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機会があれば迅速に

本日4話目

いきなりだけど急展開

 『面倒ごとは、ある日突然来るものだ』と、どこかで聞いたような気がする。


 というか、今まさに来ていた。



「・・・・・はぁっ」

「何よっ!!そのため息は!!」


 ・・・目の前でがみがみ言っているのはバルトとザッハの母親でもあり、異母のアレクサンドリ・フォン・アルスである。



 父さんは本日領内の見回りのために家を空けているのだが、この隙にこのがみがみおばさんがわざわざ朝から俺の部屋に来て、がみがみと文句を言っていた。


 いや本当にさ、部屋が汚いとかそういう事ばかりで語彙力ないなと思えたよ。と言うか様子から見てさ、明らかに普通とは違う様子だけど・・・・麻薬とかやっているのか?目がなんか血走っていて怖いな。


 ついでに言うなれば、バルトとザッハは今この場に居なくて惰眠をむさぼっているようである。この場にいたら余計うざかっただろう。



 そして、ハクロたちはおばさんのを見て明らかに不機嫌な様子をしていた。


 いらだったような表情をして、いつでも戦闘態勢へ移れるようにしている。


 ただここで攻撃を仕掛けないのは、下手に動くとこちらが悪いようなことになるとわかっているのだ。


 正当防衛ならいいのだが・・・・一応血はつながっていないとはいえ、父さんの正妻の立場だからな。


 いや本当にこのがみがみおばさん話長い。朝からよくそこまで文句を一方的に言えるものだ。


「まったくもう!!なんで私の可愛い息子とは違ってあなたは点数とかはいいのかしらね!!どうかんがえてもずるしているんでしょう!いや、確実にしているでしょ!!」


 うっさいなこのおばはんは。


 学園での成績評価を見たのが事の発端らしい。


 バルトとザッハの成績評価が最底辺だったのだが、俺のを偶然見たときに最高だったのが気に食わなくて、わざわざ朝から文句を流しているようだけど・・・・



「一応、俺から言わせてもらえば普通にしていれば誰でもできますよ?兄たちの場合はそれをしていないからです」

「お黙りなさい!!バルトとザッハは本当は物凄く努力しているような子たちで、学園での評価が間違っているのよ!!」


・・・こういうのってモンスターペアレントって言うのかな?親バカかな?


 どう考えても兄二人は全く努力どころか留年し続けているんだけど。



「ああもう!!めんどくさい子ねっ!!あんたは私が産んだ子ではないのになんでこの家にいるのよ!!」


 なんかもうヒステリックと言うか、そんな感じのいら立ちを見せて・・・



ぱしぃっ!!


 平手打ちを俺に当てようとしたが、ハクロが手を出して受け止めた。


 避けようと思えば避けられたけど、ハクロが先に俺をかばって手をつかんだようだ。


「・・はぁっ、レイ様に危害を加えようとしていたのでつい体が動きましたよ」

「なによ!!たかがモンスター風情が私に逆らうのっ!!」


・・・・あ、ダメだこのおばさん、完全に頭に来ているな。



「嫌になるわ!!今日中にもうこの家から出て行ってちょうだい!!私の可愛い息子はバルトとザッハだけで貴方のような子はいらないもの!!」


 そう捨て台詞を残し、おばさんは部屋から出ていった。


 



「さてと、なーんであそこまでヒステリックになっていたのやら」


 がみがみおばさんが去った後、部屋の中でレイはつぶやいた。


「『アマンダ草』を服用していたみたいです」

「おばさんがどこからか進められて吸って見たあのたばこっぽい奴か」


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「アマンダ草」

用法容量正しく使えば痛み止めとなって、間違った使用方法で快楽を得られる麻薬の様な薬草。

迂闊に間違った使用方法で扱い続ければ常習性が出てきて、薬の効果が切れればあっという間に苛立ちまくりのヒステリックな人に大変身。

ただし、大抵の場合間違った使用法なんて見つからず、見つけているとすれば・・・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「どこぞやの犯罪組織とかになるってわけか」

「そのようですよね。あのおばさんの実家って確か大貴族ですけど金の扱いとかが最近荒くなったって言う噂とかがあったようですし、疑いをかけられそうないら立ちの中で、その間違った使用方法にはまったのでしょう」



・・・どことなく仕組まれているような気がするな。


 あのおばさんをきっかけに、貴族家をつぶすかのようなそんな感じがする。



 

