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魔物使いでチート野郎!!  作者: 志位斗 茂家波
面倒ごとはやってくる
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謁見と報告

結構久しぶりのガウン国王との会話になるんだよね。

 予定時間頃にレイたちは王城の門前に来ていた。


 あらかじめ、ルンべルドンから国王宛に謁見という名の指名依頼内容の報告をすることを伝えており、その時間に行くことを申し合わせているのである。


 その為、簡単な身分証明の後にすんなりと王城へレイたちは足を踏み入れた。






「久しぶりだな、レイとその使い魔ハクロと・・・増えた者たちよ」

「お久しぶりです、ガウン国王陛下」


 謁見室にて、玉座に座りながら目の前にいるのは、このストラクト王国の国王ガウンである。


・・・・王子も王女も王妃もいるはずだが、こちらは今回この場にいないらしい。それぞれの都合があるのだとか。





 その場で軽い挨拶を交わした後、今回のベスタリーニァ王国での報告をガウン国王にレイは告げた。


国内の情勢以外にも、暗殺者が向けられたので少々自分たちで動いたこと。


その禁忌の研究が人工生命体の作成及び兵器化することであったこと。


その人工生命体を引き取ろうかと考えて、完成させたのちに使い魔として契約して見たらなんか違うみたいなこと。


宝物庫から国庫金を全部奪ってきたこと。




 ・・・・等々、今回の依頼で起きたことをレイは全て報告した。


「そして、その禁忌の研究の目的とされていた人工生命体がこちらのセラフィムです」


 セラフィムの方を見ると・・・・・・目をつぶって立ったまま寝ていた。


 どうやら長々と報告したものだから、眠くなったようである。というか、立ったまま寝るってどれだけ器用なんだこいつ。



「おーい、セラフィム起きろー」

「むにゅ・・・・・はっ、寝てしまっていたなのん」


 軽くゆすると、すぐに起きた。




「あっはっはっはっはっは!!デーンの家で会って以来だったが、やはり相当優秀だったようだなレイよ」


 そのやり取りが笑えたのか、笑い声をあげるガウン国王。


「そのおかげでベスタリーニァ王国の軍が混乱しておるのか、もうそろそろこのバカげた戦争も終わろうとしておる。その禁忌の研究の物であったというその者はそのセラフィムという名にして、お主が所持しておるし、資金もすべて取られてはもう数日もしないうちに降伏するであろう。今回の働き、指名依頼を出して本当によかったと思える!!」



 資金源を潰し、一発逆転材料だった人工生命体も取られて、もうベスタリーニァ王国は戦争を続けることが出来なさそうだという。


 しかも、民衆の不満が高まり、もはや国がつぶれるのも一刻の猶予もないそうな。


「指名依頼はこれで完了だと我は思う。このことをギルドで手続きをすればすぐにでも達成報酬がもらえるであろう」

「はい、わかりました」


 指名依頼達成の事を確認し、この後はギルドで手続きを行って達成報酬をもらうだけである。




「・・・・しかしレイよ、お主がデーンの元から絶縁して数年経ったが、今のその生活を考えて悔いはないか?」


 さぁ帰ろうかという雰囲気になっていたのだが、そこでふとガウン国王は真剣な顔でそう尋ねて来た。


「悔いはないですね。あの元兄たちにもその母親にも言われましたし、愛想が尽きていますからね。未練はないですし、元より貴族としてよりもこうやって冒険者として生きている方が楽しいですね」


 すぐに返事は返せた。


 心からの本心でもあり、悔いは全くないのだ。



「ふむ・・・スッキリ言い切ったな。それも良い。どうせならば爵位でもあげて、どこかで貴族としてその優秀さを活かしてほしいとも思ったが、貴族よりも冒険者として働くことが良いという事を聞いたからにはそれは別に良いな」


 おい、貴族籍をついでにあげるつもりだったんかい。


 冗談だとしても、絶対辞退するからね。貴族は面倒だからな。



「では、今日の謁見もそろそろ終了だ。どうせなら魔法の腕もすごいそうなので宮廷魔導士としても雇いたかったが・・・・まぁ無理かのぅ」


 どこか残念そうな声を上げて、ガウン国王はそう言ったのであった。


 その地位もいらないし、今はハクロたちと冒険者として活動していたいからね。





 退出し、その日は首都の宿屋にてレイたちは宿泊するのであった・・・・・・・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDE???



「なにっ!?見つかったというのか!!」


 首都にある貴族街のとある屋敷にて、部下からの報告を受けた貴族が驚きの声を上げた。


「はっ、間違いないと思われます。十数年以上前から探し求めていた希少種でもあり、美しい美貌を持つアラクネの姿が首都で目撃されました。すでにある魔物使いの使い魔として仕えているようですが、我々が探し求めていたモノだと言えるでしょう」

「くっくっくっくっく・・・・ようやくそのアラクネがこの首都内に現れたというのか・・・」


 その貴族は笑みを浮かべ、ニマニマと欲望丸出しの笑みを浮かべた。


 彼らはマニアとも言うべきか、古今東西珍しいモンスターを集めて飾ることを趣味としている変わり者の一派であった。



 冒険者たちに指名依頼を出して希少なモンスターや、見麗しいモンスターなどを捕まえ、観賞し、美しいモノであれば色欲で味わい、飽きたら標本にしてしまう。他の貴族達から変わり者の大変態とまで言われていたほどであった。


 そんな彼らが首都内で手に入れた情報が、十数年ほど前まで求め続け結局は手に入れられなかった美しいアラクネの事である。


 しかも、情報のおまけとして、そのアラクネを従えている魔物使いの使い魔には他にも見たことが内容なモンスターや、美しいモンスターがいると聞いて、その貴族はどうしても欲しくなった。




「所詮平民、高い金で買えば渡してくれるだろう」

「金ですが、前当主様からの金もまだありますし、我々の権力を使えばそう難しい事でもありません。明日中にそのモンスターを手に入れられる可能性が高いでしょう」

「くっくっくっく・・・・楽しみだな。まあ、逆らったら力づくでも手に入れてやるか。なぁに、権力があればもみ消すのも容易いからなぁ」


 悪い笑みを浮かべつつ、そのモンスターを渡すように交渉するための準備をそのK時億たちは行うのであった。



・・・・ガウン国王は人を見る目があり、重臣たちも、その周囲の貴族も立派な人物が多い。


 だが、すべてを見ることができるわけでもなく、その2世、3世辺りでは腐るようなやつもいたりした。


 そこまでのケアを現在行っているようであったが、まだまだ完全ではない。


 そして、その不完全さゆえの事件が起きようとするのだった・・・・・・・・・・・・・・・

・・・やらかす奴は、何処にいても確実にやらかす。

親が立派だとしても、その子までが立派に成長するかと思えばそうでもない。

まあ、戦力的に考えてどうこうできる話でもないだろうけどね。情報に疎いという事は、それだけ無能だともいえるわけだし。

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