救出!!
これワゼが居なかったら結構危なかったかも・・・・・
SIDEハクロ
(・・・・・ッ!!)
「ぐひぃぐひぃぐひぃぐひぃ!!どうだい体の調子は?ぐひぃ」
あれから3日経ったのだろうか。
ハクロの目の前に立つ醜悪な男の姿を見て、ハクロはキッっとにらみつけた。
ハクロの今のコンディションは最悪なものである。
縛られて動けないのは体にも悪いとかいう理由で、縛り上げている鎖で無理やりな体制を取らされたり、この今いる牢の中に卑猥な薬品のお香とか言うのを焚かれたりして、もう精神的にも、肉体的にも限界ギリギリの状態であった。
様々なもので攻められたとはいえ、まだハクロの目から輝きは消えてはいなかったが・・・・・もう結構やばい。
色欲的なものはあるけど・・・・・ぶっちゃけ堕ちていないのは食欲が原因である。
何せ、この3日間貞操は守られたとはいえ、食料が与えられていない。
おそらく目の間にいる男はハクロがモンスターだという事を考え、弱らせる意味で食事をとらせなかったのだろうが・・・・・幸か不幸か、空腹感のせいでギリギリのラインをハクロは保てたのである。
(いやもう・・・いろいろされてますけど何で食事抜きなんですか!!こう薬を盛った物で体内からも責めてくる可能性もありましたけど、めっちゃお腹が空いてまだ自分を保てているんですよ!!)
文句を言いたいが、そもそも口をふさがれている時点で何も言えない。
そして相手の質問に関しても答えられないのであった。
「ぐひぃぐひぃぐひぃぐひぃ、もうあれか?我慢できない状態でいるのかぐひぃ?」
「もがーもがっがががが!!(いや性欲よりも食欲優先状態ですってば!!)」
叫ぶが、ふさがれているのでくぐもった声にしかならない。
「そうかそうか、もう我慢できない状態か!!」
ハクロの叫びを勘違いしているのか、目の前の男はいきなり衣服を脱いでさらに醜悪な姿になった。
その肌の表面には埋め尽くすほどの黒い触手のようなものがうごめいており、めっちゃ気持ち悪いテカリ具合を醸し出していた。
(いやぁぁぁぁぁっ!!)
あまりの気持ち悪さにハクロは心の中で絶叫した。
「さぁ!!この僕ちんがようやくその中に、」
その醜悪な格好をした男が、ハクロに迫ろうと足を踏み出した時であった。
「『灼熱砲』!!」
(!?)
「なっつ!?」
突如として聞こえた声にその場にいたハクロと醜悪な男が驚いた瞬間、超高温の炎が一気にその男へと襲い掛かった。
「ぎゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
焼けつくせないのか、それともあの表面の触手が防御できるようになっているのか。
ただ、その炎は一気に男を押し出し、そのまま壁へとぶち当たった。
「ハクロっつ!!」
「もががが!!(レイ様!!)」
炎が噴き出ていた方向を見ると、そこにはハクロが心の底から慕い、そして愛する人がいたのであった。
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SIDEレイ
レイは激怒していた。
自身の大事な使い魔でもあり、ずっと共に過ごしてきた家族でもあるハクロが攫われたことに。
ワゼのおかげで収音してそのハクロの居場所を突き止めた結果、首都内にある貴族街のとある屋敷の地下だという事が判明した。
その屋敷の下で、どうやらハクロは様々な責め苦を受けているようで、苦痛のモノではなく快楽を目的にされていると聞いた途端、レイはぶちっと何かが切れる音が自身の中から聞こえたような気がした。
「な、な、なにをハクロにやってんだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その予想される責め苦の内容を聞き、レイは激怒する。
怒りのあまり、魔力が増加して周囲の大気が震えた。
・・・・元々、レイは魔物使いとして働いているが、もう一つ彼は魔法使いとしての腕もあった。
サポートに使用したりなどばかりだったので、あまり意識はしていなかったのだが、それでもかなりの魔法の使い手でもあり、実力はあったのだ。
その為、激怒によって思いっきり普段無意識のうちに抑えている魔力が噴き出して、いつの間にか体を覆うような魔力が顕現しているのであった。
ハクロがとらわれているらしい貴族家は、すばやく調べて見るととある公爵家のものだったらしい。
その公爵家の現当主はまともな人らしいが、その隠居した者が問題を抱えていたようであった。
なんでも昔は色欲大魔神と呼ばれていたほど娼館に通い詰めており、衰えた今でも通っているそうである。
そして、もう一つ判明したのが・・・・その隠居した人物は魔法使いとしての才能も有り、宮廷魔導士の一員として働いていた時期があったそうだ。
その使えていた魔法の属性は闇魔法であり、様々なものを飲み込んで持ち運びできるような収納魔法の一種を扱っていたそうである。
