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魔法少女ラスカル・ミーナ  作者: 南文堂
第5話 なんたって 女幹部
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EDパート 勝者のいない戦いの後で

「お疲れ様!」

 なぎさが屋上の小屋で紙コップに満たしたジュースを持ち上げて、三人の苦労を労った。

 それに変身を解いた美奈子と芽衣美、それと美穂がコップを合わせて応えた。

 あの後、舞台はどうなったかと言うと、

「でも、美穂ちゃんが出てきた時にはびっくりしたわ」

 美穂が陰陽戦隊ゴセイメイの所属する集団、陰陽寮の制服に身を包み登場したのである。

「それにすごく強いんだね。あたし驚いちゃった」

 美穂とミーナ、それにメイも加わってのアクションで、美穂は襲い掛かるミーナとメイを身体に触れた瞬間投げ飛ばしていた。

「あれって、合気道でしょう? 知らなかった、美穂ちゃんがそんなことしてたなんて」

「護身術にって、おじいちゃんが教えてくれたのよ」

 美穂が照れくさそうにそう答えた。美穂のおじいちゃんと言うのは合気道の道場をしているらしい。

「今じゃあ、合気道の達人だもんね。おかげで胸も触らしてくれない」

「なぎさ姉!」

 美穂とミーナのアクションは見た目が派手な上に、ミーナがぽんぽん投げ飛ばされているので、子供達に大受けで滅茶苦茶になった舞台を見事に復活させた。

 そのアクションの間になぎさがゴセイメイの面々に活を入れて復活させて、再度登場させ、決め技のゴボウフラッシュでミーナとメイを退散させ、無事舞台終了となったのであった。

「色々あったけど、おかげで何とか終わらせられたわ。ありがとう」

「もう、二度とはごめんですけど」

「それはあたしも同感。怪我人続出の舞台なんて最低だもの」

「……ゴセイメイの人たち大丈夫かな?」

 舞台が終わってから、ゴセイメイの人たちは病院へ直行した。骨などには異常はなかったが、全員全治1週間の怪我である。気絶していたという事もあって、今日はそのまま検査入院となった。

