258話
では、まず騎士くんやっておしまい。突撃をする騎士に警戒しているようだ。あの勇者君との戦いで一番活躍したと言ってもいいのは騎士だ。鞭での追い詰めや吹き飛ばしといった派手なのは騎士が担当し、それ以外のものは俺がする形だ。
逆に一番今回かわいそうだったのはチーフだ。いいところがなく、戦いに参加したものの、仲間のコボルトは勇者君の一撃により殺されてしまった。強い個には弱いが普通の個には強い。今度頑張ってもらおう。
留学生君は、魔力がやはり召喚魔法か・・・。今度はオークリーダーを召喚してきた。そして、騎士により頭を地面に叩きつけられ、ミンチになった。流石騎士だな・・・。これが勇者君の戦闘力を見るための最高戦力だったのか?殺すことよりも殺さずにいたぶるという方が難しい。
どうすべきか。留学生の武器を観察する。殺すときはまずは脳からだから、ついでに心も壊す?とりあえず、盾破壊しよう。それから、レイピアを破壊して拳対拳の男のバトルだ。留学生君は何をしてくるのか知らないが、その場合だと騎士が行くかな?
俺にあんな騎士道精神なんか持ち合わせていないから、魔法での追尾もするよ。耐えられるかな?よし行くか!!と思っていた。その目の前にいる騎士が追加として出てきたオークリーダーを全て殺していた。俺の出番がなくなってしまったようだ。
あんなイキがっていたからには最強と言えるほどの奥の手があるのかと思っていたのだが・・・。ないのか、はあーテンション下がるわ。とりあえず、目標の盾を壊すか。念話で騎士に盾破壊してと伝える。攻撃時に、相手は盾を構えるのは当たり前だ。
そして、その盾の端っこを殴る。その辺りは凹み、その攻撃が止まらず、中心以外のところは全て凹んでしまった。もう、盾でも何にもない。ただの円錐のような物体になってしまった。その合間にレイピアでカウンターをしてこようとしていたが、その鎧の硬さにその細いレイピアでは折れてしまう。俺の予想外の出来事だったな・・・、まさかここでレイピアが折られるとは思ってもいなかった。
絶対にここで攻撃はないと確信していたからだ。ここで攻撃をすればレイピアが折れるのは当たり前のこと。それなら攻撃をせずに防御に専念する方がまだマシだ。レイピアで攻撃をするということは自分にその鎧に勝つ手段がありませんよと言っているようなことと一緒だ。
盾が壊れたことにまだ納得が行っていないのか、盾を手放さない。騎士の方は攻撃をやめて、受けるだけになっている。そのついでに、段々と短くなっていくレイピアに気がついていない。何度も空振りそうになって、当たらない!?みたいになっていたのにまだ気がつかない。
そしてバランスを崩してやっとのこと気がついたようだ。
「こ、降さ」
騎士が横から殴った。騎士道にするなら、こちらは武士道か?騎士が潔く負けを認めるなら、武士は力つきるまで戦えになってしまうな・・・。顔の殴られた部分が赤くなる。その目は涙が溜まっており、今にも泣きそうだ。よくダンジョンに潜ってこれたな。(呆れ)
既視感を感じる。思いつかなかったことにしとこう。ある誰かが不幸になってしまうからな。4文字で「ゆ」から始まって「ゃ」で終わる人だ。ずっと殴られている。その間に俺は盾を回収して刀で切り分け何割かはもらっていく。そして残った盾は捨てていく。
どこにやった?と聞かれると(マジックバッグの中に)消滅したんじゃない?と答えよう。そろそろ死んでしまうかもなー。
「帰っておいで!!」
その掛け声を聞いた騎士は瞬時に俺の横に戻ってくる。留学生君の顔は膨れ上がり、鼻や口からは血が落ちてきている。そして、少し長めだった髪は、数十本は抜けているだろう。1円玉ぐらいのハゲができている。歯も折れていたり抜けていたりしている。いい面になったじゃないか。これで近くにいた女子もきゃー(悲鳴)と言ってくれるよ。
砂埃が上がり、その留学生君が視界に入った時にはきゃーという黄色い声が上がった。そして、副部長により勝者宣言だ。その勝者はもちろん俺だ。別に恨まれたりはしないだろうし、したとしても返り討ちにすればいい話だ。その時は殺しても文句は言われないだろうな。
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