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魔物使いでチート野郎!!  作者: 志位斗 茂家波
ルンベルドン生活
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ギルドでのいざこざ

・・・テンプレとは違うかな

・・・迷宮(ダンジョン)から帰還した後、とりあえず時刻は夕方ごろの用だったので、以前聞いた通りなら第1ギルドはそこまで混雑していないはずだとレイたちは考え、すぐ横にあるので向かった。




「前よりは混雑していないかな・・・」


 この都市に来たばかりで初めて訪れたときに比べると、かなり人数は激減しているようで、割とすんなりギルドの中へ入ることができた。



 今回の迷宮(ダンジョン)挑戦は別に依頼を受けて言った物でもないし、単純に取れたモノを売却するだけで済む。


 売却用の受付の列に並び、順番を待っている時であった。



「あああん!?ふざけんなよまじか!!」

「落ち着いてください、きちんと査定された結果ですよ」

「いい加減にしろよ!!この深い階層で取れた素材はもっと高く買い取ってくれるはずだろ!!」

「いえ、先週の相場と比べますと、その階層に到達した方々が多くその素材を売却したため、下落していまして」



「・・・うわぁ、物凄いもめごと起きているな」


 並んでいると、前方で今売却をしている冒険者がどうも売却のための受付の人に突っかかっているようである。


 なんでも、売却額に不満があるようで物凄いクレーマーというか、並んでいる人たちにとってもはた迷惑というか・・・・。


「これでも俺は冒険者パーティ『悠久の天使たち』の一員でだなぁ!!」



「ああいいうのを罵詈雑言の腐れ野郎とでも言うのでしょうか・・・」

「口に出したらダメだってハクロ・・・」

((((でもその通りだと思うぞ、そこのアラクネの嬢ちゃん))))


