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魔物使いでチート野郎!!  作者: 志位斗 茂家波
ルンベルドン生活
108/154

vsサキュバス

本日2話目

今回主人公出番なし。出てくるのは使い魔たちです。

SIDE使い魔たち




「・・・・うわぁ、もうこのあたりでずいぶんやばそうなのがわかりますね」


 21階層、サキュバスが現在いるだろうと推測される場所に、ハクロたちは歩を進めていた。


 今回ばかりは相手が相手なので、男性であるレイはうかつに近づけない。


 そのため、女性のみのハクロたちだけで固まって目的地に進んでいたのだが、その道中で悲惨な末路を辿ったと思わしき者たちをハクロたちは見た。


 地面にからっからに干からびて、もう骨と皮しかないような男性冒険者と推測できるような死体。


 まだ息はあるようだが、もはや一歩も動けずにぐったりしているものなどと、サキュバスがいるであろう場所に近づくにつれ、どんどん悲惨さは増していた。



 そして、ここは迷宮(ダンジョン)・・・・つまりはモンスターが湧く場所であり、動けなくなったものは生きたまま喰われているものなどがいた。


 とはいっても、ハクロたちには助ける義務はないし、もう助からないのが目に見えている。



「ここまで悲惨な末路を辿らせるとは・・・・相当やばい相手ですね」

「うえぇ・・・このエリアの地面に根を張るのは嫌」

「騎士の様な者もおるのに、やられてしまうとは情けなく思えるでありますな・・・・」

『ここは後で掃除したほうがいいんじゃないかなー?疫病とかの元になる可能性があるって、主言っていたしねー』

「異様なというか、熱源を探知できているッシャけど・・・・ううむ、もう少し突撃を後にしたほうが良さそうッシャよ」

「それってつまり?」

「現状況把握をできておらずお楽しみ中」


 その言葉に、一同は固まる。


 ここで突撃して一気に制圧することも可能だが、いろんな意味でやばそうな気がして嫌なのである。


「見張りとかもたてずに・・・・もう安心と思っているのでしょうけど」

「相当やり手のようだけど、甘いのかな」

「罠という可能性もあるでありますよ」


 


 まあ、ここで立ち往生しても仕方がない。


  意を決して、一気にハクロたちはサキュバスがいる場所に突撃した。


「覚悟ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「うわぁぁぁあ!?何よあんたたちは!!」


 ・・・・勢いよく突撃はしたのはいいが、ユリの言った通りろくでもない状況の中、当のサキュバス本人はやはりお楽しみ中だったようである。


 その場にはまだ生きている男性冒険者たちがうつろな目をした状態でいて、状況的に恐ろしく気まずいことになった。



「・・・・えっと、少し待ちますので場を整えてくれませんか?討伐したいのですけど、この状況は流石に・・・」

「突撃してきてまずその言葉!?・・・・でも、まあうん、ちょっと待って」

((((何だこの敵味方のグダグダ感))))


 その場にいた全員が、心の中でそう思った。









「さてと、貴女が討伐対象であるサキュバスで間違いないですよね?」

「そう・・・いかにも、あたしはサキュバス。この迷宮(ダンジョン)で生まれ、今こうやって愚かな男共から搾取して征服しているのさ!!」


 仕切り直して、互いにとりあえず確認しあった。


 グダグダしているけど、ここで気がつくのは「会話が普通に成り立っている」・・・・つまり、相手もかなりの知能を持っているという事だ。



 サキュバスはいわばオス籠絡特化のモンスターであり、普段は適当に生まれて暮らしていくモンスターである。


 だが、この迷宮(ダンジョン)で生まれたせいか、普通のサキュバス以上の知恵を付けて、厄介性も兼ね備えたようであった。



「あなたを討伐しろという指名依頼が出ています!!そのため、私たちは来たのですよ!!」

「ふぅん・・・見たところ貴女たちってみんな使い魔の様だね。主に言われて貴女たちだけで来たという事かしら?」

「まあ、主君は男性ゆえに、お主の様な輩は確実に籠絡して厄介な事しかしないだろうと考えられてな。こうして独立して動いているわけでありますよ」

「くっくっくっく・・・・なるほどぅ、確かにあたしの魅了は女性には聞かず、愚かな男性たちにしか効果はない。そこで、モンスターとはいえ女である貴女たちでなら討伐できるとでも考えたのかしらねぇ?」



