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国王とその息子

短め

主人公不在回

ストラクト王国の首都、ヴァルガスにあるストラクト城にて、国王であるガウンは夏休みと言うこともあり、偽名で学園に通っていた自身の息子であるザフォンと久しぶりの親子での会話を楽しんでいた。


「なるほど・・・・あっはっはっはっは!!まさか学園で我が子と親友の子が友達同士になるとは、考えはしていたが実現するとは思わんかったな!!」

「そこまで笑う事ですかね?」


 笑い転げるガウンを見て、疑問をザフォンは浮かべた。


「いやだってなぁ、そうそう都合よく知り合うとか本当にすごいと思えて、そのうえ友になるとかある意味すごい事だろう!!」




 同じ学園にいても、その目的の人物に近づくにはそれなりに時間はかかる。


 だけれども、自分の息子がレイと友人関係になったのはガウンにとっては喜ばしい事であった。



「さてと・・・・ではザフォン、お前に一つ聞くが、お前から見てレイはどのような人物だと思えた?」


 真剣な顔になり、ガウンが尋ねる。


「そうですね・・・友人として結構気の合うやつだとは思っていますが・・・正直言って「怖い」と思えるようなところがありますね」


 ザフォンは少々考え込んで、答えを返す。



 レイと話したりして気が合うとは思っていたが、どことなく感じるのはその才能の高さ。


 魔物使いとして、アラクネとプリンセスドリアードといったモンスターを従え、どちらもかなりの強さを誇るのはなんとなくだが感じ取れていた。


 そして、レイ自身に関しては・・・・・



「簡単に詠唱破棄、魔法の高威力、合成、などと言ったことをするので・・・・味方としては心強いでしょう。・・・ですが」

「敵に回れば、恐怖しかない・・・と言いたいのだろう」


 言葉に詰まったザフォンに対し、その続きをガウンは補足した。



 レイ自身、何処まで自分の事をしっているのだろうか。


 まだ10歳とはいえ、その魔法の際の府は極めて高く、仕えているモンスターもその能力が高い。



 また、魔物使いとその使い魔は互に干渉しあい、その能力は関係を結ぶ前よりも互いに強化されていく。


 アラクネの方は魔法耐性がとんでもなくあるということを聞いていたが、そのプリンセスドリアードの方はどうなのだろうか。レイ自身はどのようになっているのだろうか。



・・・・そして、もしもこれから先成長し、また使い魔が増えて行ったら・・・


「その力は物凄いものになるだろう。だが、敵に回ればこの国が亡びる。そういうふうに感じ取れもするな」


 もし、これが他国に知られたらどうなるのだろうか。


 自国へと引き込み、彼を戦争の道具として使うやつらが出てくるのかもしれない。


「・・・今はまだその様子はない。けれども、見守るのがあやつの親友でもあるわたしの役目でもあるのさ」



 ガウン国王は純粋に自国の民の将来を思い、レイに対してこれからどのような対応を取っていけばよいのかしばし考え始めるのであった・・・・・




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