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魔物使いでチート野郎!!  作者: 志位斗 茂家波
面倒ごとはやってくる
113/154

見たければ 見せてやろうぞ 地獄絵図

なんかこれじゃない感

SIDEレイ


 ベスタリーニァ王国軍がドカンドカンと城壁に向けて攻撃している間に、迷宮都市(ダンジョンシティー)ルンベルドン中の冒険者たちは現在、あちこちに散開し、すでにそれぞれの役割を利用して反撃の準備を整えていた。


 冒険者たちの中にはベスタリーニァ王国出身の者もいたりしたが、彼らからしてみれば自分たちがいるのに問答無用で攻撃してきたのを怒っているし、それ以外の冒険者たちでも、日が暮れてきたから宿で寝ようかと考えていたり、酒場で飲み明かそうとしていたのに邪魔されたような感じになり、同様に激怒しているようであった。


 また、迷宮(ダンジョン)内に潜っていた他の冒険者たちも呼び出され、事情を聞いてこの都市の防衛戦に参戦する意思を決定した。




 一応、この都市での防衛戦という事もあってギルドが指揮を執るようであり、ギルドマスターである禍鬼氷(かきごおり)のバリドスゲーフさんが総大将の様な役目をするらしい。



 全員それぞれの配置を突き、あたりが暗くなる中、魔法を使えるものは明かりを灯したり、魔道具(マジックアイテム)で明かりを確保する。


「さてと、防衛戦という事で参加したけど・・・・なんだろう、ベスタリーニァ王国軍がかわいそうになるな」

「だってここにいる冒険者たちって普段からモンスターひしめく迷宮(ダンジョン)に挑んでいるわけですし、そこいらの軍隊よりかは強いですよね」



 最終確認の打ち合わせが行われる中、レイのつぶやきにハクロが答えた。


・・・いやだってね、本当にこの都市舐めたら危険だよ?


 冒険者たちの実力は高い人が多いわけであり、普段から迷宮(ダンジョン)にて戦闘慣れをしている。


 そして、相手のベスタリーニァ王国軍だが、普段は演習の方が多そうだし、血気盛んな冒険者の恐ろしさを知らないであろう。


「まあ、せっかく『魅了の魔王』なんて二つ名がついちゃったし、俺も魔法で全力を出してみようかな」

「あ、レイ様は加減してくださいよ?」

「某は戦闘を挑んだことがあったからわかるのでありますが・・・・・いや本当に、加減してほしいでありますよ」


 

 たまには魔法で本気を出してみようかと意気込んだら、ハクロたちに加減を頼まれた。


・・・しょうがないか。まあ、でもハクロたちだけでも十分相手できそうだしな。




 そう思いながら、レイたちは攻撃を開始するために城壁の上に登り、そこから一気に降りて開始し始めるのであった・・・・・・。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEベスタリーニァ王国軍



「くそう!!結構頑丈だなあの城壁は!!」


 ベスタリーニァ王国軍で現在攻撃魔法によって、都市の周辺を囲う城壁を破壊するための指揮を執っていたゼラメンダーは叫んだ。


 思った以上に固く、魔法使いで固めた魔道部隊の爆裂させる系統の魔法でもびくともしないのである。


「ここは一時撤退を考えるべきか・・・・・ん?」

「おい、あれ内側からだれかでてきてないか?」



 ふと気がつくと、都市の方からベスタリーニァ王国軍に向けて駆けだしてくる人たちの影が見えた。


 服装から考えるなら都市側の冒険者達だろうが、ベスタリーニァ王国軍の者たちは甘く見ていた。


 所詮、冒険者風情がこの数に勝てるわけがないと。



・・・・だが。





「ぎゃぁぁぁあぁ!!」

「うぎゃか!!腕がぶっ飛んだぁぁぁ!!」

「ア―――――――――――――――ッ!!」

「ひぇぇぇぇ!!悪魔かこいつらは!!」


 ・・・・モノの数分で、前線は一気に総崩れとなった。


 冒険者たちがあちこちで魔法をぶっ放したり、でっかい大鎌で切り裂いてきたり、ハンマーで叩き潰してきたり、その上魔物使いたちが自分の使い魔たちをけしかけてきたりなどを仕掛けてきた。


 その行為に最初は舐めていたベスタリーニァ王国軍。


 けれどもすぐさま理解してしまった・・・・・・自分達よりもはるかに戦闘に関しての経験が高く、質がものすごく良いのだと。




 そのうえ、なにやら妙な歌声が戦場に響き渡り、都市側の冒険者たちの士気はその歌を聞いて高揚し、ますます張り切っていく。


 逆に、ベスタリーニァ王国軍の兵士たちは士気が駄々下がりになり、恐怖心が増加して逃げ出そうとする者たちが続出してきた。



「な、なんでだこの状況はぁぁぁぁ!!」


 指揮を執っていたゼラメンダーは叫ぶが、時すでに遅し。


 丘の方にある本営陣に知らせに行こうとしたが、その前に目の前に迫っていた冒険者に捕虜にされたのであった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEベスタリーニァ王国軍:駐留地点:ベッカンニ将軍


