

首を横に振っていた。


「マントも付けているし、目立つと思うしね

 しっかり、ミソラ草の売り上げに貢献してね!!」


ヤトさんが、呆れたようにリオウさんを見ていたけど

リオウさんは全然気がついてなかった。


言いたいことを言ってから、リオウさんは

師匠にこっそり名前を教えてもらったオウカさんと部屋を出ていく。

その後に、ヤトさんが出ていこうとしたけれど止まって振り返り

クリスさんとアルヴァンさんに声をかけた。


「クリス。アルヴァン」


「何でしょう?」


「どうかしましたか」


「明日から大会まで訓練に付き合ってほしいのだが」


クリスさんとアルヴァンさんが顔を見合わせてから

ヤトさんに視線を戻す。


「いきなりどうした?」


クリスさんとアルヴァンさんの口調が変わった。

クリスさん達はヤトさんと仲がいいのかもしれない。


「最近忙しくてな、体がなまっているんだが

 大会まで相手をしてくれないか?」


「それは構わないが……」


「ギルドに行けばいいのか?」


「いや、早朝にそちらに行く。

 何時も何時ごろから、訓練を始めている?」


「大体、6時頃だな」


「30分早く付き合ってくれるか?」


「ああ、構わない」


「付き合おう」


「よろしく頼む」


「どうして大会までなんだ?」


「私が、審判をすることになるだろう?

