応援歌で
学園もそろそろ卒業近く、一気に進むかな
・・・それから数日後、運動会が学園で行われた。
運動場で学英が集まって、組み分けの色で分けられて綺麗である。
運動会の組み分けは、主に炎、水、木、雷、土、聖、闇の7種類で分けられる魔法の属性のイメージカラーによって、紅、蒼、緑、黄、茶、白、紫で分けられていた。
いや、「赤」と「青」だと思うのに、何で「紅」と「蒼」だ?
そして闇属性は黒って思うのになぜ紫。
聞いた話によると、この色分けを担当したのは同学年のチウ・フォン・ニビォさんだとか。
うん、黒歴史として後々この人の生活で精神的に苦しいことになるだろうとなんとなく納得できた。
なお、保護者とかは来ない物なのでそこは現代地球とは違うところである。
とにもかくにも、運動会は盛り上がった。
案外結構皆よく楽しみ、身体を動かして勉強のストレスを発散しているようである。
「と、なぜここで解説をさせられるのでしょうか」
「仕方がありません、レイ選手の場合、使い魔の影響で出場拒否されてますから」
なぜかレイは解説席に座らされており、出場できなかった。
使い魔が主に与える影響は身体能力の向上もあり、レイの場合は使い魔が多いのでその分普通よりも圧倒されるだろうと考えられての配慮である。
なお、解説及び司会はザフォンです。
いや、こいつの場合は単純にこの年齢でのまさかのギックリ腰だ。
なので出場が出来ず、こうして司会役として布団に横たわって見ながらしているようである。
休めと言いたいのだが、職員の方たちにはこいつが王族と知られているようで、なのでザフォンがどうしても出たいと言って協議した結果、このように司会としてなんとか参加をしたのであった。
お前そこまでしてみたかったのかよ運動会。
「さぁ!!ここで各チームの応援合戦です!!」
ザフォンが腰を抑えながら、次の演目を告げた。
応援合戦と言っても、魔法とかがありなので演出を派手にしたりしているところもあるようです。
とは言っても、聖属性の「スポットライト」という使いどころが注目を浴びるためだけの簡単な魔法ばかりが使用されているようだが。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「スポットライト」
対象のみを頭上からの光で照らす聖属性に分類される魔法。
最大30分まで効果は持続し、詠唱も簡単である。
なお、光を当てるだけなので本当に聖属性の魔法なのか怪しいともされており、アンデッド系のモンスターにはほとんど効果がない、演出用の魔法とも言われている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なお、聖属性に適性のある人は実は全員その魔法を覚えていたりする。
何せ対象を上の方からの光で照らす魔法なので、真夜中の作業時に明るくしたり、罰ゲーム感覚でという人が多くて結構楽に使える初級の魔法でもあるからだ。
他に冒険者とかが盗賊とかに真夜中に襲撃された時、相手を照らして見やすくして反撃する、あらかじめその姿を印象付けておいて誰なのかはっきりさせて威嚇するといった用途もある。
お手頃な魔法でありながら、結構汎用性が高い魔法でもあるので人気が高い魔法でもあった。
他にも「ファイヤー」の魔法で火柱を立ち上げたり、爆発させて戦隊モノのようにしたりなどと凝っているところは凝っているチームもあったりした。いいなあれ。
「さてと!!ここで一通りの応援歌が終わったところで、今回特別にこの使い魔の人に皆への応援歌が歌われます!!」
と、ババン!!とスポットライトの光が、アイラにあてられる。
・・・いやね、マーメイドの歌って綺麗だから歌ってほしいという要望が多くて、今回特別に許可をもらって歌わせてもらうことになったんだよね。
アイラ自身もやる気があるようで、ぐっと握り拳をして話を聞いたらキラキラした目で見てきたよ。
すぅっと息を吸い、アイラが歌い始める。
『~~~~~♪』
応援歌なので激しい感じの歌でありながら、皆の心が盛り上がる歌。
元気づけられるような、そんな印象を与え、いつの間にか踊りだす人たちが出る。
結果、やり過ぎた。
あんまりにも歌の影響があり過ぎて、踊っていた教師陣がいい歳して踊りまくって、運動場中に「ゴキッツ!!」って音が一斉になって固まったよ。
元気になり過ぎて、身体の方が追い付かなくなったようである。
そのため、運動会は一旦延期となるのであった。
・・・後日、再開されたが、元気になり過ぎないようにアイラは注意して応援歌を歌ったのであった。
中止の声?全くなかった。むしろもっと歌ってほしいという要望が来ちゃったよ。
次回は学園祭の予定だが、今回の反省を踏まえて元気になるような歌は加減してもらうように決められたのであった。




