44 敗者への烙印
「では勝者発表ですが……」
悪魔はわざとらしく話してみせる。
「同点がおられますねぇ。キャッハハハハ」
現在ゲーム終了時点での私たちのポイントカードの枚数は……。
佐藤 美夢 6枚。
エリス・メールワルス 3枚。
倉田 千夏 3枚。
東堂 雪綱 6枚。
である。つまり――。
「決着は佐藤さんと東堂さんのサドンデスマッチによってゲームの決着とします!」
サドンデス……そんなに難しくはないはずだけど と考えていると……。
「ですがその前に敗者への制裁を始めますね。お2人への見せしめにも丁度いいでしょう」
ニタニタと楽しそうに話す。この時を今か今かと待ち兼ねていたように話す。声のトーンでわかってしまうほどに。
「お、お願い……待って……助けて!爺!お父様!」
「いやぁ……いやあぁーー!!」
そのまま車椅子でゲームに臨んでいた倉田さんは素早くバックするとクルッと右へと向き、全力で漕ぎ始めた。
「あっ!倉田さん!」
声をかけるも止まる気配がない。あの速度を見るに逃げるのに必死だ。あっという間に黒い空間へと呑み込まれていった……。
「なあ、あれはいいのか?」
東堂さんは倉田さんの逃げた先を指差し聞いてみる。
「ええ。別に構いませんよ。時期に戻ってきますから」
すると数秒後くらいには息遣いが聞こえる。
「……はぁ……はぁ」
逃げた反対方向の暗闇から倉田さんが出てきた。
「……はぁ……はぁ……なっ……何で?……はぁ」
信じられないという顔をするが、冷静に考えなくてもわかる。
「何でってあなたバカですかぁ?ここは私が作った空間ですよぉ〜。逃げられる訳ないじゃないですか」
「そ、そんな……」
一方でエリスちゃんは身体を丸め、両手で頭を抱えて震えながらブツブツと助けを求める。
「爺……お兄様……お父様……」
不謹慎だが今までの彼女の中で1番子供らしさがあった。
私の彼女への印象は、プライドが高く賢くて積極性のある、12歳という年齢を思わせない立ち振る舞いをする娘だなというイメージ。
だが今の彼女は、夜が怖い幼い子供のように怯えている。
正直、罪悪感が酷い。心が万力でキリキリと締めつけられているようだ。
「では覚悟はよろしいですか……」
「よろしくないよ!!助けて!!」
「お願い!!いやよ!お父様!!助けて!」
パチンッ。
指が鳴るとエリスちゃんと倉田さんの右胸の辺り、心臓があるところにボボボッと毒々しいピンク色の髑髏マークが出てきた。
「いや、いやあぁーー!!」
「やだ、やあぁーー!!」
2人は力無く崩れる。その胸に毒々しく光る髑髏は彼女たちの敗北を嘲笑うよう。
敗者の烙印が押された――。