 体をつくっておかないとな……」


そう告げ、ヤトさんが師匠を見る。

師匠は穏やかに笑うだけで口を開くことはなかった。


「なるほど」


「……」


「私が相手になったのに

 どうして、私を頼らないかな?」


アラディスさんがヤトさんを見て不満そうな声をあげるが

ヤトさんが、エレノアさんやアラディスさんと訓練をすると

その後の仕事が辛いから遠慮すると言葉にしたあと

すぐに部屋を出ていった。


「逃げられた」


アラディスさんがそう言って笑ってから

黒と黒のチームの人達が、わいわいと話しながら

部屋を出ていき、サーラさんは5番隊の人達に連れられて

強制的に転移魔法で帰らされた。


部屋の中に残ったのは師匠と俺と

ミッシェルとミッシェルの両親。

そしてロガンさんとロイールだ。


「ミッシェル達は帰らないの?」


「一緒に帰ろうかなぁ」


ミッシェルはそう言って、自分の父親を見る。


「もう、ここまで来たのなら

 最後まで付き合うといい」


「ありがとう!」


ミッシェルが父親に抱き付きお礼を言って

俺のそばに座る。


「ロイール。俺達はそろそろ失礼して帰ろう」


ロガンさんが、師匠へと頭を下げてから

ロイールを呼んだ。


「……」


ロイールはロガンさんに答えることなく

拳を握って俯いている。


「ロイール?」


ロガンさんが、ロイールをもう一度呼ぶと

ロイールが、師匠の前に立って深く頭を下げた。


「ジャネットの……櫛を直してくれて

 本当にありがとうございました」


「気にしなくてもいいよ」


師匠の言葉に、ロイールが頭をあげた時に俺と視線が合う。

どうしてそこまで、ジャネットの櫛を気にするのか

不思議に思って聞いてみる。


「どうして、そこまでジャネットの櫛を気にするの?」


俺の問いに、ロイールが俺を見て苦しそうに言葉を落とした。


「ジャネットの櫛を壊したのは俺なんだ」


「え?」


ロイールの言葉に、ロガンさんがロイールの胸ぐらを掴んで

殴ろうとしたのを、ミッシェルのお父さんが止める。


「ロイール君は、深く反省している。

 これ以上の罰は必要ないと思うよ」


ミッシェルのお父さんの言葉に

ロガンさんがロイールから手を離して何があったのか話せと告げた。


「アルトが来る前の話で、サルキス3の月頃だったと思う。

 理由はなんだったのかは、俺は覚えていないんだけど

 セイルと口論になった。多分、俺がくだらないことを言って

 セイルを怒らせたんだと思う。

 サフィールさんに叱られる前の俺は、本当に馬鹿な人間だったから」


「俺はロイールが物を壊す人間には思えないけど」


ロイールは首を横に振る。


「馬鹿な事を言っているわ、と思っていたけど

 物を壊したりはしていなかったと思うけど?」


「物を壊せば、兄貴に連絡がいくだろう?」


「なるほどね」


「ミッシェルは、ロイールに注意したりはしなかったの?」


「あまりにも煩い時だけ、注意していたと思うわ」


「されたよ」


「体が大きいし声も大きかったから、怖がっている子は沢山いたけど

 ロイールは、女子には特に何もしなかったしジャネットとエミリアの

 2人にも直接何かをいう事はなかったから」


「女はすぐに泣くからな。泣くと面倒だったから」


「そうなんだ」


「基本的に、私は男子の揉め事には口を挟まなかったの」


「どうして?」


「アルトは、女の子に庇ってもらって嬉しい?」


「あんまり嬉しくない」


「でしょう? 一度、割り込んだらクロージャ達とロイール達から

 余計な口出しするなって言われたしね。

 なら、好きにすればいいじゃないって思ったの。

 私も物を壊したり、一方的に暴力を振るうような事をしたりしたのなら

 先生に教えたと思うけど。セイル達も負けていなかったし

 私が口を出すと、ロイールがセイル達をからかう口実を

 与えるような気がしたしね」


ミッシェルがそう告げると、ロイールが確かにと

苦笑しながら頷いた。


「先生もことあるごとに注意されていたけど

 ロイールは、先生の話を聞いていなかったでしょう?

