187話
怪我をすることもなく、トレントを倒し終えた。その動画は録画をしていなかったので、投稿するまでには至らなかった。もし動画を撮っていたとしても投稿はするつもりはなかったのでどっちでもいい。ユニーク個体からのドロップはほとんどの確率で、そのモンスターにちなんだものが手に入る。
それは武器であったり、スキルであったりだ。さらに武器や防具であれば、特殊効果がつくことやダメージ軽減がつくこともある。スキルであれば、そいつが持っていたスキルだ。自分の戦い方にあっていると、喉から手が出るほど欲しくなる。そんな、スキルばかりだ。今回の樹魔法の場合だと、農家の人が欲しい魔法だ。
そんな感じで、需要が大きい。そのせいで値段が跳ね上がったり、需要がなく値段が低くなってしまう。そんなギャンブルのようなスキルブックだ。あのユニークトレントを倒してから、2ヶ月が経った。
この間は、次の階には進まず、野菜を取ったり毛皮や牙を集めたりしていた。種だったトレントは、無事通常の大きさのトレントにまで成長することができていた。道路にはみ出しそうになっている枝を切るという仕事が増えてしまったのが残念だ。
トレントならそんな調節は朝飯前だと思っていたのだができないようだ。葉や果実を食べるために寄ってくる虫は追い返すことができるのだが、人間は追い返すことができない。何度か、果物を盗まれてしまうこともあったようだ。果物の甘さを調節はすることができるので、その奪った果物は全部甘さを抜いている果物らしい。こんな果物泥棒が、トレント農園によく現れては、逃げているようだ。
トレントの恐ろしさを理解していない小学生ぐらいの子供が多いように思うかもしれない。だが、実際に多いのは大人が行っている。そのため、毎年10人程度が捕まっている。怒った農民がトレントに束縛命令を出していたようだ。そのため、捕まったものが後を絶たない。
中にはトレントを殺してしまうといった問題も発生した。これは裁判になったのだが、トレントやテイマーに関する法律がまだ決まっていなかった。そのため、このトレントを殺したものは無罪とまではいかなかったが、罰金刑を課され、釈放されるに至った。
その後トレントを持っている農家は、一時期出荷をしなくなり世間はその殺した人を恨むようになった。そのため、法律が作られ、収入の8倍の値段を支払うことになるといった法律ができた。そんなことが決まっても殺さなければいいだろうと考えている人も多くいる。その人に対して農家は殺してもいいのではないか?とまで考え出しているという噂まである。
俺の場合は甘さ調節をしてくれるので問題はない。時間が経てば、誰もこの家の果実を取ろうと考えないだろう。戦っても、バフがかかっているトレントだ。並の冒険者では、歯が立たないだろう。
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