262話
帰ってからトレントの根に土をかぶせた。嬉しそうに葉をゆさゆさと揺らしている。その葉は秋がもうすぐ来ると示しているように紅葉に変化している。といっても地面に落ちないので見た目の変化だけだ。倉庫の中に何個か分けて、土を入れておいた。これで俺がいない時でも上げることができるな。
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次の日もダンジョンにやってきた。今回の目的は、金属のゴーレムを倒すことだ。金属といっても石の中に含まれているような感じなので実質はストーンゴーレムだ。昨日調べる前は全てが金属でできたものを想像していたのだが、違ったようだ。そりゃあ見つからないわ。
少し時間を飛ばして、夕方ごろのことだ。いくら探しても木のゴーレムばかりで、今日は土のゴーレムにもあまり出会っていない。もう木炭とコアがたくさん手に入っていていらないぐらいだ。
ストーンゴーレムになるとその硬度も比べ物にならないほど上昇する。中途半端な魔法も通用しなければ、火や光といったエネルギー系の魔法もほぼ効かない。鉱石の含有率が上がるともっと魔法への耐性も上がる。その反面、火魔法への耐久力だけが下がるのが救いだ。
効果がある魔法は、土と水だ。しかもゴーレムは石のため重い、それを動かすための質量を魔力で補う必要がある。そんな魔力を馬鹿みたいに消費するので積極的に狩られることがない魔物の代表例だ。そんなストーンゴーレムだが、今目の前で石に擬態している。だが、草むらの中にある1つ大きな岩だ。中から魔力の反応もあれば、周りにゴーレムの姿が見当たらないので、こいつがゴーレムなのだろう。
擬態をしている最中には魔力が極限までに少なくなる。そのため、魔力探知に引っかかりにくい。引っかかっても、魔力が小さく、他の大きいゴーレムに目が移ってしまう。それが生き残る戦術なのかもしれないな・・・。叩き起こすか・・・。
騎士に合図を送る。そのゴーレムの真横に立ち、殴ることができるように構えている。そして許可を出したと同時に殴った。正拳突きだ。構えの時間と、気力が練られている。その威力は計り知れないものだ。亀裂が入り、パラパラと破片が地面に落ちていく。
そのゴーレムがゆっくりと起き上がった。つけたはずの亀裂も元通りになっている。回復力が高い個体だ。大きさは変わらない。質量が上がったせいか動きはもっとゆっくりになっている。だが、その重さによる攻撃以前に動きの方が凶悪になっている。
一歩、また一歩進むごとによって地面が大きく揺れる。ステータスが上がっていなければ立つこともままならないな。これだと、地面に転がした時の被害は大きいな。とりあえず、シールドで空中に避難した。空中に逃げることができれば、機動力は落ちるが地面からの影響はない。騎士に近づき、その足を止め殴ろうとする。足を止めた、それが敗因だ。
騎士がこれで動くことができるようになった。地面を勢いよく蹴り、近寄る。そして、回し蹴りをして膝を蹴り飛ばす。削ることができても、それは小さくすぐに修復されてしまった。
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