 もう少しあの状態が続いてたら、お兄さんが呼び出されたわよ」


「あの教室の空気を悪くしていた大半は

 俺が理由だったんだよな」


「そうね」


「ミッシェル」


ミッシェルの父親が、ミッシェルを見て窘めるような声を出した。


「本当の事だもの」


ロガンさんが顔をしかめながらロイールを見るが

ミッシェルが、ロガンさんを見て言葉を足した。


「でも今は違うわ。

 困っている人に手を伸ばす優しい人よ」


「優しくないよ……。

 俺は最近まで、いやついさっきまで

 本当になにも理解していないことが分かったから……」


「ロイール?」


俺の呼びかけに、ロイールが視線を伏せながら話していく。


「サルキス3の月に、セイルと口論して

 揉みあいになった。俺がセイルを突き飛ばして

 セイルが体勢を崩した場所に、ジャネットがいた。

 セイルがジャネットとぶつかって2人同時に転んだんだ。

 その時、何かが割れる音がしたけど授業が始まるから

 気にせずに教室に戻った。そして、その事は綺麗に忘れていた」


「……」


「昼食を食べて、教室を出て中庭の隅の方で

 セイル達が固まっているのを見つけて

 何をしているのかが気になって、こっそり近づいたんだ。

 何か悪いことをしているなら、先生に告げ口してやろうと思っていた」


「セイル達は何をしていたの?」


「……泣いているジャネットをみんなで慰めてた」


「そう」


「手の平に、割れた櫛を置いて泣いてた。

 その声が本当に辛そうだったのを今でも覚えている。

 知ってたか? あいつらって滅多に泣かないんだ。

 セイル達だけじゃなく、ジャネット達も

 泣きそうな顔をするのに絶対に泣かない。それなのに泣いてた。

 ジャネットもエミリアも。そしてセイルも……」


よく泣いていると思うけど、と俺が言うと

それは、後悔の涙や、うれし涙だから、と言われた。

ロイールが言いたいのは、暴言に対してだと教えてくれる。


「俺に沢山傷つけられていながら

 あいつ等は意地でも泣かなかった。

 その理由は俺にはわからないけど」


ロイールの言葉に、ミッシェルが視線を揺らす。


「ミッシェルは、何故か知っているか?」


ミッシェルは少し考えて首を縦に振る。


「知っているわ」


「教えてくれないか?」


ミッシェルはじっとロイールを見て

ロイールもミッシェルから視線を外さない。


「エミリア達が言っていたの。

 親の事を言われて泣くのは

 自分の中から、親がいなくなる気がして泣けないんだって」


ロイールが目を見張り、ミッシェルを見る。


「彼女達を親無しと呼ぶ人はそれなりにいるわ。

 街に出て、こっそり言われることもあるしね。

 その度に、泣きそうな表情を作りながらも泣かないから

 泣いてもいいと思うよ、と言ったの。だけど……。

 自分の心の中にお父さんもお母さんも居るから

 だから泣かないって、言っていたわ」


「そうか。そうだったんだ」


ロイールは暫くぎゅっと目を閉じて

自分の感情と戦っているように見えた。


ロイールは、一度歯を食いしばってから続きを話す。


「その時の俺は本当に最低で。

 ジャネットの櫛が割れたのが、俺のせいだと気がついていながら

 こう思ってたんだ。割れた櫛なんて捨てて新しいものを

 買えばいいだろって。泣くほどのものじゃないだろうって。

 みんなそろって、辛気臭い顔して馬鹿じゃないのかって……。

 馬鹿は俺の方だったのに」


「ロイール。貴方本当に馬鹿ね」


ミッシェルの声に、ロイールが顔をあげてミッシェルを見て

「馬鹿なんだ」といった。ミッシェルの声は、ロイールを

馬鹿にしたような声ではなく、どこか労わりを感じる声だった。


「それからずっと、俺はその時の事を忘れていたんだ。

 今日、セイルがセツナさんにお願いするまで……」


「……」


「正直、セイルが時計を失くした時も

 セイルの気持ちがあまりわからなかった。

 セイルの宝物だというのは理解していたけど

 そこまで落ち込む理由が俺にはわからなかったんだ。

 どうして、そこまで一つのものに固執するのかを。


 セイルには、その時計しか家族の繋がりがないのだと

 理解しているようで、理解していなかった。

 どれほど望んでも、大切な人に二度と会えないという気持ちを

 俺はわからなかったから。俺は、大切な人を亡くしたことがないから」


「それは、とても幸せな事ね」


ロイールが、軽く頷く。


「ジャネットが暗闇が怖いと泣いて

 必死な声で、母親に助けを求めてて。

 それでも、ジャネットが求める母親はジャネットの元には来ない。

 来ないんだ。ジャネットがどれだけ望んでもその願いは

 絶対に叶わないんだ。

 

