257話
留学生君の実力はいかに?同じ土俵で戦うのもだるいので、魔法で戦うか。向こうの手札は召喚魔法とレイピアだ。そして俺が今日出した手札は、刀とシールドだけだ。こう見ると俺の方が余裕そうだな・・・。今回の入場は普通でいいか。まだ曲は完璧と言えるほど綺麗に揃っているというわけではないしな。
クラシック用のゴブリンとバンド用のゴブリンか・・・。めっちゃ豪華な使い方だな。他の人たちはしたことないだろうな。ゴブリンの場合は、早熟なことや寿命が短いという特徴がある。寿命という面は存在しないが・・・。スキルを早く獲得することができる。だが、その分スキルレベルを上げるのに時間がかかってしまうのが特徴だ。
人間に狩られてスキルブックとして生きた証を残すか、それとも寿命で死んでしまうかのどちらかだ。餓死ということはあり得ないが、空腹に駆られているゴブリンも一定数いる。そんな芸術面に優れているゴブリンを従えてこそ、魔王と言えるだろう。魔王・・・?そんなことを夏休みに考えていた。真っ先に思いついたのは優雅でかっこいいという印象だ。
ゲームであるように玉座に座って戦闘を指揮し、音楽を演奏するものが近くにおり、入場時とかにはそいつらが楽器を演奏する。そんなことを想像してしまったがためのあの状況だ。錬金術や薬師なんかはゴブリンに任せることはできないな・・・。
戦闘を開始する前に握手でもしようかと俺から手を伸ばした。だが、その手は弾かれてしまった。別にそれはいいのだが、いい気はしないな。留学生君は何か言いたげだな。
「勇者と戦いたかったのになんで、お前なんだ。」
ファンなのかな?よかったね勇者君、君のファンが海外にもいるようだよ。
「相手が弱かったから?」
普通に思ったことを口に出してしまった。
「お陰で、あのお願い権を使うことになったじゃないか!!それよりも、あの戦い方はなんなんだ。正々堂々と戦いやがれ!!」
騎士道か何かの人かな・・・?というか人のこと言えるのかな?
「君もオーク召喚していたでしょ?」
図星を突かれたようだ。何も言葉を発することができず、その顔は真っ赤になっている。副部長が間に入ってくる。部長はさっきの試合で医務室送りだ。と言っても軽い傷なので回復薬を飲めばすぐに元通りになる。その代理としてやってきているのがこの副部長だ。
噂として聞いていたものとだいぶ違っているようで困惑しているのだが、
「私語は終わったか?」
コクリと頷く。
「では始めよう!!」
なんか少しイラついたし、少しだけ本気出すか。俺の座右の銘は喧嘩を売られたら、借金をさせてもいいから買い取らせろだ。
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