学園祭だぞ!! その4
本日2話目
しつこい教えて攻撃を何とかかわし、俺達はそのえーっと何とかこんとかと言う人たちから離れた。
「何とかこんとかって・・・それはそれでひどくありませんかね」
「少なくともバッサリ切ったカトレアよりはましかな」
「そうなのですかね?」
ハクロが呆れた顔で言い、カトレアは自覚がないのかそれとも確信犯なのかとぼけた顔をした。
とりあえず、気を取り直して学園祭を再度楽しみ始める。
「劇をやっているクラスってあるけど、これでも見に行く?」
「えっと・・『三匹のピッグコング』ですね。子供向けの童話をもとにしているそうです」
「豚?ゴリラ?」
「・・・さぁ?」
その名前のモンスターって確かにどっちなのかツッコミを入れたくなる。誰だそんな名前を付けたやつ。
まあ見に行ってみるけどな。
「・・・なんか意外な話しだったな」
「ええ、最終的には襲ってきたワーウルフが鍋に煮られてさらにピッグコングまで煮られて・・・」
「最終的においしく調理されるとは」
途中までは三匹の子豚の話だったけど、最終的に第3者の人として冒険者たちが出て、全員調理してしまうとは・・・予想外と言うべきか。
しかも匂いとかこだわっているのがまたすごい。ちょっと肉料理が喰いたくなるじゃんか。
と、思っていたら周辺の模擬店は肉料理のモノばかり。
・・・・これがマッチポンプってやつか!?
------------------------------------------------
「あーあ、結局縁がなかったようで残念だったなぁ」
学園から去る馬車の中で、帝国の皇子であるカブリはそうつぶやいた。
学園祭で見かけた美人なモンスターたちとどうにかして縁を結びたかったが、結局は連絡先なども教えてもらえずにこうしてすごすごと去るしかなかったのである。
身分を明かして・・・と言う方法は流石に使えない。
いくらなんでも自分の身分を堂々と公の場で明かして、それでムリヤリと言うのはさすがに評判が悪くなるだろう。
・・・でも、身分を明かしてそのような行為に及んでも、結局は無理だった可能性がある。
「あの魔物使いについての情報は入ったけど、これは流石に分が悪いな・・・」
聞き込み調査などを部下に行わせて少々情報を得たのだが、敵対するには分が悪すぎると理解した。
魔法審査でトップというか、その魔法の腕がすごすぎる。
詠唱破棄、全属性適正ありという魔法使いとしても最高の素材である。
そして、魔物使いはその使い魔との関係がある限り何かしらの影響があるようで、身体能力が向上しているようだ。
アラクネの方もかなりの実力があり、もう片方のドリアードはプリンセスドリアードとかいう上位種の方である。
そんなモンスターを使い魔にしているやつに、敵対して何か利益があるだろうか。いや、ないだろう。
「・・・というか、味方に引き込めた方が良いな」
プリンセスドリアードは恵みをもたらし、アラクネの方はその糸が高級素材として高値で取引される。
それに、二体とも美しくてやはりどうにかしてお近づきになりたい。
また、魔物使いの方も魔法の才能とかは帝国の魔導士達よりもあるようだし、将来を考えるならば引き込めたほうが良いだろう。
この「14の巡り」の儀式を終えた後に、その魔物使いを引き込む有用性を父である皇帝に伝えようかとカブリは考えるのであった・・・・・
次回は日常回かな




