1601話
配信開始1時間前のことだ。婆娑羅がやってくるのだった。それ以外に見てくる人はいないのだった。ふたりだけの静まり返った空気になるのだった。
配信用のカメラに近づき、2重に結界を作り出すのだった。そしてすぐに消す。
「そんなことに能力を使って大丈夫なのか?」
そう婆娑羅が聞いてくるのだった。前回のイベントの際に、すぐに用意することができず、先に用意しておかないといけないという欠点がバレている。そして、ステージが完成してから検証として数回分の結界を使用している。
そのため、結界術が使えなくて負けたと言い訳ができないようにするのだった。
「ん?大丈夫。数は多めに作っているから」
あのイベントからコツコツと結界の魔石を作っていた。そのため、後2セット程は残っているのだ。チラッとマジックバッグから魔石を取り出し、婆娑羅に少しだけ見せるのだった。
「そっちは体調は大丈夫なの?」
「ああ、絶好調。そういうお前は?」
「万全よ」
腹の探り合いが始まっているのだった。
「使わないでほしいって能力はある?」
「負けた時の言い訳にされるから、いらねえな」
「てか、俺に勝つための秘策思いついた?」
「それは戦ってからのお楽しみ。そういうお前は?」
「使うかどうかは置いておくとして、あるよ」
その言葉の後、話すことがなくなり、数秒の無言の空気が流れるのだった。話すことがないと感じたのか、集中モードに入った婆娑羅は瞑想を開始する。
婆娑羅に見せていないスキルは、グラビティーやバリア、闇魔法、エンチャント付きのカースウエポン、封印、壁や天井走り、白火の威力当たりだろう。
毒や影切りとかの殺してしまいそうなものは使うつもりはない。そのため、使うことができるのはこの辺りのスキルだけになるだろう。
残りは見せたか、効果がない魔法ばかりだ。通常の戦闘をしつつ、初見のスキルを紛れ込ませる形が適切だな。
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そして、1時間が経ち、配信を開始するのだった。
「さて、始まったね〜。とりあえずルールの説明もらっていい?」
「まずは、1勝することが条件BO1形式だな」
これにより、婆娑羅の魔力を制限する意味がなくなり有利な状況になるのだった。
「その他のルールはなしだ」
「最初からカースウエポン浮かしていていいの!?あと時間制限は?」
結構な舐めプじゃない?
「時間制限はなし、途中で終わってもつまらないからな。開始の時間は決めるから、それまで召喚できるのならしていいぞ」
おそらく開始のタイマーを動かして定位置につく。そして、タイマーがなることで戦闘開始だ。この移動後からタイマーがなるまでの間に準備をしろってことなのだろう。
「スタート位置は?」
「端から8歩移動したところ」
「了解」
「他に何か質問はあるか?」
「終了条件は?」
「ギブアップと言わせるまで」
「準備時間は?」
「中心ってどこだ?」
「カメラがあるところかな」
「その位置の手前から移動を開始で、5分ってところだな」
「これ以上の質問は思いつかないから、始めようよ」
その言葉と同時に、婆娑羅はマジックバッグからタイマーを取り出し、地面に置く。そして5分の時間にセットをし、
「スタート!」
タイマーを稼働させるのだった。すぐに持ち場所につき、カースウエポンを召喚していくのだった。カースウエポンに、騎士、魔術師、白狼、軍師、スケ3を召喚する。そして、腰にはクナイや手裏剣を糸で括って装備しているのだった。
装備は完了した。あとはタイマーがなるだけだ。婆娑羅も準備が終わったのか俺の方を向いている。今か今かと変な緊張感が走るのだった。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




