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根性あるな

ちょっと別作品のコメントでちょっと悲しい気持ちになった。

どのようなコメントを出してもいいですが、文句もいいですが・・・はっきり言われると結構傷つきますね。

翌日、海賊の事など何もなかったようにレイたちは起床する。


 目的も果たしたので、とりあえず宿を出ようとした時であった。




「・・・・・誰か行き倒れていないか?」


 浜辺の方を見ると、誰かがぶっ倒れていた。


 うつぶせになって、長い青い髪が綺麗な人で、下の方は・・


「魚!?」

「あ、『マーメイド』ですよ!!」


 下半身の方が魚であり、上半身が人という事からすぐにどのようなモノか判明した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「マーメイド」

人魚と言うのも間違いではない。水属性に特化しており、水中では無類の強さを誇るのだが、気性は優しく、人に害をほとんど及ぼさない人畜無害なモンスター。

上半身が魚、下半身が人。もしくは上半身が人、下半身が魚の2種類がある。

歌でコミュニケーションをとるモンスターであり、その歌のうまさはほれぼれするレベル。

とはいえ、水中で暮らしているせいか、乾燥したら一気に力が抜けてヘロヘロになる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 これは後者の下半身が魚のタイプか。というか、頭が魚ってソレ半魚人って言わないか?



 とにもかくにも、どうやら乾燥しちゃって動けないようなので、水魔法で湿らせる。こういう時に水の魔法が仕えるのは便利だ。


・・・よくよく考えれば、海に入れるのもよかったかも。



 水魔法で濡らして数分、すぐにマーメイドは気がついたようである。


 顔立ちもきれいなのはいいけどさ・・・・いや前隠して。


 海の中とかだと着るものがないんだろうけど、貝殻とかつけているイメージを裏切られたよ。


 

 ハクロが糸で素早く服を作り、マーメイドに着せる。


 これで視覚的な問題は解決したのだが、別の問題が発生。


「会話が成り立たねぇ」

「~~~♪」


 身振り手振りに加えて歌で一生懸命伝えようとしているのはわかる。


 でもね、言語が人の言葉じゃないからわからないんですが。



・・・マーメイドは歌でコミュニケーションをとるモンスターであり、その歌詞までは人と同じようなものではない。


 その感情を歌に乗せるから大体理解できるのであって、日常会話をしようとしたら困難を極めるようである。



 

「でも、大体何を言っているのかはわかりますよ」

「同じモンスターでありますからな」


 ハクロたちはなんて言っているのかがわかるようで、通訳をしてくれた。本当に彼女たちが使い魔でいてくれてよかったよ。



 で、その内容によると・・・・


「『寂しい気持ちがあった。真夜中に歌っていたのは、最近亡くなった友人を思っていた。歌ってもその寂しさを紛らわしきれないところで、昨夜、あなたの姿を見て、直感でなんか埋めてくれるような気持を感じ取った。それで陸上へ上がったら、砂に水分を取られて、乾燥してヘロヘロに』だそうです」

「結構単純な内容でありますな」

「箇条書きでわかりやすい」


「今の歌にそれだけの内容が詰まっていたのかよ!!」



 にしても、直感で感じ取って俺のところにか・・・・


「これって某と同じパターンでありますな」


 と、サクラのつぶやきに皆うなずく。


 魔物使いが使い魔を得る方法には、その使い魔が自ら運命的に惹かれてくる場合があるらしい。


 とはいっても、生まれつきではなく、ある程度成長したところで自然と何かをきっかけに惹かれるそうである。



 このマーメイドもそのパターンの様で・・・・まあ、つまりは。


「使い魔にしてほしいという事か?」


 尋ねて見ると、こくりとうなずいた。


 でもなぁ・・・マーメイドって水中のモンスターであり、陸上では一気にいろいろ生活が限られるからな。


 今は夏休みであり、まだ俺は学園の寮暮らしでもあり、卒業後は宿屋に泊まったりするだろう。

 

 そして、そう都合よくは水中にすむモンスターが泊まれる場所はないだろう。



「でも、そもそも水中から出てきてここまで進んできたというのはすごい根性ですよ」

「マーメイドが陸上に上がるのにはそれ相応の危険もあるから」

「やばい人に見つかっていたら、簀巻きにされて、干されて、どこかで裁かれて・・・なんていうやばいことになっていた可能性もあったからでありますな」


 人魚(マーメイド)の肉は不老不死の妙薬なんていう迷信があるそうで、わらにもすがるような気持でそれを信じて手を出そうとする者たちもいるらしい。


 なので、近頃すっかりそのような人たちがいるのに嫌気がさしたマーメイドたちは姿をさらさなくなって、こうやって人前に姿を現すこと自体が珍しくもなっているようなのだ。


・・・それだけの事を考えても、こうやってここにいるのもそれだけ想いがあったということで。



「・・・・使い魔にしたとしても、どのようにすればいいんだ?」

「水魔法で普段から乾燥する前に湿気を取らせればいいと思いますよ」


 なるほど・・・乾燥さえさせなければいいのか。



「本当に使い魔になっていいのか?」


 一応再確認を取る。


 尋ねると、こくりとうなずく。もう決めているようだし、せっかくここまで根性で来ているしその努力は買ってあげたいからね。


 うん、望み通り使い魔にしてあげよう。



「ハクロたちは、このマーメイドが仲間に加わってもいいか?」

「レイ様が決める事なら文句はありませんよ」

「問題ない」

「うむ、某の後輩にもなるでありますからな」


 全員文句はないようだ。


「それじゃあ使い魔にするけど・・・・名前を決めるよ」


 名前を付けて、互いの合意を確認する。



 マーメイドで、海から来て、歌うから・・・


「・・・よし、『アイラ』でどうかな」


 「愛らしく歌う」みたいに考えて、ちょっと省略しました。


「・・・・!!」


 気に入ったようで、ぐっといい笑顔で親指をアイラが立てた。


 その瞬間、手の甲の方に文字が追加される。


「『使い魔4体目:アイラ』・・・・よろしくね」



 そう微笑むと、アイラは嬉しそうにビチビチと尻尾ではねた。


 そして・・・・



『・・・~~~~~~♪』


 うれしさのあまり、ノリで歌い始めた。


 その歌は悲しみのような物を感じさせる歌ではなく、そのうれしさが伝わってきて楽しい気分にさせるような歌である。


 戦闘向きではなく、皆の気分高揚係という役割になるのかな。


 とにもかくにも、帰る前にもう少しこれを聞いていたいな。


 使い魔になったからいつでも聞くことができるけど、この瞬間のこのうれしさの歌は、今聞いたほうがいいからね。


この後、宿の方にいったん戻って真夜中の怪談は今日で終わると伝えに行った。

アイラが使い魔に加わったけど、この後の移動方法どうしようか。魔法でどうにかできそうだけど・・・・

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