帰還ベタリアン
のんびりとしたのを書きたい。
都市ベタリアンへとレイたちは帰還し、ギルドの中へと入った。
ハクロ、カトレア、サクラ、そして今回の依頼の先で使い魔になったアイラを引き連れてだけど、思いっきり注目を集めた。
・・・・そりゃまあ、この集団って良くも悪くも人の目を集めるよね。
しかも、今回は水球の中にマーメイドのアイラを入れてだもん。
とりあえず視線を感じつつも、受付の方へ歩む。
受付嬢の人はプロ根性か、驚いた様子はない。
「えっと、依頼達成のためのクラブフィッシュの提出と、新規使い魔登録を行いたいのですが」
「レイさんのうけていた依頼の達成確認作業ですか。クラブフィッシュの凍結作業担当の者を呼びますのでしばしお待ちください」
捕獲してきたクラブフィッシュはギルドの専門の人によって、冷凍保存処理が施され保存される。
空間収納の魔法や魔道具があるならばこの作業は別にしなくても大丈夫なのだろうが、使える人や持っている人が少ないので、きちんとここで保存処理されて提出されるのである。
いったん全部出して、依頼内容の取り分だけを計算して戻ってくるので、問題は特にない。
取り分のクラブフィッシュはそのままギルドに売却してもいいし、持ち帰って後で調理して自分たちで食べてもいい。
と、すぐにギルドの専門の人が来て、クラブフィッシュの提出のために、奥の方にある専用の保管庫に全部を出した。
「こ、これはまたすごい大量ですな」
職員たちも驚いているけど、通常クラブフィッシュは大体50匹程度ぐらいしか持ち込まれないらしい。網の強度やその時々によるのがあるけどね。
ところが今回、レイたちがとったのは300匹以上。
・・・そりゃ驚かれるわな。
なお、このうち3割がレイたちの方で受け取れるのだが、ある程度の売却は決めている。
残りは後でゆっくりと料理にして食すのである。
「・・・ところで、アイラって魚食えるのか?」
ここでふとした疑問、マーメイドであるアイラは下半身が魚。つまり、共食いとかにはならないのだろうか。
『ならない・・・と思う』
ベタリアンまでの道中、コミュニケーション手段としてアイラに文字をレイたちは教えていた。
その結果、色水を使って文字を書くことに成功しており、それで返事をしてきたけど・・・自分でも自信ないのかよ。
一応モンスターだし、共食いという考え方はないような物か。
そして今回の依頼が終わり、一旦レイたちは学園の寮へと戻った。
夏休みの期間とは言え、寮は年中開いている。
他の学園の生徒たちのほとんどが帰郷しているため人がほとんどいないけど、こうやって帰る場所があるのは良い。
そして、楽しみはこの後である。
「今回の依頼で得たクラブフィッシュを調理して食べるぞ!!」
「「「おー!」」」
『イエッサー!!』
アイラ、お前だけ何で返答の仕方が違うの?別にいいけど。
というわけで、調理を開始する。場所は、一応学園に許可を取って校庭で食べる。
クラブフィッシュのおいしい調理方法は、ギルドで一応聞いてきて、おすすめの食べ方を調べてある。
食べられるところは、魚の部分とカニのはさみのような部分。ただし、きちんと加熱してから出ないとだめらしい。
刺身とかにしたくても、身が固くて包丁が通りにくいのだとか。
なので、ゆでる、焼く、揚げるの3種類の調理方法を使用する。
カニのような部分はすべて切り離し、その部分だけはゆでる。
残りは焼いたり揚げたりして、調味料をかけて味付けをし、シンプルに仕上げる。
『「「「できたー!!」」」』
調理をし終え、さらに盛り付けで皆でいただく。
ゆでたやつの匂いがあたりに充満し、焼いた奴と揚げたやつの香ばしい香りもあたりに漂っていく。
ぐぅと鳴らす腹の音があたりになり、ちょっと恥ずかしい気持ちがありながらも皆で食べる。
ワイワイとしながら皆で食べるこの感じってなんかいいよね。
「~~~~♪」
と、うれしさがあふれているのか、アイラが歌いだす。
聞いていて楽しくなってくる、自然と笑みが出てきそうな、モンスターの言語のせいか聞いても意味は分からないけど、なんとなくその感情が伝わってくるような歌である。
盛り上がり、其の日の夕食は心地の良いものになった。
・・・・後日、「学園から聞こえてきた謎の歌」としての噂が立ったのは言うまでもない。
近所迷惑にならなかったのはいいけど、歌が聞こえて踊りだす人たちが続出したそうな。
アイラの歌の効果すごいな。
ちなみにこの日、アイラの歌っていた時間帯は最も治安が良かったそうな。
すごいなその歌の効果。