 どれだけ、あいつらが

 両親に会いたいと思っているのか。

 両親がいない事を辛いと思っているのか

 自分を守ってくれる人が居ない事がどれほど不安な事なのか

 俺は全く理解していなかった! だから、あんな酷いことをいえた。

 あいつ等にとっていちばん残酷な言葉を俺は吐いてしまったんだ」


「……」


「俺は、親父といろいろあって

 もう、バートルには戻らないつもりでハルに来た」


「お前」


ロガンさんが驚いたようにロイールを見つめる。


「ハルで適当に、仕事を見つけて生きていけばいいって

 俺は自分の将来を簡単に考えていた」


ロイールが、どこか自分を嗤うような表情を見せる。


「だけど、その考えがどれほど甘いのか気がつかされた。

 俺は……心の奥底で、困ったらお袋や兄貴に頼ればいいって

 そう思っていたから」


ロイールが少し悩んでから俺を見る。


「アルトとクロージャの話を俺も聞いていた」


「え?」


「あの時、俺は寝てなかったんだ。

 だけど、クロージャが真剣にアルトに話していたから

 寝たふりをしていた」


ロイールが俺を見てばつが悪そうに「ごめん」と謝ったけど

首を横に振って「気にしなくてもいいと思う」と返す。

ロイールが頷いてから、ロガンさんに視線を戻す。


「兄貴も、クロージャとアルトの話を聞いていたんだろ?」


「ああ」


「魔物に襲われて必死に逃げて

 アルトが作ってくれたシチューを口に入れた瞬間

 生きててよかったって思った。兄貴達や親父達に

 また会えるって。家に帰ることができるって思った……。

 もう帰らないって決めていたはずなのに

 恐怖を感じた時に、死を近くに感じた時に

 家族に会いたいって強く思った。


 夜になって、毛布にくるまってクロージャの話を聞いてた。

 クロージャの話すことを自分に置き換えて想像してみたんだ。

 ものすごく怖かった……。兄貴や親父達がある日、居なくなって

 独りで生きることを考えた時、初めて俺はセイル達の気持ちが

 少し理解できた……。想像しただけでも、怖いし不安になった」


「……」


「そして俺は、帰ろうと思えば帰れるし

 兄貴や両親に会おうと思えば会える。


 きっと親父やお袋に会いたいと手紙を書けば

 ハルまで来てくれるだろうと思う。その事に安堵して

 そして、自分がどれほど優しい場所で生きて来たのかを知った」


誰も口を挟まない。

ロイールは、小さく息を吐きだしてから話を続ける。


「俺は、クロージャ達みたいに

 自分の将来を考えたことはなかった。

 俺のそばには、兄貴達が居たし親父達もいた。

 自分の将来を不安に思う事もなかったし

 病気や怪我をして働けなくなったらとか

 誰を頼ったらいいのかとか、どうやって生きていけばいいのかとか

 そんなことを一度も考えたことはなかったし

 そんな悩み事を、抱えている人が居るんだという事も知らなかった」


ロイールが肩を落として、じっと一点を見たまま動かない。

ミッシェルが、ロイールの傍に行ってそっと背中を撫でる。


「辛かったら泣いてしまったほうがいいわ。

 そしたら、少し楽になれるから」


ミッシェルの言葉にロイールが笑う。


「楽になったら駄目だろう?」


「え?」


「ずっと、泣きたいのはあいつ等だったんだ。

 なのに、泣いて心が軽くなるんだったら

 俺は絶対に泣いちゃ駄目だろ?」


「ロイール……」


「俺は心を軽くしちゃ駄目なんだ」


「……」


「ジャネットの櫛が直って、本当にうれしかった。

 幸せそうに笑っている顔を見て良かったと思った。

 だから、だから俺は……セツナさんに感謝してもしきれない」


セイルが師匠に、櫛を直してほしいと必死に頼んだり

今もう一度、師匠に頭を下げていた理由がわかった。


「セツナさんは、お金は要らないと言ってくれた。

 今も気にするなと言ってくれた。でもそれは嫌なんだ。

 俺が馬鹿だったから、セイル達を傷つけてジャネットの

 宝物を壊してしまった。それは俺が責任を取るもので

 セツナさんに任せてしまっていいものではないと思ったんだ」


ロイールが師匠を真直ぐに見て真剣に言葉を紡いでいく。


「俺はまだ子供で、今俺が持っているお金は両親が稼いだもので

 俺のお金ではありません。だから、セツナさんには

 待ってもらう事になるけれど、俺が稼いだお金で修理代を返したい!

 俺の自己満足だってわかっているけど!

