雑魚と戦っても身にはならん
「やはり、硬直時間とコスパの両面を考えると、この銃格闘術とやらは9止めが丸そうだな」
「そうですね!対空も地上の相手も、けっこうやれそうです!でもどうやってもミニガンを振り回すのはスキがでかいので、相手が小ぶりの技を振ってくることを予想するのが大事!そうですよね、レオジさん」
俺は部屋にあるスキファイのデータを持ち出し、シオリちゃんのそれの中に俺のファイターデータをダウンロードしていた。仮想敵としては、まあ最強なんじゃないかなと思う。AIで動くそいつも、冗談みたいに強かった。
「ああ、吸収が早くて助かる。まあ体で理解してもらえるまでに、何度えるえるちゃんがジャンプ蹴りを浴びたことやらって感じだけどな」
「レオジさん、練習なのに容赦ないんですもん。でも、これで大体の相手には戦えるようになりましたよ!早速ネット対戦に潜ります」
「ああ、お役に立てて光栄だよ、未来のトップデザイナーさん。じゃ、俺ももう一捻り考えるとすっかな、いつ俺のビームがまともに対策されるかもわからんしな」
俺はいい匂いのするシオリちゃんの部屋を離れ、絶望的な雰囲気を漂わせた俺の部屋に戻る。やべ、最近意識してなかったけど全然片付けてねえわ。人の部屋と比較するとひっでえな俺の部屋。
とりあえずゴミはまとめて、皿は洗って、と…そんで床を掃除して、終わり!床、アイツの髪の毛クソほど落ちてら。はは。もうあの200万強奪女のことはどうでもいい、俺は13歳JCと、LINEを交換したんだからな!
そうしてLINEを開くと、まだアイツにブロックされていなかったことに気付く。呑気なもんだな、ストーカーされたらとか思わんのか。……と、こいつのアイコンがスキファイのプリセットの一つの、ナルキッソスというキャラになっていることに気付いた。こいつは女性人気が高かったはずで、こいつ目当てにスキファイをやる女プレイヤーもそこそこ居たはずだ。
…そう言えばアイツ、別れる前はずっと配信者風情をやってたな。顔もバッチリ出して、男を誘って…そんでどんどん肌の露出が増えて、それで再生数を伸ばそうとしてやがったな。なんつーか、思い出せば思い出すほどあいつマジでしょーもねーな。夢に向かって真っ直ぐなシオリちゃんの方がよっぽど大人に見えるぜ。
俺はその後もネット対戦に潜り続けるが、シオリちゃんのような好敵手とはなかなか巡り会えず、プリセットそのままの相手に開幕10割コンを決め、半分くらいは回線を切断されるという最高のゲームを2時間ほどやった。やはり明日はシオリちゃんと直接対戦した方が身になるなと思ったので、明日もやんない?とLINEを送ると、15時に部屋で待ってます、というような返事が来た。
親にバレたら社会的に死ぬはめになりそうな背徳感と、中学生特有の未発達の色気を俺は思い出し、何とは言わんが3回した。
風呂で体をゴシゴシと洗うと、いつになく気合を入れてドライヤーで髪を乾かした。明日は美容院に行こう、そう決意をして、俺はベッドに体を預けた。




