帰還!!
とは言っても一時的なモノかな。
・・・・ベスタリーニァ王国から、行きにかかった時間よりも早くレイたちは迷宮都市ルンべルドンへ帰還できていた。
理由としては、財産も切り札も失った国からとっとと逃亡したかったのである。
「どう考えてもすぐに政変とか、反乱とかが起きるしな」
「降伏の方が早いでしょう。もしくは背水の陣で交戦して・・・」
「あわよくば勝利して金がないのをごまかしたりするかも」
「そう都合よくいかないでありますな。むしろ重税を一気に無理やりかけてむしり取るでありましょう」
『そんなことしたら滅亡まっしぐらー』
「真の馬鹿ならばやらかすッシャ」
「間違いなさそうなのん。こうやって親様と一緒に行けて良かったなのん」
全員口々に予想を言いあいながらも、とりあえずまずは依頼達成の報告をするためにレイたちはぎルドへ向かった。
時間帯的に第1ギルドに入ると、久しぶりのハクロたちの姿に周囲の人たちは歓声を上げ、また新たな仲間のセラフィムを見て喜ぶ者や、あからさまに自身の胸を見てほっとする女性たちの姿を見かけた。
・・・・セラフィム、そのことに気がついてちょっとこめかみに青筋立てていた。いや本当になんかごめん。その姿になったのって不可抗力だけど本当になんかごめん。
まあ、依頼内容の事もあり、ギルドマスターの方に直接相談したほうがいいだろうと考え、バリドスゲーフさんに俺たちは先に話すことにした。
ギルドマスターであるため、バリドスゲーフさんは直ぐに依頼について理解し、内容を聞いた。
どうやらバリドスゲーフさんにとっても、このルンベルドンを攻撃してきたベスタリーニァ王国は気に食わなかったようで、こっちが調査のついでにやったことですかっと胸の内がはれたらしい。
「ぐわはっはっはっは!!なるほどぅ・・・・禁忌の研究・宝物庫内強奪とはやりおるだべさ!!」
笑いながらバリドスゲーフさんはそう言った。
「あとはこの報告を城の方に・・・指名依頼をしてきた人にすればいいですよね」
「おう、首都の方へ向かうのか」
・・・この依頼は指名依頼であり、依頼者はこの国のガウン国王である。
過去幼い時にあって以来の久々の顔合わせになるだろうけど、謁見という形で報告することになるのだろうか。
「指名依頼故に、その報告という形だけならそこまでかしこまらなくてもいいだろうべ。だが、まずは一晩休んで、そこからゆっくりと首都へ向かえばいいのさぁ」
「わかりました」
ギルドマスターに相談し終えた後、レイたちは家に帰宅した。
しばらく留守にしていた状態だったので、泥棒とかが侵入していないかなと思っていたら・・・
「思った以上に侵入していたよ」
「馬鹿なのですか?阿保なのですか?」
庭に仕掛けていた罠に、侵入しようと思っていた者たちが見事に全員捕まっていた。
意外にここまで多いとは思わなかったが・・・理由としては、俺がAランク冒険者だったというのがあるらしい。
収入も多そうだし、家にかなりの金を蓄えていそう。
ついで誰も留守番していないし、ならば報復されたりしたら怖いけど、そうなる前にさっさとトンズラをここうぜという感じでこのバカたちは来たようである。
ちなみに、この者たちは聞くと元々低ランク冒険者だった者とか、何かやらかして冒険者資格をはく奪・永久追放されたごろつきのような者達だったらしい。
このようなことをやらかすあたり、そうなった理由がものすごくわかった。
ついでに、しかるべきところに引き渡し、ごねようとした者たちには、余っていたあの自白剤を少々手の届きにくい厄介な部位にかけてあげたりしました。
「うぐぁぁぁぁぁl!!」
「痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い!!」
「ひぎゅけけぇぇぇぇl!?」
「いっそ息の根を止めてくれぇぇぇぇぇ!!」
「・・・・相当痒いのかな?」
「寿命が短い薬品なので、消費期限が切れて効力はもうありません。ですが、副作用だけは何重倍にもなっているようですね」
それって自白剤から超かゆみ引き起こし薬になったという事でいいのだろうか。
というか、あの暗殺者たちよりも相当痒がっているのでやばそう。
まあ、泥棒をしようとした者たちだし、同情の余地ないかな・・・・・多分。
とにもかくにも、久々の我が家にレイたちはゆっくり体を休めるのであった。
後日談
・悲惨な泥棒たちの末路が噂で広まり、しばらく泥棒の被害が都市内では激減した。
・レイの屋敷にはそうそう怪しいような奴らも近寄らなくなった。
・猛烈な痒みを引き起こす薬を欲しがる人が出た・・・・・なぜ?
次回は首都にあるお城へ向かい、ガウン国王にレイは久々の再開をする予定。
セラフィムの「???」の事もそこでわかるかな?




