338話
冬に本格的に近づきだし、もう上着なしではいられない日常へと変わり出している。ダンジョンは特にイベントといったものはなく、サハギンがいた階の沼が凍り出しているところぐらいだ。毎週ダンジョンに潜るごとにその氷は次第に大きくなってきている。
11月末には次の階に行くための道が氷によって舗装されており、サハギンは泳ぐこともなくその氷の上を歩いている。何体か歩くこともできず、足と氷が引っ付いている個体もいた。氷の下で死んでいる個体もおり、一番ひどいものは上半身だけ外に出し下半身は氷の下にあるという個体だ。
避けることもなかったので魔法で殺した。今回は土魔術のレベル上げ日和だ。わざわざ火魔法を使って、氷を溶かそうとも思わない。弱点があるならそこをつくだけだ。このフィールドの変化にやられ氷漬けにされているサハギンが現れ出している。
全滅するのは時間の問題だな・・・。
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12月になった。サハギンがいたフィールドは完全に氷に閉ざされた世界だ。どこを見渡しても氷だ。スパイクも何もついていない靴だ。氷を踏みしめていかなと転けるなー。氷上には、サハギンの死体が転がっている。体には、切られたような跡や啄まれたような跡がある。新たなモンスターがあらわれたようだ。
大きさ的にはサハギンと同じだ。ペンギンか?コウテイペンギンかな?いや違うな・・・。足の裏にはスケートで使われるような刃が生えており、その頭には王冠がついている。皇帝ペンギンだったようだ。
全てのペンギンの足に刃は生えているが、王冠を被っているのは1体だけだ。どうやらアレがリーダーのようだ。氷の上では踏ん張りが効かない。それならシールドの上に移動した。俺らに気がついたペンギンたちがやってくる。
全員が跳び上がり、刃の部分を俺に向け蹴りかかってくる。空中に浮き俺の方に来るとはなんとバカな。ファイヤーピラーで燃やし尽くした。氷が溶けた場所が何箇所かあるが別に問題はないだろう。
皇帝ペンギンが逃げ出そうとしていたので、その頭を拳銃で撃ち抜いた。慌てた時にスピードがすぐに遅くなる。あと防御力が低いのがありがたいところだ。
おそらく、ダンジョンのバランスを考えてだろう。人間が動きにくい時には防御力が低くなっており、魔法使いが活躍するように作られているのかもしれないな・・・。ペンギンのドロップはエビだ。そして皇帝ペンギンのドロップは王冠の欠けらだ。5個集めると王冠を作ることができるそうだ。これは作っておかないとな。
その日はペンギンを殺して殺して殺しまくった。その結果かけらを2つしか集めることができなかった。ドロップ率は異様に悪いようだ。
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