 こういう面倒ごとがやってきそうなのは嫌だし、あのおばさんが言ったとおりにこの際この家と縁を切るか。



 絶縁状を書き、部屋の荷物などを整理整頓して父さんの机の上に事の経緯を記した手紙を置く。


 学園の方は・・・・こっちは変更願い届け出をするかな。


 貴族籍から抜けて平民扱いにして、寮のお金とかは俺達で稼いだ方を支払う形態に切り替える。


 一応辞めるなんてもったいないし、ただ籍を抜けるだけだからね。


 あとは速めにさっさとこの家から俺たちは出ていき、学園があるベタリアンへとハクロたちに乗って向かうのであった。


 機会があるならば、貴族籍を抜けたほうがいいからね。


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SIDEデーン・フォン・アルス



 レイたちが家を出てから時間が経ち、真夜中になってデーンは帰宅した。


 そして、妻たちはどうやらすでに寝室の方で寝ているようだが、書類の整理などの仕事が残っていたので書斎の方でしようと思って入ると、机の上に封筒があった。


 手紙が入っているようで、デーンはその内容を読み・・・・・そして、驚いた。


「・・・・絶縁状だと!?」



 内容には、ここまでに至る経緯と、つまのアレクサンドリと早く分かれたほうがいいという忠告文があった。


『やばーい使用方法で薬を服用している可能性あり。バレたら連帯責任でこの家つぶされるかもよ』


 要約するとそのように読めて、事の重大さをデーンは理解する。



 ガウン国王の方でもアレクサンドリの実家の事でようやく何か掴んで、隙があれば離婚できそうだと情報が来ていたが・・・・。


 学園の費用の方は、レイたち自身が負担をするようで大丈夫と書いてあった。


 貴族籍を抜ける手続きなどは都市ベタリアンの方で行うようで、こちらからもやることは特にないとも記されている。



・・・・貴族籍に入るのは大変だが、抜けるのは実はこの国では簡単である。


 自ら自己責任と言うことで、貴族籍を抜けるという手続きは親の同伴無しでどこの都市でも可能なのだ。


 その抜ける本人でないと手続きは行えないのだが、今回はレイが抜ける本人であり、手続きは可能である。


 


 だが、貴族籍を抜けるということはレイはこの家から完全に離れる。つまり、レイの影響はこの家にはなくなるのだ。


 そのことを考えたとき、嫌な予感がデーンは感じた。


 

・・・実は、レイが生まれて以来この領地ではこれまで特に何も問題は起きていなかった。


 モンスターや動物などによる被害が他の領地(・・・・)よりも(・・・)少なく、むしろいいことが多かったのだ。


 

 レイは魔法の才能も、魔物使いとしての才能があり、森の方で魔法をぶっ放して練習していたり、ハクロやカトレアといった使い魔たちを従えていた。


もし、レイのその魔法の練習によって魔力とかが伝わって、その膨大さにモンスターや賢い動物とかが寄ってこなかったとしたら。


もし、ハクロやカトレアと言ったモンスターの気配によって、他のモンスターたちが近寄ってきていなかったとすれば。


もし、レイたちがいたことによってこの周辺が安全に守られていたとすれば・・・・・・。



 数カ月程度彼らがこの領地を出ていくのであれば問題はないだろう。必ず戻ってきて、その影響力は確実に再び戻ってくる。


 だが、ずっと戻ってこないとすれば・・・・・もしそのことを感じ取ったモンスターなどがいるとすれば・・・・・・。


 


 


・・・・デーンの予想はほとんどあっていた。


 生まれながらにして、レイは魔力やその実力などが高く、その周辺では勘で避けていたモンスターや動物たちがいた。


 避けていなかったのはそこまで賢くない物や、ハクロみたいな実力がしっかりとあった者達であろう。


 だが、それでもレイたちの影響力はこのアルス地方の方にあって、むやみややたらと被害が出ないようになっていたのだ。


 いわば、レイ自身が天より与えられた加護のようなものである。


 ついでに学園に入学したことにより、都市ベタリアンの周辺でもモンスターなどによる被害は減っていたりもしていた。



・・・だが、レイ自身がこの地を離れて縁を切った。


 それすなわち、レイの影響力がこの地からなくなることを意味した。


 デーンの予想通り・・・・というか、ほとんど運命づけられたかのように、この家の命運はすでに決まったようなものであった・・・・・。



 


レイ自身の才能とかは転生時にちょっといろいろあって今現在詳細は不明だけど、かなりの影響はあった模様。

もうしばらく先にレイ自身が気がつくのだが・・・・・

なお、冒険者登録は15歳からという制限がかかっているので現時点(10歳)ではまだ登録は不可能。どうやって金を稼ぐのかな?

この伯爵家の未来の曲として「人生終わったー」みたいな歌詞があった曲を流したい。なんて曲名だっけ?

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