おそらくだが、その闇魔法によって人々を飲み込み、再び出して自身の元へ集めているのではないだろうかという予想も立っていた。
そしてまた、その人物は・・・・・ハクロが消えた当日、城に訪れていたらしいという記録があったのである。
元は宮廷魔導士の一員であったために、それなりに信頼される立場にあったようでたまに相談役としてその人物は城に来ていたそうなのである。
・・・・ワゼによる情報収集で様々な音声証拠も見つかり、今回国王もその取り調べに許可を出して、堂々と正面からレイたちはその人物のいた屋敷に突撃した。
集まっていた情報によって、一直線に素早くこの地下室まで辿り着いたのだが、目の前に見えたのは今まさにハクロの純潔が奪われそうになっている光景であった。
その為、レイは勢いと怒りでハクロに影響がないレベルの炎の魔法を撃ったのだが・・・・・・
「ハクロ!!大丈夫か!!」
「もがーっつ!!」
慌てて駆け寄ってみれば、ハクロの状態はひどい状態であった。
四肢が・・・・ハクロの手や蜘蛛の下半身の足がすべて鎖に拘束されて開かれ、衣服を脱がされているがその表面に何やら薬のようなものがかけられていた。
長かった髪はぼさぼさにされていて、肌に残る様々な痕は責め苦を受けていたのが分かる。
・・・・いやまぁ、ちょっとアダルティックな状態なのはわかるけどこの状況で流石に真面目になっていないとね。
「主君!!屋敷内の者達は全て確保済みであります!!」
ガタガタとここまでつながっていた階段を駆け下りる音がしたと思ったら、サクラたちが駆け寄ってきていた。
「カトレはいるか!!後ワゼも!!」
「はい!!」
《いまス!》
先ほど魔法でぶっ飛ばし、なぜだか体が焼き尽くされずに残って、気絶しているのか寝転がっているゲス野郎は置いておいて、とりあえず今は先にハクロの解放とその状態の診断が必要であるとレイは判断した。
その為、ハクロに使用されたらしい薬の分析のためにカトレア、メイドだけど診察もできるらしいワゼを呼んだ。
つながれていた鎖はサクラがぶった切って解放し、その蜘蛛の下半身の糸の出る部分に詰められていた栓を抜き、手に付けられていた糸を防ぐためであろう手袋も脱がす。
「・・・これはよくあるえっちぃ薬ですね。それも原液のようですが、モンスターに対する知識が薄いのか、モンスターには効果が若干薄くなるやつのようです。なので、薬がかかっているところを隅々まできれいに洗えば大丈夫でしょう」
《身体状態としては精神・体力共に疲労しているようですが、最も大きいのは空腹の様で、このおかげでギリギリ理性は保てていマス。ですが、焚かれていたお香の様なものの成分が体内に入り込んでいるようなので、解毒料理を食べさせる必要性がありマス。・・・けっこう苦いので覚悟してくだサイ》
かなりの疲労があるようだが、それ以外は特に異常はないらしい。
「よかった・・・ハクロが見つかって本当によかった・・・・」
思わず安堵の息を吐き、レイは涙ぐんだ。
「れ、レイ様ぁぁぁぁぁぁ!!」
「もぐぅっ!?」
手足が自由となり、診断されて直ぐにハクロはレイを抱きしめた。
忘れているようだが、彼女は現在まだ全裸のままである。
そしてもう一つ忘れていることとすれば・・・・
「大変でしたよぉぉぉ!!もうあんなことや、そんなことをされまくって!!もう最悪で何度やばいことになったのかわからなくなるほどでしたぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぐもも・・・」
レイに助けられた安心感と、やっと会えたうれしさゆえか滝のような涙を流してレイをがっしりとd化しめるハクロ。
「もうやばかったですよぉぉぉ!食事が与えられませんでしたから空腹感で何とか理性を保てていたのですが!!もう何時正気を失うのか怖くて怖くてぇぇぇ!!」
「・・・・・」
「ハクロ!!主君殿があの世に逝ってしまうでありますよ!!」
「同様の物を持つけどその豊満なものが塞いじゃっている」
『窒息しているってーーーー!!』
「怒りを収めて、そして今度はあの世に意識を納めることになるッシャね」
「冷静に言っている場合なのん!?そしてついでに見せつけているのかもげろなのん!!」
「・・・・あ。れ、レイ様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
《・・・何ででしょうか、この光景って私のメモリーに似たようなものが浮かびましタ》
皆の叫びにハクロは気がつき、慌ててレイを解放したのであった。
真のシリアスの破壊者はハクロであった。というか、ドジキャラというかそう言うことを忘れているのが玉にキズ。
そして、先ほど炎の魔法でぶっ飛ばした人の事をすでに皆忘れているようである。
これで事が簡単に収まるわけもなく・・・・・




