二つ名=悶えるor落ち込む
本日2話目
「・・・え、俺の二つ名が決定したんですか」
「はい、その通りです」
ギルドマスターの指名依頼完了から数日後、受付嬢から二つ名が決定したと言われた。
冒険者にとっての「二つ名」・・・・「異名」とも言われる称号の様なものだが、これができたという事はそれだけその冒険者の実力が周囲に認められているという証拠になるのだ。
また、それだけ名が広がったという事にもなり、指名依頼の増加や宣伝効果のために一部店舗での優遇も増加するのである。
ただ、この二つ名というのはデメリットがある。
まず、それだけ有名になったという事で、まだついていないような冒険者や、ランクが停滞して上がらないような冒険者たちの恨みや嫉妬が増加してきて、危害を加えられる可能性も増加するという事。
また、その冒険者が依頼を失敗した時などにその名前が使用されることによって、周囲からの信頼が落ちたりするリスクが高まるのだ。
そして、最も重要なのは・・・・・・
「めっちゃ恥ずかしいようなものじゃありませんよね?」
「それぞどう受け止めるかは本人次第です」
二つ名は・・・いやなんかもう中には厨二病みたいなものとか、いかにも勢いでつけられたようなモノがあったりして、つけられた冒険者にとってもだえ苦しむようなモノや、自分がそういうふうに見られていたと理解して落ち込んだりする場合があるのだ。
それを考慮してまともなものがついてほしいところだが・・・・・どうだろうか。
「今までの候補としては、『色欲魔人』、『ハーレム野郎』、『淫魔の生まれ変わり』、『背後から刺される男』、『美女を侍らし者』『天然誑し』『魔物(美少女)ホイホイ』と言った物などがありましたが・・・・」
「ろくでもないのが多いですよ!?」
ひどいいいようである。
というか、これ悪口だけじゃん。どんな基準で・・・・・あ、ハクロたちを使い魔にしているからか。
彼女たちの見た目は綺麗だし、唯一の人型じゃなかったユリも、進化してラミアの様な感じになったし、はた目から見ればそりゃ囲っているようにも見えるわな・・・・。
二つ名がつくのを聞いている人の中には、嫉妬や怨嗟の目線を飛ばしてくる人がいるしな・・・・・。
「・・・そして、最終的に決められたのはこの二つ名です」
そう言って受付が出してきたのは・・・・その二つ名が書かれた紙である。
「えっと・・・『魅了の魔王』?」
・・・・なんでやねん!!
「なんで魅了の魔王なんだよ!?」
『魔王』とつくのはまだ百歩譲っていいとしよう。
使い魔が多いし、魔物の王みたいな言い方にしているのであるならばな。
だけど、なんで「魅了」が付くんだ?
「ついた理由としては、『美女ホイホイだと思う』、『けっ、天然ジゴロかよ』、『モンスターを従えているからっすね』、『魅力的なんじゃない?』、『後宮のように見えるよな』などと言った物が多く、他の候補に比べてまだましだという事でこれになったのです」
「他のとか・・・・いや、確かにまともなんだろうけど」
何とコメントすればいいのやら。いや、さっき上がっていた物に比べるとまだましか?
「ついでに、使い魔の皆様にも二つ名をつけてみたいとかいう人があったのでこちらもどうぞ」
え、使い魔の方にも?
聞くと、使い魔の方には本来二つ名はつかないのだが、お遊び感覚で選んでみたらしい。
「えっと・・・私は『魔糸の女郎蜘蛛』・・・・なんでですか!?」
「私は・・・・『豊潤妖樹』・・・微妙」
「某は『銀騎士』・・・あれ?意外にまともであります」
『「深海の人魚姫」・・・マーメイドで、種族がちょっと違うよー』
「『多人数用抱き枕』・・・・枕ッシャ?」
このハクロたちの方の二つ名は別につけなくても良いのだが、結局レイの二つ名は「魅了の魔王」に決められてしまった。
別に二つ名を名乗ることは強要されていないので名乗らなくてもいいが、それでもそのようなのがついてしまったと考えると、しばらくレイは落ち込むのであった。
・・・そろそろルンベルドンで騒ぎでも起こしてみましょうかね。




