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久し振りの帰宅

本日2話目

ちょっと後半シリアス

 学園から馬車に乗って2日、レイたちは自分たちが暮らしていた家に戻ってきた。



 門をくぐり、家の中に入ると父さんが出迎えてくれた。


 数か月ぶりだが、ほとんど変わりはないようである。・・・劇的に変わっていたらそれはそれで大変なんだろうけどな。






「・・・そうか、バルトとザッハは今年も戻らないのか」

「ええ、補習を受けるそうであの場所にいたままの方が都合がいいと言ってました」


 久しぶりの親子での会話だが、まず先にあのバカ兄たちの現状を伝えた。



 留年し続け、さらには俺に決闘を吹っ掛けただけではなく、代理人も大人数用意して敗北する情けのなさと言ったものを伝え、さらには学園内の彼らの評価も伝えた。


 とはいっても、手紙であらかじめ先に教えているから詳しい補足をつけ足す程度だけどね。



「ついでに言うなら、カトレアが俺の使い魔に新たに加わりました」


 カトレアの事も紹介しておく。



「始めまして、新たに使い魔に加わりましたカトレアというものです・・・」

「こちらこそどうも、息子の使い魔が増えるとは思っていなかったが、どうかよろしく頼む」


 深々とカトレアがお辞儀し、父さんも返事を返す。




「さてと、あのバカ息子たちの方だがまた留年する可能性があるのか?」


 話を元に戻し、バカ兄たちの話へと変わる。


「その可能性は・・・どうなのだろうか?」

「また可能性はありますよ?そのレイ様の兄たちと同じクラスの魔物使いの使い魔に話を聞いてみて分かったのですが、やはり授業態度もよろしくないようですし」


 ハクロが俺の代わりに返答した。使い魔同士でも会話は可能の様で、それで他のクラスにいる魔物使いの使い魔たちと情報交換を時々(おこな)っているのだとか。


 いわば使い魔同士のネットワークが構築されて、自身のそれぞれの主のために情報をやり取りすることでその生活のサポートをしようと言う試みらしい。


・・・いつの間にと言いたいけど、一応抜けているところがあっても結構頭はいいんだったな。


「今何かひどい事を思われたような気がしますが・・」


 ハクロがこっちを見てきたけど知らぬふりをした。




「来年には、レイ様の兄であるバルトは15歳となり、本来であれば学園を卒業となります。ですが、このまままでは下手するとレイ様の方が先に卒業しそうですからね」


 さすがにそうなると、この家のメンツもつぶれるようなものである。


 当主が仮にバルトになったら、留年し続け、弟にも負けた者として世間は捕らえるだろうしね。


「先に言って置きますが、俺はこの家を受け継ぐ気はありませんからね。卒業と同時にハクロとカトレアと共に冒険者にでも就職しようかと思っています」



 ・・・就職って言うのかどうかはわからないけどね。まあまだ5年はあるし、その勉強も真面目にやっておくかね。


「そうか・・・はぁっ、残念だが受け継ぐ気がないというのはよくわかった。まあ、長男が受け継ぐというのはほぼ決まりの様なものだし、最終的にこの家が滅ぼうが、それはそれで自業自得だと受け止めよう」


 もう滅ぶ前提ですか。すでに明るい未来がないのは目に見えているんですね父さん・・・。



 その場の重苦しくなった雰囲気から出たくなり、とりあえずその場から離れて俺たちは暴君の森へと向かって、そこで魔法の練習もしておくのであった・・・。



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SIDEデーン・フォン・アルス



 レイたちが部屋から出た後、デーンは椅子に腰を掛け、頭を抱えた。



 まあ大体の学園でのことはすでにレイからの手紙でも知っているし、友人である国王に頼んで実は調べてもらったこともあった。


 その結果が、バルトとザッハの馬鹿な行いの数々が判明したことと、レイが新たに使い魔を手に入れて、その使い魔が今実際に目の前で見てわかるプリンセスドリアードと言う事であった。



 バルトとザッハがレイと決闘を行い、敗北をしたのはまだいい方である。


 あれは明らかに自業自得であり、大恥をかくことになるのだがまだ本当にそこはどうでもいい。



 しかし、レイが新たに使い魔にしたプリンセスドリアードが問題だった。


 そのモンスターがいる土地はその影響を受けるのか恵まれて作物が豊作になったりする。


 そのため、このままレイがこの家に居れば、領地内の農民たちも豊作に恵まれて税収が潤うであろう。


 だが、そこが問題だ。


 レイがこの家にいれば(・・・)の話でだが、レイは15歳になって冒険者になると宣言していた。



 それはつまりこの家から出ていくことになり、その恵みも受けられなくなるだろう。


 そうなると当然豊作もなくなり、むしろあのバルト達に継がせればより過酷な運笑みが領民たちに待ち受けるのは目にも見えて容易に想像できた。


 そして、レイの事が分かって来てしまうと、この土地で将来的には・・・・・・





 そこまで想像して予測できたデーンの考えは間違っていないだろう。


 その運命は決定づけられているような物であり、すでに賽は投げられたに違いない。


 その来るべき時を考え、デーンは何とか回避できないかと悩む日々が始まるのであった。



貴族のそういう決まりとか、面倒ごとはあるんだよね。

容易に変えられないというのも貴族の慣習とかがあって本当に難しい。

将来的に、この領地ではどうなるかは、皆さんも予想が容易につくでしょう。

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