「あいつらは結構鍛えているから明日にはぴんぴんしてるって。心配してくれて、ありがとう。あなたがしたわけじゃないんだから、気にしないで」

「わたしがいなければこんなことにもならなかったんだし……」

 美奈子はリリーが来たのはミーナがいたからであり、その結果がゴセイメイの人たちに怪我させたことを反省した。

「でも、美奈子ちゃんがいなかったら、舞台ができなかったんだから。途中までは、リリーが出てくるまではすごく順調だったんだし、気にしない気にしない」

 美穂は落ち込んでいる美奈子を慰めた。

「美穂ちゃん。ありがとう」

「それにしても、嫌がってた割には、美奈子お姉ちゃん、ノリノリだったよね」

「そうだったね。もしかして、あれが地?」

「あ、あれは、仕方なく……あ! そうだ!」

 美奈子は舞台が終わってからずっと思っていた、ある一つの疑念を思い出した。

「なに?」

「美穂ちゃん! あんなにすごいんなら、どうして美穂ちゃんが女幹部役をしなかったの? わたしが出るよりもずっとよかったんじゃない?」

「そ、それは……」

 美穂は言葉に詰まった。何か非常に言いにくい理由があるらしい。美奈子はもしや、あんな恥ずかしい格好がしたくなかっただけではないかと勘ぐった。

「そう言われてみればそうだね、どうして? なぎさおねえちゃん」

「それはね、芽衣美ちゃん、美奈子ちゃん。女幹部はグラマーじゃなきゃ務まらないのよ!」

 なぎさは握り拳を一杯に固めて力説した。そして、ふっと息を抜いて、

「美穂の洗濯板ではちょっとね」

「なぎさ姉!」

「美奈子ちゃんぐらいとは言わないけど、もうちょっと成長しなさいよ、美穂」

 美穂はむくれていたが、悪いと思いながらも美奈子と芽衣美は笑い声を上げた。

「あはははは……あ、そう言えば、美奈子お姉ちゃん、今何時?」

 芽衣美が何かを思い出したように美奈子に時間を聞いた。

「えーと、五時五分前。それが……ああ!」

 時計を確認した美奈子が芽衣美の思い出した何かを思い出した。

「約束の時間とっくの昔に過ぎてるよ、どうしよう!」

「約束の時間?」

「琉璃香さんと帰る集合時間を決めてたの」

 美奈子と芽衣美は美穂となぎさに先に帰る事を告げると、集合場所のインフォメーションカウンター前に急いだ。

「あ、白瀬美奈子様と神埼芽衣美様ですね?」

「は、はい」

 インフォメーションカウンター前には琉璃香の姿はなかったが、代わりにカウンター内の案内嬢が二人を呼び止めた。

「皆瀬琉璃香様より伝言を承っております」

「はい」

 大体予想できる内容に美奈子と芽衣美は少し元気なく返事した。

「えと、そのまま読むようにと厳命されていますので、そのまま読みます。いいですね?」

「……はい」

 予想が当たっていることを証明する前置きに二人は承諾して、覚悟を決めた。

「それでは……『どこほっつき歩いてるの! この不良娘ども! 罰として荷物は自分らで持ってかえってきなさい! 帰りの電車賃は自腹よ! 琉璃香よりバカ娘達へ』……以上です」

「……ありがとうございます」

 美奈子と芽衣美はインフォメーションカウンターの後に積まれた、解散する時よりも多くなっている荷物を見て帰りの苦労を想像して暗くなった。

「頑張ろうね、美奈子お姉ちゃん」

「そうだね、芽衣美ちゃん」

 二人はローカル線の行商人のおばあさんのような荷物を背負ってデパートを後にした。


「……はっ! ここは? ああ、あたしの部屋か……そ、そうだ、ミーナとの戦いは……」

 由利は眉間にしわを寄せて記憶の糸をたどった。

「……太陽を背にして闘って、ここぞというタイミングで、太陽光線でミーナの視覚を奪った。そこへ渾身の力を込めたパンチを繰り出した。……うん、勝ったんだね! あまりの嬉しさのあまり、勝った瞬間のことを覚えていないけど、嬉しすぎて気絶したんだね、きっと」

「リリー……」

「あ、ウッちゃん。やったよ! ミーナに勝ったよ」

「リリー……」

「今日はお祝いで、ご馳走だね。何がいい? ウッちゃんの好きなホットドック?」

「リリー……」

「お祝いにホットドックは可笑しいね。やっぱり、鯛の尾頭付きかな?」

「リリー……」

「ああ、でも、これでやっと、真琴お姉さまにも顔向けできるわ。長く苦しい戦いだったわ」

「リリー……」

「さっきから何よ! コピーして貼り付けを繰り返して!」

「リリー、リリーは負けたんだよ。今回も」

「嘘よ! ちゃんと作戦どおり上手くいったもん! 負けるわけない!」

「向こうの方が一枚上手だったんだよ」

「そんなことない! だって、あたしは確かに、この手で……この手で? ……そうよ! これは夢よ! 夢オチよ! 起きたら、ウッちゃんはおめでとうっていってくれるはずよ。きっとそうに違いない! おやすみ」

「リリー……」

「おはよう! ウッちゃん! さあ、あたしに言うことは?」

「リリーは、またラスカル☆ミーナに負けたんだよ」

「ふえーん!」

 リリーが勝利する日は来るのだろうか? 作者すらも少し心配になってきた。そんな心配を胸に今日も一日が終わろうとしていた。


つづく


次回予告

クイズ一人に聞きました! お金持ちの象徴と言えば?

ごてごての宝飾品! ブー!

プール付き豪邸! ブー!

折り曲げられない財布! ブー!

自家用飛行機! ブー!

ヨット! ブー!

フェラーリ二十台! ブー!

……メイド? ぴんぽーん! 大正解!

メイドのユニホームは誰もが知っていても滅多に見られるものではない。ましてや、雇えるなんて正真正銘お金持ち!

次回 第6話 どうしても メイド?

ご主人様、すぐには無理です。



 いかがでしたでしょうか?

 ヒーローショーは小さい時に好きで親にせがんで何度か連れて行ってもらったことがあります。でも、バックステージでチャックを下げているお兄さんに遭遇してしまい、それから行かなくなりました。

 子供に夢と希望を与える職業の人は大変です。

 次はメイドさんのお話。男に夢を与える仕事も大変そうです。金曜日の24時にまた。

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