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決闘・・だけど

本日3話目

内容的には薄いかな

決闘の日になり、レイは決闘専用の闘技場の控室にいた。


 学園の方は、いきなりの決闘だからこの機会にどのようなことになるのかを見せるために、全校生徒が決闘上の観客席に集まっているらしい。


・・・教師陣が特に見に来ているようだけど、魔法担当の人達が多いそうな。


 おい、目的って決闘よりも魔法じゃないか?


 この決闘専用闘技場だが、今レイがいるこの都市の端っこの方にある。


 なぜこのような闘技場があるかと言うと、学園には貴族の子供が多く通い、貴族流の決闘を望む者がそこそこ出ており、そのためいっそのことこういう専用の場所を作ったらという発案が出て、作られた場所らしい。


 面白がる大貴族も資金を出し、かなり立派な造りとなった上に、この闘技場にはある仕掛けがあった。


 門外不出の仕組みがわからない魔道具(マジックアイテム)で、どうやらこの闘技場内で怪我をしても、出たらたちどころになかったことになるらしい。


 なので、ほとんど気にせずに全力を出して戦えるように配慮されているという心にも優しい闘技場であった。


 ・・・ちなみに、客席の方は防護結界とかいう魔法が常に張られている状態らしく、被害が及ばないようにしっかりとなっているそうだ。匠のこだわりが見せる全員に対する配慮がうかがえますなぁ。





「さてと、この格好でいいのかな」


 レイはつぶやく。


 現在来ているのは、ハクロが作った服であり、アラクネの糸で強化されているそんじょそこらの鎧よりもはるかに防御力があり、魔法耐性も兼ね備えている。


 うん、ちょっと防御面がやり過ぎなような気もするけどまあいいか。


 心の底からあの兄共をへし折ってやろかと思っているからね。


「レイ様、負けることはないでしょうが、応援しますね!!」


 控室にて、ハクロが手をぎゅっと握って見送ってくれる。


 負ける気はしない。というか、オーバーキル行けるかもしれない。


 ハクロの応援で力が湧き、やる気が出てきたのであった。






『さぁー!!今年度の学園でいきなり決闘があったというので急きょ解放されたこの決闘用の闘技場!!実況は私、学園長でもあるゼウォン・フォン・ベタリアン公爵がお送りするぞ!!』


 学園長が実況するんかい!!



 舞台に立った俺は、その聞こえてきた実況者の名前に心の中でツッコミを入れた。


『解説は私、レイ様の使い魔でアラクネであるハクロがいたしますね』


 ・・・いつの間にか解説にハクロが加わっていたようである。


 すばやい動きで入り込んだなアイツ。



「くっくっく!!よく逃げなかったなぁ穀潰し!!」

「そうだそうだ!!」


 ・・・あ、いつの間にか目の前に兄二人がいたよ。でも、ここで出てくるだけで、試合が開始されるのは代理人が出てかららしい。

 

 一応最初の決闘の当事者たちが出る決まりは守るようだ。



「こっちこそ、二人とも良く逃げなかったなぁと思うよ」

「なに!?」

「何を生意気言っているんだ!!」


 俺の言葉にカチンときたのか、怒るバルト&ザッハ。お前らが今回直接やるわけじゃなくて、代理人を出すようだからね。



 もう正々堂々と自ら戦えばいいのに。だからダメダメなんだと思えるんだよなぁ。



 そんな事を思っている合間に、実況と解説の方で今回のこの決闘の原因が伝えられた。


 いやいやレイが決闘を受ける形となり、原因が兄たちの逆恨みや色欲的なものだと理解すると、観客たちが兄たちへ向かってブーイングをする。


 学園内でも相当な問題児だったようで、先生たちも混じってやっているんですが。教師がそれやっていいのかな?




『さてと、ブーイングも落ち着かせたところで今回の決闘の両者の賭けの内容はこうだ。バルトとザッハはレイに土下座をさせて、さらにその使い魔であるアラクネのハクロを差し出すように要求をしている。一方レイはバルトとザッハが土下座して学園内を裸で逆立ちしながら10周させて、今後一切レイ自身に関わらないでもらい、何か報復とか間接的にも直接的にもしようとしたら裸逆立ち学園内を20周してもらうという内容だ!』


「うわぁ、あのバルトとザッハってやっぱ最悪だな」

「どう考えてもハクロさんをひどい目に遭わせる未来しか見えないな」

「というか、レイが勝ってもある意味目が腐る光景にならない?」


・・・・観客の方でもバルトとザッハに対するブーイングが大きいけど、俺が勝ってもある意味キモイ光景があるからなぁ。




『レイは自分自身で戦うようですが、バルトとザッハの方は代理人を用意しているようです!!』



「そうだ、俺達にはこの代理人がいるのさ!!」

「絶対に勝てないと思える屈辱を味合わせてやるぜ!!」


 と、バルトとザッハが合図をすると、代理人控室からその代理人・・・・・ん?