 ハクロの言葉にレイはやめさせたが、周囲の他の冒険者たちの意見としては全くの同意見であった。


 見た目が美しい美女集団(レイのことは眼中から除く)を見ていた冒険者たちであったが、その言葉の通りだと思えたのである。


 そして、その冒険者パーティ名にレイは「どこが天使だよ!!」とツッコミを入れたくなった。




 罵詈雑言で長いもめごとに、並んでいた冒険者たちのイライラが貯まっていく。


「だからですね、これ以上高くの買い取りは不可能ですと」

「いやいやいやいや!!この品質とかも考えろよ!!ここにずっと置いて話し合ううちに劣化していくじゃねぇか!!」



 全く進まない平行線のせいでイライラしているのか、ギルドマスターを呼びに行ったらしい職員の姿も見える。


 それに、あの迷惑をかけまくっている冒険者が所属しているであろうパーティーメンバーの姿も見えないところから考えられるのは・・・


「悠久の天使と言えば、ランクCの冒険者で集まっていた奴だったな」

「じゃああの迷惑馬鹿野郎もCあるのか?そこまでには見えぬが・・・」

「いや、確か最近メンバーの一人が勝手すぎて離脱するようにとかいう話が出ていたな」

「あの問題男がその離脱するように言われているやつか」



 あまりにもイライラしてきたので、現在絶賛個人情報の垂れ流しが行われ始めていた。


 それによると、あの迷惑行為を行っている冒険者は、その仲間から外されてしまったかのような奴らしい。


 素行などが普段から問題が多く、そのせいで同じメンバーからも離脱するように言われているそうな。


 で、今回のこの買い取りでは素材を高額で買い取ってもらい、メンバーに渡すことでつなぎとめようとしているのだろうが・・・・あの様子だと、見捨てられるのは確定である。


 というか、冒険者ネットワークすごいな。短時間でたった一人の冒険者の個人情報がすぐに暴かれていくもん。




 ここまで迷惑行為をかけているので、時間を引き延ばしているのはおそらくギルドの方ですでに抹消の処置がとられ始めているのではないかという話も出てきた。


 さすがにギルドとは言えども、あそこまでの大馬鹿面倒ごと馬鹿野郎に対して甘くはない。


 登録を抹消し、永久的に冒険者活動ができないように通達される可能性があった。


 そうなった場合、就職も難しそうだし路頭に迷うのが目に見えている。



「自業自得というか、中途半端に育った脳筋みたいですよね」

「あー、なんかわかるわかる」

「ドラ息子ってあんな感じ?」

「自分が偉いんだーみたいな、自己を高めている典型的な阿呆でありますよ」

『まだー?』


 いい加減にしてくれないかなと思っていると・・・・・・・・ギルド内に突然物凄い寒気がほとばしった。


「「「「『!?』」」」」」


 アイラの水球の表面が薄く氷を張ったことから、物理的にも冷えたのがわかる。


 一瞬にして室内が氷点下まで下がったようで、何が起きたのか把握したらしい人たちは真っ青な顔になってガクブルと震え始めた。



「・・・おめーさんか?ここいらで面倒ごとをしようとしてやっちゃるのわ?」


 物凄く深い声が聞こえ、その方角を見ると、迷惑男をゴミ虫でも見るかのような目で睨みつけている、でっかいハンマーを背負った男性がそこにいた。


 背が低いが、種族的には亜人とも言われるドワーフのように見え、蓄えたひげは青白く、ハンマーから室内を冷やすかのような冷気が出ているようである。


「ひっつ!!ぎ、ギルドマスターの・・・」

「おい、出てきちゃったよ」

「ああ、あの男終わったな・・・・」


 悲鳴を上げて後ずさりする迷惑野郎に、ギルドマスターらしきおっさんが一歩、また一歩と踏み出していくたびに室内の気温が下がっていく。



「あれがこのギルドマスターと言われる元Sランク冒険者の『禍鬼氷(かきごおり)のバリドスゲーフ』さんか・・・」

「こぇぇぇ!!ものすっごくこえぇぇよ!!」


 魔道具(マジックアイテム)と思わしき背中のハンマーは、どうやらその人の感情であたりを冷やしていくようで、どんどん寒くなっていく。


 アイラの入っている水球が内部まで氷漬けになりそうだったので、急きょ魔法で温めて氷結を防ぐ。


 


 バリドスゲーフというギルドマスターの気迫に、迷惑野郎の足が限界を迎えたのかへたれて座り込み、床に汚い染みができていく。


「ひぃぃいぃぃっ!!」

「・・・はぁ、この程度の威圧でもらすたぁ根性ねぇな。そんな野郎が混雑させたとなると、うちの恥だべ。おい!!」

「はひっ!?」


 ギルドマスターがその迷惑野郎から受付の方に顔を向けると、受付嬢の一人が当てられたのに気がついたのか、慌てて返事した。


「この大馬鹿野郎の冒険者登録を永久抹消しろ!!そしてついでにだ、ここまで人様に迷惑をかけやがったようだしぃな」


 物凄く不気味な笑みをギルドマスターが浮かべ、今度は並んでいた冒険者たちの方へ向けた。


 不気味というか、何か案を思いついてにやぁっとしているところから、あの迷惑野郎にろくでもない天罰が下るのが目に見える。


「このわしゃぁからのお詫びと言っちゃなんだか、お前ら全員に指名依頼だ!!この迷惑野郎に鉄槌をくだしたれ!!依頼料としては、生憎金貨とかは手元にはねぇが、今日はギルドの隣にある酒場はわしゃぁの驕りにしてやる!!」

「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!良いぞギルドマスター!!」」」」


 酒場がタダ、それは酒を飲むのが好きな人には魅力的な達成報酬だろうし、散々待たされてイライラしていた冒険者たちからしてみれば、合法的にうっぷん晴らしを直接行えるチャンスだろう。



 迷惑野郎はものすごく顔を青ざめさせる。


 どれだけ自分が何をやらかしたのかがようやくわかったようだが、時すでに遅し。



 とはいえ、同情の余地もないし、俺達もイライラしていたので全員この依頼を受けることを合意し、心から折る作業を協力したのであった。



・・・・その日、ギルドにいた冒険者たちの心はひとつとなり、一人の冒険者の存在が闇に葬られる。



 そして、この時レイは気がつかなかった。


 ギルドマスターが気がつかれないように、レイの方に少し視線を向けて人の定めをしているような視線に・・・・・

「冒険者登録の抹消」

・何かしらの大問題を引き起こした冒険者に対して行われる処分。

・冒険者登録が取り消さされ、軽くて1ヶ月ほど再登録ができないのだが、重くなると各ギルドに連絡されて永久に冒険者登録ができなくなる。

・引退時に行う物とも違い、完全に処分なので徹底的に行われる。


・・・このギルドマスター、ドワーフだけど少々イメージを改造しました。

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