 それでも、俺が返したいんです」


ロイールが深く深く師匠に頭を下げた。


「それが、俺のできる唯一の事だから……。

 酷いことを言って傷つけ、大切な宝物を壊した。

 なのに、セイル達は俺を仲間に入れてくれたから」


ミッシェルの目に涙が浮かぶけど

キュッと歯を食いしばって涙を落とすことはなかった。


ロイールは多分ずっと、自分を責め続けるのかもしれない。

誰が何を言っても、セイル達が許していても

自分で自分を許さないのかもしれない。


それはきっと、とても苦しいことだ。


「ロイール」


ロガンさんがロイールを呼ぶと

ロイールが頭をあげて、ロガンさんを見る。


「セツナさんが

 ジャネットさんのために使った魔道具は時の魔道具だ」


「え?」


ロイールが驚いたように肩を揺らす。


「お前は、時の魔道具が今どれ程貴重なものかを知っているよな?」


「知ってる……。親父や兄貴達が必死に手に入れようとしてる」


「この間の、ガーディルの競売でついた値段は

 時を巻きもどすもので金貨15枚以上だ」


ロガンさんの言葉に、師匠も目を丸くしている。


「親父達は買えたのか?」


「無理だった。すべて、キリーナ商会が競り落としたらしい」


ロガンさんが苦々しくそう告げる。


「そしてそのキリーナが、販売している価格が金貨20枚だ」


ロガンさんが、深く溜息を落としてから話を続ける。


「多分、これからも時の魔道具は値段が上がり続ける。

 時使いが見つからない今、誰も時の魔道具を作ることができないからな。

 それでもお前は、セツナさんにお金を支払う覚悟があるのか?」


「ある」


高価な金額を聞かされても、ロイールの決心は揺るがなかった。


「わかった。なら、俺がセツナさんに支払う」


「兄貴!」


「勘違いするなよ。

 お前が働くまでにあと何年あると思っている。

 お前は、俺に借金することになるだけだ」


「俺は、セツナさんに返したいんだ」


「それは、セツナさんにとって迷惑だろう?」


堂々巡りしそうな会話に、師匠が静かに口を挟んだ。


「少し、教えてもらいたいことがあるのですが」


「なんでしょうか?」


ロガンさんが丁寧に師匠に返答する。


「時使いが亡くなる前は、ギルドから購入されていたんですか?」


「はいそうです。毎月5個まで購入することができました。

 本店のみという事になっていましたが」


「いくつ支店を持とうが、本店しか買えない?」


「そうです」


「なるほど。その時の金額は?」


「金貨3枚です」


金貨3枚。それでも高価なものだったんだ。


「時の魔道具が値上がりしたのは

 時使いが亡くなってすぐですか?」


「いいえ、暫くはギルドが在庫をまわしてくれていましたから。

 だけど、ギルドから販売中止の知らせが届いたので」


「そうですか」


「現在、時の魔道具の入手方法は競売に出されたものを

 購入するか、所持している人に交渉するかしかありませんが

 競売では、キリーナ商会には勝てません

 ここ最近、全ての時の魔道具はキリーナ商会に買い占められています」


ロガンさんが悔しそうにそう言葉にした。


「なるほど……。

 ちなみに、ロガンさんのご家族はどうして時の魔道具を?」


「鍛冶屋にとって、時の魔道具は必要なので」


「そうなんですか?」


「はい。魔法武器と呼ばれる類のものの修理を承ることがあるのですが

 魔法武器には、大体魔道具が埋め込まれているんです。

 その魔道具を修理するのに時の魔道具が欠かせません」


「確かにそうですね。

 埋め込まれている魔道具などは、魔道具も繰り返し使えるように

 素材も吟味されているでしょうし、壊れることはあっても

 使い捨ての魔道具のように、消えてしまう事はないですからね」


「はい。なのでこのままいくと

 私達は、時の魔道具を手にすることができなくなり

 顧客を減らすことになっていきます。それは鍛冶屋だけではありません。

 これから、時の魔道具が手に入らず潰れていく店が増えていくと思います。

 キリーナ商会みたいに、財力がある店ばかりではありませんから」


「……」


師匠は黙って何かを考えている。

その様子をロガンさんだけではなく、ミッシェルやミッシェルの両親

そしてロイールも不思議そうに見つめていた。


師匠が考えるのをやめ、鞄の中から小さな袋を取り出す。


「この袋の中には、時の魔道具が30個ほど入っていると思います。

 ロガンさんが必要なら、1つ金貨3枚でどうですか?」


「え? いや、それはおかしいでしょう?」


ロガンさんが小さな袋を凝視して

首を横に振った。


「競売にかければ、最低でも金貨15枚の値段がつきます。

 金貨3枚で売ると金貨90枚にしかなりませんが

 金貨15枚で売ると……」


金貨450枚にもなる!