 にやぁと意地が悪い笑みを浮かべるサキュバスを見て、ハクロたちは臨戦態勢に入る。


 ・・・・話していてすぐにわかったが、このサキュバスとは絶対に仲良くなれない。



 どうやら目の前のサキュバスは・・・男性の事を自分のエサのようにしか見ておらず、限界以上に搾取してしまうようなのだ。


 まだ加減とか、考え方によっては娼館にいかせるなどと言った方法が取れただろうが、野放しにはできないと皆理解できた。



 そしてついでに言うなれば、全員とも完全に馬が合うわけでもないし、すでに犠牲者は多く出ているようであるので確実にここでぼっこぼこにしないとダメそうである。


「でもねぇ、あたしだってそう簡単には討伐されないわよ!!好きなだけ男を囲って干からびさせてエサにして何が悪い!!問答無用で面食いでもなく、キモイおっさんから将来性のある殿方をつぶしたけどね!!」

「ちょっと悪いことしている自覚ありますよね!?」

「まあ、でもそのおかげであたしの力は普段よりもはるかに上よ!!貴女たちに楽勝で勝てるでしょうし、そしたらそうね・・・使い魔としているなら、主がいるはずよね。その主の人の精気をあたしが干からびさせてあげようかしら?」




・・・・・サキュバスがそのように言った瞬間、あたりの空気が一瞬で冷えた。



「・・・今なんと言いましたかね?レイ様に危害を加える気ですか?」

「あなたを干からびさせましょうか。その無駄に貯めた力もすべて、養分にしてあげましょう」

「主君に対してのその発言、無慈悲徹底魂のそこまでっギッタギタにしてあげるでありますよ」

『ふふふふ・・・鎮魂歌じゃなくて、永遠の苦しみが続く歌を貴女にあげますよー』

「まだ皆に比べて日は浅いが・・・・・それでも、主に対しての思いは深いッシャ。全身砕くか、溶かされるか・・・・様々な責め苦を与えるッシャ」


 見れば、ハクロたちの雰囲気が・・・・・マジギレである。


 普段は怒りを面に出すようなことはあっても、大抵はある程度の手加減をしていたりする。


 けれども、相手が自分たちの主に対して危害を加えようとするのなら話は別だ。


 そして、元々馬が合わないとも感じており、相容れぬ存在だという事も理解している。




 そのため、いま彼女たちは激怒し、100%以上の力で目の前のサキュバスを完膚なきまでに亡き者にしようと、心に決めたのである。





 サキュバスがその様子の変化に気がついたときにはもう遅い。



肉を切り裂き、骨も絶つ殺傷性を高められた糸が、


全ての力を吸い取り、土に還すほどの・・・いや、消滅させるほどの吸収能力を持った根が、


鋼鉄すらやすやすと切り裂ける剣技と、加減無しの勢いよくぶつけるだけで内蔵破裂をさせる蹄が、


この世の物とは思えないほどおぞましい呪詛を含んだ呪いの歌が、


魔人のごとくたたきつけて潰してしまう巨大な尻尾が、




 すべてが混ぜり、この世から消滅することすらも許されないような攻撃がサキュバスへと襲い掛かってくる。



 触れてはいけない逆鱗に、うかつに触れてしまったのがサキュバスの愚かな行為だったのだろう・・・・・・・・。





・・・・この怒気のすさまじさに、この日迷宮(ダンジョン)そのものが恐れてしまったのか、モンスターや宝箱が3日ほど湧かなくなるという現象が起きたという。


・・・たまにはモンスターだということを思い出させるほどの、猛威をハクロたちは振るった。

一度では絶命できず、ギリギリの加減でなおかつ長く苦しむほどの猛攻を。

主を思うがゆえに、そして逆鱗に触れられたがゆえに起きた惨事・・・・・


ハッキリ言って、彼女たちの本気の恐ろしさをまざまざ見せつける回であった。使いようによってはより恐ろしい攻撃ができたかも。でもさすがにそれ以上やるとグロ描写になってかけないので・・・・

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