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魔物使いでチート野郎!!  作者: 志位斗 茂家波
面倒ごとはやってくる
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考える者達

・・・主人公今回出番なし

SIDE:ベスタリーニァ王国



・・・・・ストラクト王国に宣戦布告し、最初の国境近くにある迷宮都市(ダンジョンシティー)ルンべルドンでの戦闘にてベスタリーニァ王国軍が惨敗してから2カ月余りが経過した。


 夏が過ぎて秋に入り始め、その2カ月の間に様々な戦があったのだが、ベスタリーニァ王国側が毎度惨敗し、中には無血降伏として戦闘の前に明け渡されたりなどする都市も出て、次第にストラクト王国側が優勢となって、あれよあれよという間にベスタリーニァ王国は劣勢へと押し込まれていった。


 戦争により物資も不足していき、兵士として狩り出されるものも増え、あっという間に国民の不満も高まっていく。



 ただ、まだ国民が爆発していないのは、戦場へ行った兵士たちの中に嫌われ者の貴族やその面倒ナシオクなどが含まれており、領内の悪徳領主なども姿を消したからであろう。



 ビスマトル元帥はその辺の配分をわきまえており、きちんと優秀な者たちを国内に出来るだけ留め、無能な者たちだけを戦場へ送っているのである。


 戦況は無能な者たちによって不利になるとはわかっていても、それでようやく国内は浄化されるのだ。


 戦争に負けようが、なんだっていい。


 出来るだけ平和な国へ、無能者が居ない国へと彼は変えたかった。




・・・・しかし、その配分に異を唱える者がいた。


 王城にて、新国王とその取り巻きの貴族達である。


 彼らにとって、この戦況の不利さは上の無能だと言いまくり、功績を挙げようとしていた新国王のメンツは丸つぶれという事で、そのうち彼らは軍の上層部と激しく口論しあい、ついには聞く耳を持たぬ者は国にはいらないという事で、軍の上層部の排除に踏み切ったのである。



 だが、そんな計画は丸聞こえであり、愚王の様子を見て時期を見ていたビスマトル元帥たちであったが、もう取りまきに毒されて変わらぬ愚王をついに見限り、暗殺者たちが仕向けられたころには、すでにビスマトル元帥たちについた者たちが辞職し、国を出ていった後であった。



・・・・本当なら、その時点で自決までして死ぬ覚悟が彼らにはあった。


 だが、ビスマトル元帥たちを慕う者たちがそのことを察し、必死になって・・・死んだらそれこそこの国の滅びの様なものであり、あの愚王が死ぬよりも重すぎるなどと説得して、彼らは死ぬことを取りやめ、国を出るようにしたのである。




 暗殺の手間が省けたと愚王とその取りまきたちはそう考え、空いた軍のトップを己の血縁者、もしくはわいろを渡してきた者たちに与え、さらに滅びの道を辿っている事には気がつかなかった。



 そして、戦況が変わらぬことに愚王はイラつき、ついには・・・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEストラクト王国:王城内特別客室



「・・・・ふむ、禁忌ともいえる研究に手を出したという事か。なんと愚かな奴らだ・・・」

「あんな愚王でも、そのうち変わるかと思ってました。しかし、自分にとって都合のいいことを言うやつしか囲わず、本来であれば自決覚悟だったのですが・・・・・部下たちの必至な、それこそ私たちが抱いていた覚悟以上のものを感じて、こうして今亡命してきたのです」


 ストラクト王国の王城にて、ガウン国王は亡命してきたベスタリーニァ王国軍のトップたち、その代表であるビスマトル元帥と会談をしていた。


 ここに至るまでにきちんと武装解除や攻撃意志のないことを確認しており、万が一を備えて騎士たちも待機させている万全の状態であるが、ガウン国王は人を見る目がきちんとあり、今目の前にいる熟練のベスタリーニァ王国軍元帥であるビスマトル元帥が嘘をついていないのをわかっていた。


 ビスマトル元帥たちとて、本当は国を捨ててこうやって亡命したくはなかったはずだ。


 だが、己を慕う部下たちの必至な言葉に、心を動かされこの地に来たのである。



 どれだけの覚悟があって、そしてその部下たちからの信頼もどれだけ厚いのかもガウン国王は見て取れた。



・・・・とはいえ、ビスマトル元帥たちは手ぶらで亡命してきたわけではない。


 きちんと重要情報などをしっかり手土産に持ってきているあたり、しっかりしているだろう。


 ただ、今もたらされた情報は少々厄介なものでもあった。


「禁忌ともいえる研究・・・・一体何に手を出そうとしているのだその愚王は」

「そこまで詳しくはわかりませんでした。ただ、完全にろくでもないことが確定しています」


 ううむと、互いに深く考え込むガウン国王とビスマトル元帥・・・・いや、今は軍を抜けているためビスマトルだけでいいのかもしれない。


 しかし、どれだけベスタリーニァ王国の国王が愚かなのかは、よくわかった。



「・・・ベスタリーニァ王国へ現在兵士たちが進軍できておるが、それでもまだ中心部までにはたどり着いておらぬ。その詳しい情報は入ってこぬからな・・・」

「軍より身軽で、なおかつ早く動け、実力もあるような者たちが調査できればいいのですが、流石にそう都合よくは・・・・」

「・・・・まてよ?その条件なら満たしておる奴らがいたな」



 ふと、ガウン国王はとある人物の姿を思い浮かべた。


 過去に親友の家へ言った際に見た程度だが、それでも今の状況も時たま調べているある魔物使いを。


「冒険者をやっているのだが・・・・果たして、指名依頼をして受けてくれるかどうか・・・・」

「危険な場所に飛び込むことにもなりますし、もう少し考えましょう」


 とにもかくにも、その依頼をガウン国王は指名依頼として出してみることにした。


 その相手は今ルンべルドンにおり、戦争に参戦しろとかは受付無さそうだが、この程度なら何とか受けてくれそうなとある相手に・・・・・

さてと、ベスタリーニァ王国が終わる未来が見えてきた・・・・・・

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