のびのびと
本日3話目
レイ自身よりも、その周囲の方が動かしやすいな
夏休みに入ってから1週間ほど経過していたが、、家の近くにある暴君の森にてレイたちは遊びも兼ねての魔法の訓練を続けていた。
とはいっても、レイが使う魔法を、ハクロが作ったラケットでハクロとカトレアが撃ち返し、それをレイが消すというものだった。テニスとかに近いのかこれ?
そして「暴君の森」て言うけど何か由来があるのか?相変わらずめっちゃ平和な森だけどなぁ。
「『ファイヤランス』!!『アイスランス』!!『アクアランス』!!・・・」
「ランスの魔法が多いですけど、ボールの感覚とあまり変わりませんね」
「それ以前にここまで魔法を行使しているというのがすごい」
魔法を次々と発動させて打ち出すレイに対し、カトレアは称賛をかける。
普通適性の関係上全属性の魔法をうつというのは珍しい事であり、レイのその魔法自体がすごいものだと直感的に感じ取れるのである。
レイと昔からいたハクロの方はそのあたりの感覚がマヒしているような感じでもあったが。
いや本当に昔から一緒だったから、何をいまさらと言う感じなんだよ。
とはいえ、学園に入学してからようやく自分が異常なほうだと最近自覚してきたんだよ。自重はする予定はないけどね。使いたい時に使わずして何が魔法だろうか。
と、カトレアが加わって魔法を増やして試してみたんだけど、使い魔として俺との関係を持ったせいか、どうも全体的に炎や雷に対しての耐性が特化されているらしい。
ハクロの場合は全耐性の向上だったようだが、植物型としてはっきりとしていた弱点に対しての耐性が引き上げられたのだろうか?
水魔法に関しても吸収できるようで、実質的に炎、雷、水が無効化できた感じである。ハクロの場合はその耐性が付いたというだけで、完全無効化ではないからね。
そのあたりはまだ謎があるし、魔物使いとその使い魔同士での影響の及ぼし合いは未だに不明だとか。
魔物使いの才能を持つ人も少ないし、研究が進まない要因でもあるらしい。
・・・そもそも、人の見た目に近いモンスターを使い魔にしていること自体がほとんどない事らしいからね。たいていがウルフやスライムなどで、たまにサイクロプスといった程度だってさ。
いや、サイクロプスは程度に入るのか?巨人型らしいし、それはそれで危険な奴だろ。
心の中でツッコミを入れつつも、ハクロたちと夏の間中、レイは森の中で魔法を使用していたのであった。
・・・すでに相当な実力とかを持っているのだが。
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SIDEガウン・フォン・ストラクト
「ふぅむ・・・・やはりそういうことになるのか」
国王ガウンは、友でもあるデーンからの手紙を読み、レイが将来的に冒険者になって家を継がないことを確認していた。
できれば長男であるバルトには適当に退いてもらって継いでもらいたかったが、継ぐ意思がない時点で無駄なのを知ったのだという。
デーンの息子であり、次期当主とされているバルトとザッハだが、その二人についての情報も息子のザフォンからの近況報告で入手しており、どうしようもない馬鹿強大だというのはわかっていた。
また、ついでに王家の諜報部隊なども駆使して情報を集めてみたが・・・・・デーン同様、ガウン国王もその貴族家の未来が悲惨なものになる未来しか見えなかった。
国民たちにはできるだけ幸せになってほしいガウンにとって、その未来は好ましいものではない。
そして、バルトとザッハが継いだ場合に来るであろう暗い未来を避けるためには、出来れば何とかしてレイに継いでもらったほうが良いと考えていたが、冒険者としてなるのであればその方法は使用ができなかった。
・・・・なお、国にとって有益にならない者を摘み取ることは以前から行われている事でもあり、しっかりと状況証拠などをそろえたうえ潰したり、物理的なもしくは間接的な方法で跡継ぎを変える方法もある。
だが、レイの場合はその手段が使えないので、今のところバルとザッハの首の皮一枚はつながったであろう。
とはいえ、魔法の腕や、魔物使いとして従えさせているモンスターなどを考えると出来るだけこの国のためになってほしい。
どうすれば最善の選択が取れ、どうすればいいのかとガウンは考えるのであった・・・・
魔物使いと使い魔の関係についてはまだ未知数なところが多く、データがそこまであるわけではない。
なので、これから先レイがどのように成長するかも未知数である。