『おーっと!?代理人がひ、ふぅ、みぃ・・・・・30人ほどいます!!』


 出てきた代理人の人数は30人ほどのなんかガラの悪いおっさんたちである。化粧が濃いおばさんも交じっているんだけどいいのかこれ?


「人数の制限までは細かく指定されていなかったからな!!これでもいいと思えるが?」


((((ああ、真正の大馬鹿野郎と言うのはまさにこういうやつらか))))


 この時、闘技場に来ていた全員がそう理解できた。


 確かに人数制限はなかったが、10歳の少年に対して大の大人30人と言うのは流石に卑怯すぎる。


 雇ったのはどうもごろつきとかそういう感じの人達が多いようで、冒険者の方でも低ランクの方で腐っているようなやつらも混じっているらしい。


 しかも、それぞれが斧や剣など武器を持っており、ちょっと子供相手の大人げないような気がする。


・・・まあ、普通のだったらだけどね。




『あー・・・貴族としても恥さらしの様な行為ですが、一応人数制限に関しては後日修正を書けます。ですが、今回に限り認めて良い判断をします。・・・命が惜しくないなら今のうちですが』


 俺の入学審査の結果をよく理解している教師たちが協議した結果、どうやら認められたようである。


 まさかの判断に驚く観客もいるが、こちらはこちらで噂で聞いているのか反論する気はないようだ。


 一方、バルトとザッハは認めてもらえたのがよかったのか、イラつくような笑顔になった。


「認めてもらえたが、ここで降伏するなら無しにしてやってもいいぞ穀潰しやろう」

「今のうちならまだ大丈夫だぞぅ?」


・・・うわぁ、すんごいムカつくなこいつら。


「誰が降伏するもんか。・・・というか、そこの代理人の人達!!」


 バルトとザッハを無視して、ちょっと代理人の方々に話しかける。


「なんだ?俺達の方に命乞いでもする気か坊ちゃんよう?」


いかにも柄が悪いおっちゃんが答える。


「いや、一応聞くけどさ、この二人に雇われる前に俺の事をなんて説明で受けた?」

「はんっ、しょぼい魔法しか使えないような穀潰しやろうってだけだ!!」



 ものの見事にこんな兄たちに騙されているよ。まあ、見た目は10歳のただの少年だから無理もないか。




『さて!!とりあえず互いに確認し終えたようなので決闘を開始します!!ルールとしては、どちらかが戦闘不能、もしくは降伏するまでです!!』


 単純明快でわかりやすいルールである。



 バルトとザッハが代理人たちに任せて舞台を降り、30人ほどの代理人たちが舞台へと上がる。


 1VS30・・・・数だけで言うなら不利だけど、質としてはどうかな?


『それでは決闘開始です!!』


 開始の合図が鳴り30人の代理人たちが一歩踏み出した瞬間であった。


「『蒸気大砲(スチームカノン)』!!」


ドゴォォォォォン!!