「金貨3枚でいいんです。

 30個全部買い取って頂いても構いませんし

 1個だけでも構いません」


「いやいやいやいやいや!」


ロガンさんが、断ろうとしているが

その視線は時の魔導の入った袋辺りを彷徨っている。


色々と葛藤しているロガンさんを見て

師匠が苦笑を浮かべて、自分が時使いであることを告げた。


「ロガンさん。僕は、時使いなので自分で作ることができます。

 ギルドが金貨3枚で販売していたのならその値段で構いません」


「時使いですか?」


「時使い?」


ロガンさんと、ミッシェルの父親が同時に声を出す。


「はい。正確に言えば風と時の使い手です」


「どうして」


「僕の情報は、ギルドで秘匿してもらっていますから」


「それは……話してもよかったんですか?」


「広まるといろいろ困ることになるので

 できれば、内緒にしていただきたいですね」


「それは、絶対に話しません!」


ロガンさんが頷き、ミッシェルの両親も頷く。

師匠が、ロガンさんに小袋を差し出すが受け取ろうとしない。


「申し訳ありません。今手持ちがありません」


「ギルドに伝えておきますから

 ギルドに支払ってもらえますか?」


ロガンさんがロイールをチラリと見て

思案するような表情を見せ、溜息をついてから口を開いた。


「身勝手なお願いをしてしまいますが

 できれば、ロイールの借用書を

 ギルドで作成して頂きたいんです」


「そこまでする必要はないと思いますが」


「いいえ。それがロイールの為になるのだと思うんです」


師匠がロイールを見てそれでいいのかと問うと

ロイールは迷わずに返事をしてうなずいた。


「ロイール」


「なに」


「セツナさんに、お金を支払い終わったら

 その時は、自分を許してやれ」


ロガンさんの言葉に、ロイールが目を瞠る。

ロガンさんを肯定するように、師匠も頷いてロイールに言葉をかける。


「君は、ジャネットの命を守ったことも忘れないでほしい。

 命と同じぐらい大切な櫛を壊すきっかけを作ってしまったけれど。

 君は、ジャネットをかばいそして背負って走った。

 誰にでもできる事じゃない。君だからできたことだ」


ロイールは、師匠の言葉に頷きもしなかったし

ロガンさんに返事もしなかった。ただ、歯を食いしばっていた。

そんなロイールに、師匠もロガンさんも何もいう事はなかった。


いつか、ロイールが自分を許せる日が来るといいと思う。


「セツナさん。申し訳ありませんが

 私と一緒に、ギルドへ行ってもらえますか?」


「今日ですか?」


「はい。本当に申し訳ないのですが……。

 少しでも早く、時の魔道具をバートルへ送りたいんです」


師匠が思案するように目を閉じて

「もう、大丈夫そうかな」と小さく呟くのが聞こえた。

多分、俺だけにしか聞こえてないと思う。


「なら、今から一緒にギルドに行きましょう」


「ありがとうございます」


ロガンさんの安堵した表情と声音。

もしかしたら、切羽詰まっていたのかもしれない。


「その前に、少しだけ時間をもらえますか?」


「はい。大丈夫です。

 何時まででも待ちますから」


師匠が何時まででも待つというロガンさんに

苦笑に近い笑みを浮かべてから頷く。


「ミッシェルを家まで送ってきます」


「え?」


名前を呼ばれたミッシェルが師匠を見て瞬きをする。

師匠は胸ポケットから眼鏡を取り出してかけていた。


服も白衣を脱いで、上着を身に付けて何時もの師匠に戻っている。

違うのは髪の色と目の色だけだ。


「セツナさん。お気遣いなく。

 私達は、歩いて帰れますから」


ミッシェルの父親が断るが、師匠が首を横に振った。


「外は寒いですし、アルトを待ってもらっていましたから。

 自宅近くまで、転移魔法で送ります」


「師匠、ミッシェルの家を知ってるの?」


「僕はあまり外には出ないけど

 有名なお菓子屋さんの場所はちゃんと覚えているよ」


「あー。なるほど。

 ミッシェル、師匠に送ってもらうといいよ。

 風邪ひくと困るし」


「アルトも一緒にギルドへ行くの?」


「うん。行く」


「アルトも先に、家に戻ったほうがいいかな」


「嫌だ、俺も行く」


「気分の悪い思いをするかもしれないよ?」


「平気だ。絶対に行く」


「わかったよ」


師匠が諦めたように俺を見て笑う。


「私も……」


