242話
騎士と同時に槍の前に立つ。槍の装備の質が上がっているように感じる。5階や6階のオークなんかは、槍を持っていても鉄だ。しかも先端だけだ。そのため、持ち手を狙ったり、自ら破壊するといった自滅を待ったりもできた。だが、今回はそうもいかない。全体が鉄でできているような気がする。先端はもちろん、後ろ側も鉄特有の色を放っている。
その槍には傷はついているものの、錆といった汚れはついていない綺麗なものだ。よく手入れされているのがわかる。もしこれが血で濡れていると、滑りやすくなる。それなら、戦いやすいのに・・・。俺や騎士が戦うと命令されたコボルトは一旦戦いを止め退いている。そして、俺たちが通る道がつくられた。その道を歩いて進む。そして、槍使いの目の前に立った。その瞬間に攻撃を仕掛けてきた。
突きからの振り回しか。俺たちの方に突撃をしてくる。そして、俺は回避をしようと空中に飛び、騎士の方は微動だにしていない。その突きを半身で避け、一歩前に出る。その槍を奪い合いをするつもりだ。武器奪いすぎだろ・・・。弁慶か。今は奪い合いに集中しているようだ。どちらも筋力が同じぐらいなのだろう。動くこともない。引っ張られた状態で、止まっている。その腕の筋肉に筋が通り膨れ上がっているのがわかる。
俺が、その腕に攻撃をしようと近寄った瞬間、騎士が手を離す。力一杯に引いていたことで、尻餅をついた。その手にはまだしっかりと槍が握られている。そして、何も装備していない足に攻撃を入れる。魔力を込めたことにより、ふくらはぎの半分ぐらいは切ることができた。
カウンターを食らっても面倒なだけなので、急いで騎士の元に戻り、ファイヤーランスを放つ。槍が立ち上がった時にその魔法は背後から襲う。だが、その攻撃はわかっていたのか、サイドステップで回避された。その回避はギリギリだったことで少し間に合っておらず、腕に当たる。火が広がっていく。それを察知したのか、自分の槍で腕を切り落とした。
その一瞬の隙を騎士は見逃さず、攻撃に入る。槍の視野は今切る腕に集中している。そのほかにも、俺の魔法も警戒しているだろう。騎士のことはすっかりと頭から抜けているはずだ。そこをついた攻撃だ。しかも今騎士は俺の真逆におり、槍オークの背後にいる。首元めがけて手刀を放った。気力を込めて放ったことにより、その鋭さが上がっている。その結果首を切り落とし、その切り落とされた首は騎士の掌の上に乗っている。
バタン!!槍オークの体が地面に倒れる。その手にはまだ自分の槍を持っている。さっきの手刀をもう再度行い、その腕ごと切り落とした。腕付きの槍が完成だ。なんかずっと使っていると呪われそうだ。早く捨てて欲しいところだ。
「ファイヤーエンチャント」
騎士が武器を奪うときは消耗品として扱うか、投げ武器として扱うかの2択だ。どちらにせよ、エンチャントをかけることにより、効果は確実に上がる。槍を肩に担ぐ、その狙いはオークの弓だ。召喚獣のコボルトなんかお構いなしに、その槍を投げる。
ブン!!と腕を振る音や風を切る音が出る中、コボルトの体を貫きながらその槍は進んでいく。そして、弓に到着した。弓のところに到着した時でもその威力は衰えていない。それよりも、動き回りながら弓を放ちコボルトを殺していた弓の方がスタミナが限界だった。
避けることもできない、その重い体で受けるしか方法はない。そして、突き刺さった。貫かれることもなく、その威力のまま壁まで一緒に引き摺られていく。足もグロくなっている。地面と飛ばされている間擦れていたことから皮が擦り剥け、そこから出た肉も削られる。そして摩擦により発生した熱により、焼かれるような痛みが足を襲う。
壁に当たり、ガクッと意識を失うようにして倒れた。これで残り3体だ。
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