236話
バイトテロならぬ、ダンジョンテロが存在している。それは、ほとんどが追放系だ。追放する時は帰り道で追放する者もいれば、ダンジョンの低層で追放する人もいる。隠れて追放する人もいるだろう。そんなのはテロとはほど遠い、普通の追放だ。
しかも良心から、防具とか全部の没収もない。だが、土曜日のことだった。今週の土曜日もビキニダンジョンになっていた。どうやら週1の開催のようだ。宿題も全て出されたことからそれに手をつけなければいけない。そんな現実から逃れようと、土曜日のビキニダンジョンにきている。
まだ、15階のオークに挑戦する気持ちになれなかったので、14階でコボルトを狩っていた時だった。何かの気配がする。人間だ。戦ってバレるのもめんどくさい。一番の問題にならないようにするには、気配を殺して観察をして、そいつらが行った方向を確認した後に真逆に進めばいい。召喚していたものをもとに返し、近づく。
その声は段々と大きくなってきている。近づいた時には、その声がなくなり、姿を見ることができた。そして何やら動画を撮っているようだ。スマホをパーティーメンバーに向け録画をしている。動画を撮っている女とは別の男が、そいつに向かって、切っていたのだろう。少しの怪我が目立つ。
そいつに怪我を負わせたことに満足したのか。口を開き、こう言った。
「お前追放な。」
ラノベかな?怪我を負わせて追放か・・・。ラノベだな。ここからストーリーが始まるとしたら、この状態で覚醒か、助けがきてその後の経験値かユニークスキルでざまあのどちらかだな。うん、しょうもないな。ここで見捨てたら、見捨てたことがバレての仕返しか・・・。考えすぎじゃなければ良いな。
「なんで俺を追放する!?」
「パーティの資金を使っているのは知ってんだよ!!」
「そんなの知らない。」
「とぼけるんじゃねーよ。預けていた通帳から金が減っていたんだよ!!」
なんでそんな大切な通帳を預けた!?自分で管理しなさいよ。
「使ったのは俺じゃないよ。」
「じゃー誰だよ!!この中に裏切りものがいるなら、お前以外あり得ないんだよ!!」
「あと、お前弱いし、金がないない。って言ってたから動機としては十分なんだよ!!」
「それは、パーティーの分配時に少ないから・・・・。」
弱々しい返事だ。まるで図星をつかれたかのようだ。役に立っていなければ、分配が少なくなるのは当然だ。考えてほしい。モンスターをハントするゲームで、ずっと拠点にいて何もしないのに倒れる時だけやってきて、素材と報酬だけをもらっていくとなるとムカつくだろ?もし役に立っていれば、役に立つアピールでもなんでもすれば良い話だ。
「役立たずはいらない。じゃーな。くたばってろ。クズが。」
そう言いながら、スタスタと、そいつを放置して、13階に戻ろうと向かって行った。
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