「ミッシェル。今日は、家に帰ろうね。

 ギルドに行く事は許可できないから」


ミッシェルも行きたいと告げようとしたところに

師匠が駄目だとはっきり告げる。


ミッシェルはその言葉で諦めて

両親と一緒に帰っていった。今、部屋に居るのは3人だけだ。


「アルト」


「なに?」


「俺も冒険者になろうと思うんだ」


「そうなの?」


「うん」


ロイールが俺にそう言ってから

ロガンさんを見上げる。


「兄貴、俺は冒険者になるよ。

 どう考えても、俺が親父のあとを継ぐより

 ロッフェ兄貴が家を継いだ方がいいだろう?」


「ロイール」


「俺は……。本店の奴らに認められていないし

 鍛冶には向いていないと思う」


「それでも、親父がお前を後継としている」


「違うだろう。

 本当は、親父もロッフェ兄貴に

 家を継がせたいと思っているはずだ」


「……」


「くだらないことで、ロッフェ兄貴と喧嘩して

 売り言葉に買い言葉で俺を跡取りにすると言っただけだ!

 俺が認められたわけじゃない!!」


ロガンさんが、一度深く溜息を落とす。


「俺が家を継いでも、誰も俺にはついてこない。

 俺は兄貴達のように、鍛冶には向いていない。

 だから……。俺は、学院を出たら冒険者になる」


「冒険者は危険な職業だぞ」


「知ってる」


ロガンさんの見定めるような視線を

ロイールはそらすことなく受け入れ

ロガンさんが、軽く息をついてから頷いた。


「わかった」


「いいのか?」


「ああ。お前が、朝の訓練を真面目に取り組み出したのは

 冒険者になろうと決めたからだろう?」


「うん。漠然とだけど冒険者がいいなと思っていたんだ。

 冒険者になろうと決めたのは、アルトがセイルの時計を返した時なんだ」


「そうなのか?」


「それまでは、アルトとクロージャ達が楽しそうに話していたから

 俺もアルト達と旅したいなって思った。

 だけど、セイルやジャネットが笑ってるのを見て

 誰かを助けることができる。誰かの笑顔を守ることができる

 人間になりたいって思った。こんな俺でも誰かを助けることが

 できるのなら頑張ってみたいんだ」


自分の手の平をじっと見てから

ロイールがぎゅっと拳を握った。


「そうか。親父には俺から話しておく」


「反対されるかと思ってた」


「反対しようと思っていた。

 だけど、自分の生きる道は自分が責任をもって

 決めるべきなんだとセツナさんが話していた事や

 ミッシェルさんのご両親が迷わずミッシェルさんの背を

 押していたのを見て、俺もお前の道を応援しようと決めた」


「兄貴……」


「親父の事は気にするな。

 お袋と爺さんにも手をまわしてやるから」


「うん、ありがとう。俺も親父に手紙を書くよ。

 槍も送ってもらいたいし」


「あの槍を武器に選ぶのか?」


「うん。だから、ミッシェルと同じように

 家の庭だけでいいから、訓練ができるように

 ギルドに頼んでほしい。兄貴は槍も使えるだろ?」


「武器は一通り使えるが

 基本しか知らないぞ。それにあれは……」


「わかってる。あの槍も魔法武器だから

 扱うには相当訓練が必要だって事は知ってる。

 だからこそ、俺は早くからあの槍を使えるように

 努力しないといけないと思ったんだ」


「……」


「基本だけでいいんだ。

 学院へ行ったら、本格的に教えてもらうから。

 槍の事は、爺さんにも手紙を送って使い方を聞く。

 魔法武器は、魔力量の調整を一番に覚えるべきだって

 爺さんが話していた気がするから」


「そうか。お前がそう決めたのなら頑張れ」


「うん」


ロイールが、ここでやっと笑顔を見せた。

師匠が途中で帰って来ていた事に気がついたけど

2人の話を邪魔しないように黙っていたら

ロガンさんとロイールが師匠を見て物凄く驚いていた。


師匠は、気配を殺して戻ってきたから

多分、この部屋の様子を知っていたのかもしれない。


ロイールの未来に関する話を、邪魔しないように。

2人の大切な会話の時間をさえぎらないように

気を使ったんだと思った。




* てるる様よりイラストを頂きました。

  タイトル【連載開始5周年記念】

  刹那のメモ【 頂きもの2 】にリンクを張っています。

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