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あちらこちらでは

主人公不在回

SIDE都市ベタリアン支部ギルド


「・・・・ファイヤボールかそれ?」

「まったく別の魔法とも思えるのだが・・・」

「詠唱破棄なので、判断がしにくいところどぅぇす」

「けど、本質的に全く同じ魔法でーした」


 ベタリアン支部のギルドにて、ギルドマスターであるストロングはあきれ果てていた。


 見た目はまだまだ現役の40代ほどのおっさんで、かなりこわもてな顔をしているが、妻子持ちと言う意外性があった。



 たまたま留守にしていた時に、スキップ申請をしてきた新人冒険者がやった魔法が、明らかにファイヤボールを凌駕する炎の魔法を使用したというのだ。


 その魔法が直撃し、貫通した部分を見て、その溶け具合からどれだけの超高温だったのかがよく見て取れた。



・・・・魔法は基本的にイメージ力や魔力が左右されているらしい。


 だが、大抵はイメージよりもその込める魔力によって威力が高まると言われているのだ。


 そのため、このファイヤボールとは思えない威力の魔法は、どう考えても超・魔力を込めているようにしか思えなかったのである。



「登録者はレイ、魔物使いをメインとして、使い魔はアラクネとプリンセスドリアード・・・・・・げっ!?」

「どうかしたんですかギルドマスター!」

「レイと言えば・・・・まさかあの少年かよ!」




・・・数年前、ギルドマスターはこの都市にある学園の魔法審査に携わっていたことがあった。


 その時に、新入生の魔法審査の時に印象に恐ろしく残ったのが・・・・レイである。


 使い魔に美しい容姿を持ったアラクネを当時は従えており、風の噂・・・というか、学園祭の時にはプリンセスドリアードをも使い魔にしていたことを目を疑うほど見ていた。


 そのため、この名前と使い魔の情報を聞いてすぐにどこの誰かがよくわかったのである。


「あー・・入学当初は名前に『フォン』・・・つまり貴族名が付いていたけど、そう言えば貴族家を絶縁したという話もあったな。そこからまさか冒険者へなるとは・・・・」


 まさかの事に、ストロングは頭を抱えたくなった。



 このレイという少年、魔法の腕がとんでもないことは魔法審査でよくわかっていたが、この魔との溶け具合からしても当時よりもはるかに腕前が上がっていることが見て取れるのである。


「・・・基準としては、学生生活がまだあるのでランクはCへ。卒業後はそれより上につけるのですが・・・経験的に考えると絡まれる可能性がありますので」

「そりゃそうだろうよ。・・・・・これから先、厄介ごとがわんさか訪れる未来しか見えないのが頭が痛い」


 ギルドマスターとして長年勤めているストロング。


 経験上、こういう人に限って面倒ごとを引き寄せやすいということがよくわかっていた。



「使い魔をめぐっての争い、パーティメンバーへの勧誘、新人をつぶそうとするアホンダラ共が虐殺・・・・他にもいろいろある未来しか見えないぞ」


 これからを思うと、酒を飲まずにはいられないとストロングは思い思い溜息を吐くのであった。



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SIDEストラクト王国:王城



「ふむ、冒険者登録を済ませたのか」


 ストラクト王国の王城にて、国王ガウンはその報告書を読んでいた。


 王族専用の諜報部隊を使用し、レイの動向をこっそりと探っていたのである。



・・・友であるデーン伯爵の息子であり、とんでもない才能を持つ少年としてガウン国王は見ていた。


 伯爵家と絶縁し、身分は平民へと移ったようだが、それでもその才能を考えて見守っていたのである。



 王子であることを隠して通っているザフォンの話や手紙からもレイの近況を知ることができて、今日の諜報部隊からの報告では冒険者登録をしたことを知った。


「最初はCからのようだが・・・・・他国へもわたる可能性があるな。卒業後にこちから指名依頼でも出して、ランクを早く向上させられるように手助けでもするか?」



 レイの利用価値・・・・いや、優秀な息子を見るかのような父親のように、利用ではなくその将来を考えて行動を起こすべきかとガウン国王は考えた。


 こういう優秀な才能を持つ者を埋もれさせるのは惜しい・・・・・・。


 人を見抜く目があるガウン国王は、いかにしてレイの才能を活かせることができるのか考え始めるのであった。



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SIDEデーン・フォン・アルス



「・・・・・そうか、収穫物は今年もか」

「ええ、激減どころかゼロに近い状況で・・・・・その・・」

「他にもあるのだろう」

「はい、その息子様・・・次期領主様がいろいろとやらかしておりまして」

「・・・・まあ、予想はできている。だが、言うことを聞かなくなってな・・」



 デーン伯爵の最近の悩みは、自身の息子でらう長男と次男・・・バルトとザッハだった。


 


 勉強がよっぽど嫌いだったのか、それとも体を動かすほうが好きだったのか、自分たちの方がよっぽどうまくやれるとああしろこうしろどうしろとかってに領民たちに指示を出しているようである。


 本来であればまだ次期領主見習い期間・・・・要は見ているだけの立場なはずで、経営の仕方などをさらに事細かく教え込むのだが・・・ダメダメすぎる。


 ただ、肉体労働とかは嬉々としてやっているところを見ると、頭脳系と言うよりも二人とも完全脳筋なのではないかとデーン伯爵は思い始める。


・・・この際、誰かに債務関係を任せて、この二人にはおとなしく働いてもらった方がいいのではないだろうかと、ギリギリこの領地が滅びるのを免れそうなことをデーンは考えるのであった。






次回はきちんと出ますよ。

・・・なお、ギルドマスターのイメージとしては某鋼に出てくる大佐みたいな感じ。性格は違うけどね。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんだろう、2人揃って鍬を片手にすごく良い笑顔で働いてる未来が見えた気がした
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