VSケンタウロス
ちょっと微妙
「どうしてこうなった」
思わずつぶやくけど、まあ売られた喧嘩のようなものだし買ったほうがいいかなと思い、レイは対峙するケンタウロスを真正面から見据えた。
時間は数分前に遡り・・・・
「某は主君を探しさまようケンタウロスというモンスターであります。・・・名前はまだない」
・・・そこは「我輩」って感じの一人称の方がいいような気がする。なんか惜しいような、そんな感じだな。
「で、何か用なのか?」
「その通りであります。主君を求めて、モンスターとしての本能でさまよって数年・・・・貴公から何か惹かれるものを感じた故に、その主として求めていた物なのかもしれないと思えたのでありますよ」
魔物使いが従える使い魔たちと言うのは、その使い魔に至るまでの過程はいろいろある。
その中で多いものとしては・・・・モンスター自身がなぜか惹かれて使い魔になるというものがあるのだ。
とすれば、目の前にいるケンタウロスはそのパターンなようだが・・・・・・
「しかし、タダ勘だけに頼らずに、貴公の実力を推し量り仕えたい。そのため、決闘をここで申し込むのであります!!」
押しかけ決闘タイプとはこれまた新しいような気がする。
そんなこんなで、とりあえず実力を見るために、こうして決闘することになったようである。
ぐいぐい進められたというか、勢いがあって断れないしな・・・
「ルールは単純に降参を求める事だけであります!!某が勝てばそのままこの場を去り、貴公が勝利すれば、某は忠誠を誓い、使い魔になるでありますよ!!」
「いいんですかレイ様?こういうのを使い魔にしてもめんどくさいような気しかしませんが・・・」
「問答無用猪突猛進な使い魔とはこれいかに」
ハクロたちがそのケンタウロス側の言葉に対し、めんどくさそうな表情を浮かべる。
「まあ、使い魔が別に増えてもいいけど・・・ほっといてもめんどくさそうな予感しかしないしね」
とりあえずこちらも構えて、決闘を受けることにする。
魔法で押し切れたらいいけど、ケンタウロスは速さと攻撃力を兼ね備えた戦士のようなモンスターとも聞く。
というか、こうやってまともに対戦してくれる相手が出てくるって言うのも悪くはない。
学園だと人に向けて魔法をぶっ放せないからなあ・・・・
「それでは、この場でこれより決闘を開始します。審判は私・・・レイ様の使い魔であるハクロが務めますが両者ともそれでいいですよね?」
「べつにいいよ」
「文句はないであります」
「それでは・・・開始!!」
開始の合図が出され、簡易的な決闘が始まる。
「いくでありますよ!!」
すらりと腰に刺していた剣を抜き、ケンタウロスが突進してきた。
そこは槍の方がイメージに合いそうだけど・・・・まあいいか。
「『ウォーター』!」
まずは単純に水を出すだけの魔法を発動させた。
手から水が噴き出し、一気にケンタウロスをびしょ濡れに・・・
ドドドドドド!!
「ごぼべがぼげぇ!?」
・・・・あ、水出しすぎちゃった。鉄砲水のように押し寄せ、ケンタウロスの突進を真正面から押し流していく。
「ぶはぁっ!!何でありますかこの水の量!!」
根性で水流から抜け出したケンタウロスがそう叫ぶけど、それはこっちの調節ミスなのでどうしようもない。
「まあ、びしょ濡れになったところで・・・・・『サンダー』!!」
「水に電撃びぇぶべびべべべべ!!」
「「容赦なさすぎですよ!!」」
純水だったら電気は流れにくいらしいが、魔法によって出てくる水はそういうわけではないようだ。
弱めの電撃を出す魔法を使用し、一気に痺れさせて・・・・・そのままケンタウロスはぶっ倒れた。
水からの電撃コンボは効いたようである。ハクロとカトレアがツッコミを入れたけど、魔法無しじゃないからな。
「さてと、ここでさらに氷漬けにする魔法もあるけど・・・・ここで降参するか?」
「・・・」
「ん?おーい、聞こえている?」
ピクリとも動かなくなっているけど・・・・あれ?
「・・・・あ、気絶してますねコレ」
ハクロが恐る恐る近づいてみて見ると、どうやら気絶していたようであった。
こんなにあっさり言っていいのかよと言いたくなるけど・・・・もう少し手加減すればよかったのかな。
とにもかくにも、この場合はいまいちスッキリしないが勝ったことになった。
案外早く終わったけど、この方法次からは控えよう。あんまり面白みがないしなぁ・・・・。
気絶したケンタウロスは、とりあえず起きるまでその場で開放することになたのであった・・・・。
放っておくわけにもいかないしね。




