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魔物使いでチート野郎!!  作者: 志位斗 茂家波
面倒ごとはやってくる
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それぞれの動き

流石に過激な表現はできないので超・抑えています。

SIDEレイ


「・・・ハクロがいない」


 いつもなら全員集まって食事をすることになっているのだが、今日の夕食にハクロの姿がなかった。


 ただ単に遅れているだけだと思いたかったが、なぜだがレイの胸中には不安があった。


 そこで皆で城内を探してみたが・・・・・ハクロの姿がないのだ。



「まさか・・」

「マイロード、おそらくその考えは皆思いついています」

「勝手に主君の元から離れるような奴ではないのを某たちは理解しているからでありますからな」


 そのハクロの姿がないことに、皆同じような考えに至ったようである。


 

 ずっと一緒に過ごしてきた仲間としても、家族としてもわかる事であり、だからこそ導き出せてしまったその回答は・・・・


『攫われたとしか思えない・・・』

「王女ではなくて、ハクロを狙っていたとしたらありえない話でもないッシャ」

「見た目がきれいな女性ばかりが・・・・つまり、モンスターであろうとも私たちも該当するだろうなのん」



 最悪の回答、ハクロがその噂の・・・・女性たちを攫う何者かによって攫われたという事である。



「・・・急いで全員離れずに捜索開始!!ハクロを絶対見つけるぞ!!」


 国王には先に話をして、一旦護衛依頼を中断して仲間の捜索にレイたちは移った。


 大事な大事な大事な仲間でも、家族でもあるハクロ。


 レイは必ず見つけ出そうと動くのであった・・・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEハクロ



「・・・・・・っ」


 ハクロが目を覚ますと、あたりはなにやら薄暗い部屋の中のようであった。


 声を出そうとしたが、どうやら口元が布のようなもので抑えられているようで、叫ぶこともできない。


 一応、気絶から覚めたばかりではあるのだが、冷静にはっきりとした思考を保てているようなので、すばやく状況をハクロは理解したのだが、最悪な状況でもあった。


 まず、手足がすべて鎖のようなもので縛りつけられていた。


 ハクロはアラクネであり、下半身は蜘蛛でその足の本数は多い。


 けれどもご丁寧に全部一本一本縛り上げられているようで、またどうやら衣服もすべて脱がされているようで、色々と大事なところとかがさらけ出されているようだった。


 羞恥にさらされつつも、自身の状況を把握するとまだ最悪なことが分かった。


 アラクネ・・・自分の最大の武器である糸が出せないようにされていた。


 手の部分には手袋のようなものがはめられており、ぴっちりとしているので糸を出そうにも詰まってしまう。


 そして、恥ずかしいような気もするが、下半身の蜘蛛の部分で糸を出せる穴が何かで栓をされているようであった。


 まさに手も足も出せないような状況で、最大の武器である糸を封じられてはハクロに手出しするすべはない。


 アラクネ特有というか、なぜかある怪力でも・・・・・鎖は流石に引きちぎれないようであった。


(・・・というか、ここってもしかして牢屋のような場所ですかね?)


 薄暗いが、それでもロウソクのようなものが壁にかかっており、その明かりで周囲を見渡すことができた。



 牢のようにしか思えないような頑丈な檻が前の方に幾本も伸びており、あたりのつくりは石壁のようである。


(素っ裸にされてうすら寒いですが・・・・この状況ですと服も編めませんね)


 全裸状態にされているので、冬が迫る今の季節、屋内だろうと流石に寒さを感じる。



(・・・・というか、この状況って絶対色々と不味いですよね。声も出せませんし・・・)

「おや?もうきがついたようだね・・・ぐひぃ」

(っ!?素っ裸の状況の時点で最悪なのに人ですか!?)



 いきなり聞こえてきた声にハクロは驚き、その方向を見ると・・・・そこには人のようなもの(・・・・・・)がいた。


 「人」として断定できなかったのは、その姿が・・・・・ろうそくの明かりで辛うじて見えているのだが、その容姿が人の形をとっているだけであり、その内面などが人では無いとハクロは直感で理解した。


 


「ようこそ、この僕ちんの特性牢獄へ・・・ぐひぃ」

(最悪なタイプ来たー!?)