「な、なんだよんこの状況は!!」


 外が騒がしくなり、不思議の思ったベッカンニ将軍は、月明りに照らされて見える戦場の様子を見て驚愕の声を上げた。


 先ほどまで防戦で限界かと思っていた都市ルンベルドン側が、そこから冒険者たちを参戦させて、瞬く間にベスタリーニァ王国軍の兵士たちが蹂躙されているのである。



「くそう!!まずはさっさと撤退するのだよん!!」


 腐っても将軍の地位にいるベッカンニ将軍はすぐさま戦況の不利を悟り、逆転できないと判断して逃げようとした時であった。



「お主が総大将でありますな!!」

「何者だ、ゲフヨン!?」


 突然背後から衝撃を受け、ベッカンニは何度も地面を転がり、ようやく立ち上がって叫んだ。



 見れば、下半身が馬であり、鎧で装備を固めた・・・・ケンタウロスと言われるモンスターのようである。


「な!?モンスターだとよん!?」

「そのとおり!!某はとある主君に使えているケンタウロスであり、今回の防衛戦にて総大将の首を打ち取るためにわざわざ全速力で目指してきた使い魔でもあります!!」


 ビシッと威風堂々宣言する様にベッカンニ将軍は驚きつつも、すばやく帯刀していた剣を構えた。


「このベスタリーニァ王国軍将軍ベッカンニは負けるはずがないのだよん!!本当ならば逃げたいよんが、貴公の真正面からの攻撃には腐っても将軍である我が魂に火をつけたのだよん!!」


 命の危機を感じつつも、もはや逃げられないとベッカンニ将軍は悟ったのだ。


 ここは本当は泣いて逃げたいところだが、このまま逃げたとしてもどうしようもないことに彼は気がついたのである。


 近年、なかなか起きぬ戦争にぐうたらし、いつの間にか腐っていたベッカンニ将軍。


 けれども、それならばせめて目の前に立つ人ではないにしろ、堂々としているこの相手に対して一矢報いたいと決めたのだ。



「ふむ、お主のその決意はわかったであります!!騎士道を行く者として、このサクラが全力でお主のお相手をいたすのであります!!」

「ベスタリーニァ王国軍将軍ベッカンニ!!今ここで貴公に返り討ちを宣言するのだよん!!」


 そう言い放ち、ベッカンニはなまってはいるが剣を振り下ろす。


 けれども・・・・・



ガキィン!!


「なっ!?」

「・・・・総大将ゆえに手ごわいかと思ったらこの程度とは悲しいのであります。という事で、さようならでありますよ」


 簡単に剣を弾き飛ばされ、唖然とするベッカンニを見て、サクラは剣を振り下ろし・・・・・・・寸止めした。


 その時には、ベッカンニはすでに意識を失っていた。



「こやつがこの総大将でありますな・・・・腐りきっていそうだったでありますが、まさか最後に勇気を見せるとは、敵ながらあっぱれだったであります」


 そういうと、サクラは持ってきていたロープでベッカンニを縛り上げて、総大将を捕縛したと叫び、ベスタリーニァ王国軍に降伏するように言うのであった・・・・・。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEハクロ&レイ


「あ、サクラが終わらせたようですね」

「あっけないもんだな」


 敵陣営にハクロトレイは現在潜り込んでいた。


 手あたり次第糸で捕縛したり、魔法でふっ飛ばしたりしていたのだが、想った以上にルンベルドンの冒険者たちがすさまじかったので、今回は敵の情報を探る方に力を入れたのである。



・・・というか、俺達必要あったのかな?あ、サクラが敵の総大将を捕獲したようだし良いのか。


 あまり目立たことはしておらず、後はせいぜいアイラの歌によって皆の戦意を向上させたぐらいかな。



「レイ様、都市攻撃用の指令書みたいなのがありました!!」


 ハクロはどうやら重要書類を見つけたようである。



 見ると、その内容は今回のルンベルドン侵攻に関するものと・・・・


「ん?もう一つあるな・・・」



 隠れてもう一つ、こちらは読まれていないような書類があった。


「閲覧可能階級は・・・・将軍以上のやつだな」


 内容を見て見ると・・・・・ちょっと考えるような内容があった。



「『切り捨て測定作戦』だと・・・・?」



・・・・内容を見ると、今回のルンベルドンの侵攻にはとある目的が隠れていたようである。


 表向きは、都市資源の略奪と要塞に改造する拠点確保。


 だが実際の裏の目的は・・・・・・ベスタリーニァ王国軍にとって、今邪魔な奴らの一掃と、相手の戦力を測定することの様であった。



ベスタリーニァ王国での、貴族家の当主になれないような者たちを手柄を立てれば優遇してやるよという感じの約束をし、その者たちが全滅してもいいからストラクト王国側の対応の速さと戦力を分析する目的があったようなのだ。


・・・そりゃまぁ、数こそ正義と思っているようなやつが多いわ。まさか戦力分析のための捨て駒扱いとは思っていなかったのだろう。



「でも、大半を捕縛したようですし・・・・」

「正確には把握し切れていないだろうけど、こりゃちょっとした面倒ごとになる可能性があるな・・・・」



 外に出て、大体捕虜にしたベスタリーニァ王国軍の兵士たちを連れていく冒険者たちに混じり、レイたちは都市へと戻る。


 そして、この見つけちゃった面倒な書類の数々をギルドマスターへと知らせに行くのであった・・・・・

・・・軍の暗号とか、そのツッコミは無しでお願いいたします。

今回レイたちよりも、物凄く意気込んでいた冒険者たちが目立ってしまった。

サクラが総大将を生け捕りにしたのはあるけど、特に今回レイたちは目立っていないのである。

そして、面倒ごとはまだまだありそうです・・・・・・・・・・・続くなこの戦争。

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