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閑話 ネコ逃走

短め

 休日、学園の授業はお休みでもあり、今日はレイの冒険者業の方もお休みである。


 こういう休みの時は、使い魔全員に自由行動が認められており、それぞれバラバラになって休日を過ごす。


 そんなレイの使い魔のうち、マーメイドであるアイラは街中をレイの魔法で作り出された水球を利用して漂って散歩していた。


 中で泳げば水球も一緒に動き、陸上では本来動きが制限されるアイラも、この水球があれば水中同様の動きが可能であった。



・・・・そもそも、魔法で維持でき続ける水球を作れること自体はとんでもない精密さが必要なのだが、レイの場合はアイラとの関係によって、水魔法がパワーアップしたようである。


 まあアイラ自身、数日過ごしているだけでレイの非常識な魔法にすでに慣れたが。





 アイラはマーメイドであり、歌がうまい事でも有名になっていた。


 なので、学園の内外でも人気はあり、道行く人は微笑んで手を振ったりしていた。


 もちろん、マーメイド自体が珍しいモンスターであり、アイラの容姿も美しく、名神では不老不死の妙薬などというモノもあって、様々な目的で狙うようなやつらはもちろんいたのだが、レイの使い魔たちのファンたちが、彼女たちに気がつかれないように未然に防いでいた。



 しかし、そんな彼らでもとある存在だけは防ぎきれない。



「ニャァー」

「!?」



 その鳴き声が聞こえた瞬間、アイラはさっと顔を青ざめる。


 恐る恐る背後を振り返って見ると・・・・・


「「「「ニャァァァー(さかなーーーーー)!!」」」」

『ネコォォォォォ!!』


 キランと目を光らせた野良猫たちが、背後からまさにとびかからんと集結していた。


 猫たちが狙うのは、アイラの下半身の魚の部分。


 水球内で速攻でアイラは泳ぎ、急いで逃走し始める。


 負けじと猫たちも猛ダッシュで追いかけ始めた。



「ニャァァァ!!」

「ミーッ!!」

「フギャニャァァァ!!」


 様々な猫たちが追いかけてきており、アイラは逃げる。


 その様子を見てファンと思わしき人たちが立ちふさがろうと猫たちの前に立ち、あっという間に轢かれて役に立たなくなる。



 逃げて逃げて逃げまくり、ようやくアイラは猫たちの追跡を振りきった。


 一人で行動するとこのようなことになることがあるのだが、それでも大抵はいつもアイラが振り切ることに成功する。


 アイラの気持ちとしては、猫そのものは別に平気だ。モンスターだし、水球の中にいれば飛び込んできても追い出したり水で追い払ったりできる。


 けれども、なんとなく本能で天敵のような気がして逃げ出してしまうのであった。



・・・・でも、猫の可愛さはアイラにはわかっている。


 いつかこのように追いかけて追いかけられてではなく、きちんとモフモフしたりなでたりしてみたい。


 密かに可愛いものが好きなアイラの願望であった。でもそのためには、この猫を本能的に恐れてしまうのをどうにかして克服しないといけないのだが・・・・。


 



果たして、アイラが落ち着いて猫を愛でることができるのはいつになるだろうか。

因みに作者は猫が大の苦手です。可愛いのはわかるけど、触れない・・・・なんでだ。

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