 その姿を見て、ハクロは思わず心の中でそう叫んでいた。


 脂汗でてっかてか、頭つるつるに見えるけどバーコードで辛うじて髪が残っている。


 ぼよよんと超えていると言いたいけど、どちらかと言えば中年太りをしているようで、生えている腹げなどがうぞうぞと触手のように動いている。


 顔は・・・顔だけはまだイケメンの類に入る美形のようである。しかし、それ以外が最悪すぎるだろう。


 そして、その目の前にいるキモイ男はお腹丸出しの、パンツ一丁・・・・・・さすがに見ているだけでも嫌になるような醜悪さであった。


 というか、臭いもいろいろとひどい。


 風呂入っていないだろうと言いたいが、それ以前にその男が放つ口臭も最悪だろう。


 今だけはユリの様な鈍感な嗅覚が欲しいとハクロは切実に思えたのでたった。


「もがーがっががごごがっがっが!!(いったい何の目的でこんなことをするんですか!!)」


 声の出せない状態にされているが、それでもハクロはそう叫んだ。



「ぐひぃぐひぃぐひぃぐひぃ・・・いやまぁねぇ、君のその恰好の時点で僕ちんが何をしたいのかお察しでしょう・・ぐひぃ」


 いやらしい目線をじろじろとハクロの全身を嘗め回すかのように見てきて、ハクロは思わず前身の鳥肌が立った。


 その発言で、目の間にいる人物が何をしようとしているのか嫌でも理解してしまったからである。



「もがーーーっつ!(いやぁぁぁぁぁっ!!)」

「そういやな顔をしなくてもいいのだ・・・・ぐひぃ。何せこの僕ちんと○○○で×××・・・・・」


 具体的かつ、内容が聞いているだけでも顔がものすごく赤くなるほどのことを話される。



「・・・・っと、希望を持たせようかぐひぃ?今ままで言った内容は、実行するには条件が一つだけあるのだぐひぃ。君が自ら堕ちて懇願しなければ、今の内容は絶対にしない。そのことはきちんと守るのがこの僕ちんの美学なのだぐひぃ!」



 そう高らかに叫ぶ目の前の男に対して、ハクロはさらなる嫌な予感を覚えた。


「自ら」という事は通常の状態であれば確実にハクロは行わないであろう。


 でも、その言葉をよく考えるとそうさせるように仕組むようで・・・



「さて、せっかくだからその気になるまでしばらくこのままにしておくぞぐひぃ。・・・そうそう、せっかくだからこいつでその気になるまで楽しんでおけばいいでぐひぃ」

「もがっ!?」


 男が手をかざすと、その陰からいろいろな・・・・・様々なものが出てきた。


 どれもが責めるものであり、そしてもうとことん最悪なことに・・・・


「それらの表面にはサキュバスでも撃沈するような薬を原液で濃厚に塗ってあるのだぐひぃ。しかも自動生成で乾くこともなしのだ。ぐひぃぐひぃぐひぃぐひぃ!!」


 もう醜悪な笑い声をあげてその男はその場をさる。


 次に来るのは3日後だと告げていたが・・・・その場に残されていた物は、ハクロの方へにじり寄ってくるのであった・・・・・



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SIDEルンべルドン自宅



《ガンガンガンガン♪若い命が~♪》


 その頃、ルンべルドンにあるレイたちの自宅である屋敷では、ワゼが窓ふきをしていた。


 鼻歌を歌っているが、なんとなく自身の記憶回路にある適当な歌を歌いながらである。なので意味とかは全く知らない。




 指名依頼によってレイたちがまだ帰ってこないらしいという情報は、すでにワゼの耳に入ってきていた。


 魔道具(マジックアイテム)であり、メイドでもある彼女は情報収集能力が非常に高く作られている。


 その為、大体どのぐらいで戻ってきそうなのか計算も兼ねていたのだが・・・



《・・・・おヤ?》


 ふと、ワゼの耳に情報が入った。


 ありとあらゆる情報が彼女の耳に入るように設計されており、どんな距離を離れていてもどのような噂があるのか、その会話内容があるのかまで認識ができるのだ。


《コレハ・・・厄介そうなものですカ》


 そして、たったいま彼女の耳には首都でのレイたちの情報が入ったのだ。



《どうしましょうかね・・・少々屋敷を開けても問題は無さそうですし、早く問題を解決しないと大変そうですから行きましょうカ》


 そうワゼはつぶやき、窓ふきを終わらせて屋敷の戸締りをしっかりかける。


 ついでに屋敷周辺にも侵入者撃退用のトラップをかけまくってからワゼは駆けだした。



 自身の主であるレイの元へ、その今まさに起きている問題の解決の手助けをするために。



 常人ならば首都まで走っていくにはかなりの時間がかかる。


 けれども、ワゼは魔道具(マジックアイテム)であり人ではない。


 その為、ありえない速度で駆け抜けていき、その様はのちに「超高速で追い抜いた謎のメイド」として噂が立つのであった・・・・・・

シリアスな雰囲気になる予定が、最期のワゼの行動で台無しなような気がする。

優秀すぎるメイドはシリアスでさえ雰囲気を捻じ曲げてしまうのだろうか。

そして、ハクロの運命やいかに・・・・・

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