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深夜の歌声調べ

万が一を考え、全員水着を服の下に着用中。

・・・・真夜中、レイたちは交代で寝ながらも、昨夜にあった謎の歌声の正体を探るべく海を見張っていた。


 怪談話としてもあり、実際に聞こえたあの歌声。


 どことなく悲しい気分にさせるが、なぜそのような物を歌うのかは不明である。



「モンスターの可能性が一番大きいけど、人の可能性もあるからな・・・」

「噂によると、探ってみた人が翌朝わかめまみれになって震えていたってのもありますからね・・・注意は必要ですよ」


 

 やっぱり気になる物は、いまここできちんとその正体をはっきりさせたい。


 全員そう思って、こうして耳を澄ませていつ来るか待ち伏せているのである。



 迂闊に騒ぐとバレる可能性が高く、そのため小声で話して慎重に慎重に根気よく待つ。








・・・・月明りがはっきりとしてきて、もう草木も眠る丑三つ時になったころ合いであった。



『・・・・~~~~~♪』

「!?」

「来ましたね」


 歌声が聞こえてきて、始まったのを確信する。


 静かに音を立てないようにして寝ているほかのメンツを起こし、全員抜き足差し足忍び足で外に出て、その歌のしているところへとゆっくり近づく。


 


「・・・・あの影だな」


 見ると、海から突き出ている岩の上に、何者かの影があるのが確認できた。


 月明りはあるが、この距離だと姿が見にくいな。


 ただ、ここから身を隠す物がないので、近づいたら速攻でばれるのは間違いない。



『~~~~~~♪』


 歌が聞こえてくるけど、やっぱりなんとなく寂しく思えるような感じがするんだよな・・・・ん?


「そういえば、歌詞全然わからん奴だな・・・」


 感情的に悲しさを訴えるような想いが歌にはあるのだけど、よく聞くとその歌詞が全然わからん。



「え?レイ様歌詞が分からないんですか?」

「・・・あ、これモンスター共用の歌詞ですね」

「人間が聞いてもわからぬ奴でありますな。モンスターにしかわからないような歌詞というべきでありますか・・・」


 ハクロ、カトレア、サクラの3人にはその歌詞が分かるようだ。



・・・人が話している言語とは違って、モンスターの言葉は独特のものが多い。


 鳴き声みたいなもののようだが、モンスターの間では何故かその言葉が理解できるようなのである。


 とはいっても、ある程度知能が高いモンスターでないとその言葉は意味をなさないらしいが・・・・


 あれか、某有名なしゃべる小判が付いている猫が翻訳しているような感じか。



「なんて言っているんだ?」

「ええと・・・」

「郷愁の歌詞?」

「なんか別れの歌というか、悲しみの歌でありますな・・・誰かの名前も入っているでありますし、鎮魂歌(レクイエム)って言うところでありますな・・」



 どうも誰かを亡くし、その人に向けての歌のような物らしい。


 育った場所や、その思い出を歌にしてまとめているようなそんな歌詞らしいのである。


「・・・そっとしたほうが良いのかな」



 そういう歌詞だということは、何かを悲しんで歌っているだけの様だし・・・なんか邪魔するのは忍びない。



 と、その場を離れようとした時であった。



ドォォォォォォン!!


「「「「!?」」」」


 いきなり何かが着弾した音が聞こえ、レイたちはびくっとした。


 向こう側で歌っているらしい者もびくっと震えたようである。


「な、なんだ!?」

「レイ様!!沖合の方に何か船団が!!」



 ハクロが指さしたほうには、いつのまにか大型船・・・いや、これって。



「海賊船!?」


 月明りでまだよくはっきりとはしていないが、帆の部分にしっかりでかでか目立つようにドクロノマークが描かれていた。


・・・この世界にも海賊ってあるんだな。というか、何でここにいるの!?


 先ほどのは、どうやらあの海賊船から売ってきた大砲の玉のようである。



「ありゃ、まさか海賊が来るとは思っていなかったでありますな」

「というか、想定外すぎるよ!!」


 あ、でも盗賊とかそう言うのがいるぐらいだし、海賊とかが出ても別におかしくはないのか?


・・・しかしまあ、めんどくさそうなことになったような気がする。

そういえば、海賊って今までの作品に出したことがなかったな・・・・・。

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