47 たった4枚
「表か裏かお選びください」
どちらでもいいが――。
「表で」
「裏だ」
表を選んだ。東堂さんは裏を選んだ。
「ではいきます」
キィィン……とさっきより高くコインが上がる。思わず目で追いかける。
コインが降りてきた、パシンッと手で止めると……。
「表ですね。では、佐藤さんからお願いします」
「うん。わかった」
適当にリバースカードに手を伸ばし取ろうとすると東堂さんが提案をする。
「ちょっと待ってくれ」
「ん?何」
取ろうとした手を止める。
「せっかくだ。もっと楽しもうではないか。最後になるかもしれないんだ、お互い」
「何かするの?」
「簡単だ。カードの中身を見ず、2人とも取り終えた後に全てオープンした方が面白いのではないか」
悪魔は楽しそうに笑う。
「いいですねぇいいですねぇ。そうしましょうそうしましょうよぉ!ねぇ佐藤さん?」
確かにその方がいいかも……。下手にカードを見て表情を読まれるよりいいかも。
東堂さんは正直な人だ。今までのやり取りでそれはわかる。おそらくポーカーフェイスも下手だろう。
だが、この状況ならこの人は強い。なんたってこの状況を楽しめる人だ。例え弱いカードを引いても逆に考えが読みづらいと思う。
「いいよ。その提案……乗るよ」
フッと笑った。
「じゃあ、カードを滑らせるように1枚ずつ取ろうか。それでいいよね?」
「ああ。そうしよう」
返事と共に頷いて答えた。
私は改めてカードに手を伸ばし1枚……手を置き滑らせながら自分の目の前に置いた。
「では次、東堂さん……」
「うむ」
東堂さんも残り7枚から1枚取る。
「次、佐藤さん」
「わかった」
悪魔はここでやっと真面目にゲームマスターらしいことをした。1枚取るごとに私たちの名前を指名し、カードを取らせる。
1枚取るごとに緊張が走る。
この私が取ったカードで……4枚のカードで人生が決まる。そう……このたった4枚で。
「全く恐ろしいな」
カードを取りながら東堂さんが語る。
「この4枚で……自分の運命が決まるというのか。実に恐ろしいことだ」
言葉とは裏腹に表情は怯えていない。
「だが、最高の感覚でもある!こんなに楽しいのは初めてだ」
「そう?もっと楽しいことってあるんじゃない?」
純粋に聞いてみた。
「そうだな。もっと楽しいことがあるのだろうが、お前もわかるだろう?私はあまり普通ではない」
まあそうだろうな。思っていても口にはしないが。
「周りからは孤立していてな、だから自分を高めることに専念したんだ。バカだろ?」
「ううん。そんなこと思わないよ」
素直にそう思えた。




