表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物使いでチート野郎!!  作者: 志位斗 茂家波
面倒ごとはやってくる
111/154

嵐の前兆

静けさというか、平和感ですかね。

・・・・ルンベルドンへ来てから月日は経ち、今は夏真っ盛りであった。

 

 みーんみーんと、何処の世界でも夏にはたくましく鳴いている蝉の声が聞こえつつ、レイたちは迷宮(ダンジョン)に挑んだり、依頼を受けたりの毎日を送っていた。


 というか、夏の時期は迷宮(ダンジョン)に人が集まりやすい。


 外の気温が高く、迷宮(ダンジョン)内は年中同じような気温なために快適に過ごしたい人が潜り込んだりしているのだが、別の狙いもある。



 それはこの迷宮(ダンジョン)の不思議というか、季節外れのとある品を持ち出すために挑んでいるのだ。


 迷宮(ダンジョン)は通常洞窟の内の様な階層が多い。


 だが、中にはへんてこであり得ないような階層もあり、そこが季節によっては思わぬ人気が集まるのだ。




迷宮(ダンジョン)36階層、別名『アイスワールド』からの氷で作るかき氷のために、わざわざ向かう人がいるんだな・・・・・」


 安全昇降口のところから帰還し、でっかい氷塊を運ぶ冒険者たちを見てレイはつぶやいた。ギルドから出て家へとレイたちは歩いていたのだが、その光景を見てこれがこの都市の夏の光景なのだなと納得する。


「確か年中氷結した階層で、恐ろしく寒いんですよね」

「現メンバーだと、突破が難しい」

「何しろ通常の冬の様なモノならいいのでありますが、猛吹雪に見舞われているのはごめんこうむるでありますよ」

『水球が凍って、マーメイドの氷漬けができちゃうよー』

「寒いのは苦手ッシャ」


 みんな普通の雪が降る程度の状態ならまだ大丈夫らしいが、年中猛吹雪で凍結した階層は流石にまだ挑みたくはない様だ。


 寒いと体の動きも鈍るし、遭難してしまう可能性があるからね。


 しかも迷宮(ダンジョン)36階層は・・・・・ボスモンスターが出現する階層でもある。


 

 そのため、中々挑みに行きにくい階層であった。まあ、今34階層の方で一旦進むのを止めているけどね。ここの迷宮(ダンジョン)って98階層以上あるのは判明しているらしいけど、もうモンスターがそのあたりだと鬼のように強いようで、未だにそれ以上先は解明されていないからな・・・・。


 けれども、その36階層に行くことができれば夏の間は儲けることができるようで、必死に氷を確保して売りに出す冒険者もいるのだ。



 ある意味商魂たくましいともいえよう。




 今の状態だと挑みにくい状況故に、もうしばらくはどう突破するか計画を立てる必要がありそうだな。


「吹雪がなければ、夏用の涼み場としていけそうだけどな」

「雪合戦にかまくら、雪像づくりにセルフかき氷ってできますもんね」


 多種多様な用途もあるので、出来れば天候が変わってほしいところ。



 天候を変える魔法というのは、以前学園の禁書庫に書いてあったものがあったけど、迷宮(ダンジョン)内でそんな魔法が通じるのだろうか。



「魔法で水を凍らせてかき氷も作れるけど、やっぱり迷宮(ダンジョン)産の奴で作ったほうがおいしいらしいからな」

「味が違うのは不思議ですけどね」



 


 露天ではかき氷を販売している店や、アイスを販売してる店が多いけど・・・・


「お腹を壊す人がこの時期多いだろうな」

「食べ過ぎって怖いですからね」


 暑い時に冷たいものを求めて買う人は多いようだが、食しまくってお腹を冷やしまくって撃沈する人もこの時期は多くなるらしい。


 

「だからこそ、胃腸薬関係に使用できる薬草採取の依頼が多く回っているんだよなー」


 マッチポンプというべきか、風が吹けば桶屋が儲かる方式だというべきか、本末転倒というべきか。



 まあ、収納魔法をレイは使えるので荷物がかさばることはないからその手の依頼をやりやすい。


 というか・・・・使える人余りいなくないか?


「レイ様が規格外なだけです」

魔道具(マジックアイテム)にも似たようなものはあるけど、下位互換」

「主君がそもそも魔法に関してもトップクラスであります」

『収納系は珍しいよー』

「自覚するがいいッシャよ」


 皆に言われたけど、そういうもんか。


 まあ、魔法に関してはもうかなり使えているけど基本的に魔物使いとして見なに指示だす側だしな・・・・補助とかで使用する程度だからあまりに気にしなくなっているんだよね。


 そうレイは思いながら家へ向かうのであった・・・・・・。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEガウン国王



「・・・・何?突然の宣戦布告だと?」


 ストラクト王国、王城にてガウン国王は緊急の報告を受けていた。



「はっ、現在情報を整理していますが、本日の正午ごろに急にベスタリーニァ王国からの宣戦布告がありました!!」


 ベスタリーニァ王国は、ストラクトウ国の隣国であり、過去に何度も戦争を吹っ掛けてきた国である。


 ここ最近おとなしくしていたと思っていた矢先、なんといきなりの宣戦布告を突きつけてきたのである。



「なんでも宣戦布告の理由は、どうも国王が急死し、その息子が起こした物の様です」

「・・・なるほど、ベスタリーニァ王国の噂の馬鹿か」


 国王たるもの、情報取集をガウンは心がけていた。


 そんな中で、最近ベスタリーニァ王国では第1王子と第2王子の継承争いの様なものがあったと聞いていたのである。


 そして、状況から見ても強行的に行われたようで、第2王子がつぶされ、ついでに国王もやられたようであった。



 そして、その第1王子が新国王になり、実績を作るために・・・・


「突然の侵攻というわけか・・・・・・若さゆえの過ちを犯したいのかそいつは」


 


 ただ、この宣戦布告はまだ問題はない。対処はできるが、別のところが問題である。



「侵攻をするために軍を動かしたようですが、進路上まず最初に狙われるであろう場所が・・・・迷宮都市(ダンジョンシティー)ルンベルドンです」


 その言葉を聞き、ガウンはあきれ果てた。


 ルンベルドンは過去の戦争などもあって要塞化できるようになっており、そう簡単に落とされはしない。


 そして、いま最もそこを攻めるのは愚かであろうとガウンは思った。


 なぜなら、今そこには・・・・レイがいるのだ。


 過去に一回あった程度であるが、息子のザフォンとも何度も顔を合わせているようなのでその話を聞きつつ、その力がどれだけ常識外なのかを知っているのだ。


 一応親友の絶縁した息子という事もあってその動向を探っていたりもしたのだが、現在ルンベルドンに滞在している情報を得ていたのである。



 魔法だけでも相当なものなのに、レイに従う使い魔たちも常識外というか、強者ばかり。


 そんな場所を真っ先に狙ってしまったベスタリーニァ王国は運が悪いのか、天が見放しているのか・・・・。


 とにもかくにも、この戦争はかなり早く終わりそうだとガウン国王は思ったのであった。

・・・・なんだろう、戦争で衝突する前に、すでに結果が見えているような気がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