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冬になりました

本日2話目

「冬休みになったけどさ、今回は兄たちも帰郷予定か」


 秋が過ぎ去り、冬の寒さが出てきて布団から出にくくなったころ、ちょうどその情報が入ってきた。


 学園の冬休みまであと数日ほどであるのだが、今日レイたちはその情報をザフォンから手に入れたのだ。


「というかザフォン、お前何処からうちの親族の情報を?」

「ああそれは秘密だ。こういう情報を得るのにもそれなりにコツがいるしな」


 授業中であるが、今日のこの授業は自習である。


 なんでも担当教員の奥さんが産気づいたらしく、慌てて授業が急きょ取りやめになったからだそうだ。



 

「バルトとザッハだったかなお前の兄貴たちって。一応律儀に決闘での決まりを守っているじゃん」

「あー、『もう関わらないでもらい、何か報復とか間接的にも直接的にもしようとしたら裸逆立ち学園内を20周してもらう』ってやつだったかな」


 いつぞやかの決闘の時の賭けだったかな。


 一応きちんと守っていることがすごいように思える。まあ出来れば破ってほしくない物だな、


 いくらなんでもやっぱり裸逆立ち姿は見たくないしな・・・・。




「とはいえ、今年の冬に家に帰るのはわかるけどさ、ちょっと気にならないか?」

「ん?」

「いや、バルトってたしかレイの家出の長男で次期当主でもあるだろ?」

「ああ、確かにそうだよ。俺は別に興味はないし、そのあたりで争いが起きないのはまだ楽かな」

「でもさ、来年で15だぞ・・・」

「・・・」


 15歳で本来は学園を卒業する年齢である。


 だが、バルトは15になるというのに来年はやっと2年生・・・いや、留年の可能性がすでに出ているらしい。


「というか、そこまで留年するのなら逆に学園を止めさせたほうが良いような気もするが・・」

「そこが貴族の体裁面で苦労するところだよ」


 さすがに学園を卒業できずに中退ってことになれば、貴族家の誇りが落ちるようなものである。


 留年し続けるのもだいぶダメな事のような気もするが、やはりそれとも別扱いらしい。


「人って本当にめんどくさいようなものにとらわれますよねー」

「そうそう、私たちのようなモンスターにとっては呆れるようなめんどくささです」


 他人事のように相槌をうちあうハクロとカトレア。


 自習時間なのをいいことに、何やらお茶を作っていた。


「あ、レイ様とザフォンさんお茶をどうぞ」

「あ、ありがとう」

「すまないな」


 ずぞぞとお茶を飲んだけど、結構うまいな。


「植物の効能を最大限に活かすのは得意だから、茶にも応用した」

「おいしいけど、そういうことができるのか」

「なんというか、レイの使い魔ってどこか規格外なところがあるな」


 素直な感想が出て、ザフォンの方はどことなく呆れたような声で言った。



「というか、実質的にあのバルトとかよりもレイが継いだ方が貴族家が発展するだろうな」

「うーん、そう言った経営とかよくわからないし、卒業後は冒険者になる予定だからな」


 面倒ごとが多い貴族はやめたいです。


 そう思いつつ、お茶を飲んでその時間を過ごすのであった。

歳月は速めに行く感じかな。

さっさと冒険者になってほしいものだ。

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