 入学審査時に使用した魔法を、わざわざ速攻で使用し、一気に衝撃波と高温の水蒸気が代理人たちに襲い掛かった。


 審査時は「ファイヤボール」と「アクアボール」を出してからだったけど、数日ほどでわざわざそうしなくてもすぐにできるようになったな。


「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

「あっつぅぅぅぅ!!」

「ひげぇぇぇ!!」



 水蒸気とはいっても、超高温のサウナを超えた状態のあつあつだぞ。


 まともに浴びればそりゃ悶えるし。



 開幕いきなりの魔法に対し、全員が驚愕の目を見開いている。


『おー、レイ様の蒸気大砲(スチームカノン)は炎と水の魔法を合わせて撃ちだす魔法です。詠唱破棄してさらに生み出す過程も省略できるようになっているんですよ』


 きちんとどんな魔法かと言う解説がハクロから入る。


 詠唱破棄、魔法合成、などと言ったことに驚く人もいるけど、バルトとザッハの方を見れば超あんぐりと開いた口がふさがらない状態になっていた。


「ぐぐぅ・・・ガキだと思っていればこの野郎!」


 と、ギリギリ直撃しなかった他の何とか無事な奴らが立ち上がり、一気に襲い掛かってくる。



 まあ、簡単に30人まとめていかないと思っていたから予想範囲である。


 そこで用意するのが別の魔法だ。


「知っている?水って電気を通しやすいんだよねぇ」


 にやぁと笑ってそう告げたときに、彼らはすぐに理解したようである。


 今の蒸気大砲(スチームカノン)だが、今回は水の量が多めであたりはびしょびしょに濡れて水たまりもできている。


 そして、俺の方は今の隙に魔法で水をふき取って伝わらない(・・・・・)様に(・・)しました。



「『サンダー』!!」


 初級クラスの軽めの電撃を放つ魔法を俺は発動させる。


 ・・・だけどね、本来は軽めだけど俺がやった場合結構なものとなり、さらに濡れているから・・・・



「あべべべべっべべべ!!」

「ほぎゃぁぁぁぁぁっ!!」

「ひぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!」



 バチバチバチっと電撃が一気に伝わり、濡れていた面々が感電する。


 筋肉がマヒして倒れて動けなくなるもの、ぎっりぎり耐えたけど焦げ目がついている人など被害は様々だ。




 この時点で大半が戦意喪失しているようで、先ほどの蒸気大砲(スチームカノン)でノックアウトしていたやつらには今の電撃でもオーバーキルであろう。


「さてと、とどめを刺そうか?この闘技場って出れば体は元通りだもんね」


 死刑宣告にも等しい声を出し、にっこりと俺は微笑んだ。


 暗に「降伏するまで魔法で散々な目に遭わせるぞ」という最終通告である


「ひぃぃぃ!!」

「いや待ってくれ!!」

「降伏をするから!!」

「やめてくれぇぇぇ!!」



・・・・・魔法を使用する前に、まだ何とか立っていた奴らが降伏をしてきた。


 理解が早いようで何よりです。



 圧倒的な力・・・までもいかないか。うん、今一つだしね。まあ降伏してくれたし、今回の勝者はすでに決まったのも同然・・



「おい!!なんで勝手に降伏するんだ!!」

「お前らが負けたら俺たちが賭け事にも負けるんだぞ!!」


 バルトとザッハの文句が飛んできた。いい加減この時点で負けていることに気が付けよ。


『えーっと、規定では代理人の降伏の時点で負けですね。レイ様に負けたという事なのに、なぜ認められないんでしょうか?そんなに文句を言うなら・・・代理人たちと同じ立場に立ってはどうでしょうか』


 解説のハクロの声が飛んできて、バルトとザッハが青ざめる。


 あの今見せた魔法の時点で雇っていた代理人たちは撃沈している。



 そこに・・・・自分たちが立たされるとなると・・・・・


「「降伏です!!」」

「「「「はやっ!?」」」」


 思った以上に速攻で土下座して降伏してきたぞこいつら。



『・・・えーっと、では勝者はレイと言うことに決まりました!!これにて決闘は終了です!!』


カァンカァンカァンと金の音が鳴らされて、決闘が終了したことを知らせる合図が鳴った。


代理人たちが運ばれていき、舞台から去る。


 できればもう少し骨のある相手が欲しかったな・・・・・あ、そうだ。


「すいませーん!まだこの闘技場って試合可能ですか?」


 実況席に向かって俺は声を上げた。


『可能ですね。ですが、何をするつもりですか?』

「せっかくまだ使用できるようだし、ハクロ!!ここで模擬戦してみる?」

「「「「「え?」」」」」


 観客全員の声がそろった。


『模擬戦ですかー?いいですよー!』


 解説席から飛び出し、ハクロが舞台の上に飛び乗った。



『えーっと、ここで決闘から、模擬戦へと変更です!!』


 ノリがいいですね実況の人。あ、学園長だった。



 なんとなく消化不良な感じだったし、ハクロとの試合をしてみるか。


 ここでなら怪我しても大丈夫そうだしね。



 ・・・その決闘から、自身の使い魔との模擬戦試合への変更に観客たちは驚いたが、面白そうなのでやってみてくれーと言う声が届き、レイとハクロは模擬戦をし始めるのであった。

次回はハクロとの模擬戦!!

この際だから実力を見せたほうが良さそうだという判断もある。

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