40 吹き出る絶望
パンッパンッ。
「はいはい。お喋りはそろそろ良いでしょう。……それでは5セット目、ラストセットです!」
バッと両手を大きく広げるが……。
「その前に一応念押ししておきますね」
肩を落とした。
「あ、悪魔ぁー」
ツッコむ余裕が私には出てきた。さっきまでだったらこんなこと言わなかった。
私は4セット目で確実な自信を身につけられた。
いける。勝てる気がどんどん湧いてくる……そんな気がした。
人は大きな事を成し得ると色んなものが手に入るのだと確信を得ることができた。今なら何だって頑張って手に入れられる気がする。
……ちょっと調子に乗ってるかな?
「この5セット目終了時点で1番ポイントカードを持っているプレイヤーが勝者となります。もし、ポイントカードが同点だった場合、そのプレイヤー同士でサドンデスをしていただきます」
「つ、つまり、あたしたちはここで――」
「はい!ほぼ負け確定です」
わざとらしくニッコリと笑う。
エリスちゃんと倉田さんの表情が一気に青ざめていく。
「ちょっ、ちょっと待ちなさい。わ、私たちにもまだチャンスはありますわよね?」
声が震えている。分かりやすいほどに。
無理もない。もう5セット目で私たちと彼女たちとの差は3ポイント……つまり、私たち2人がドローを選択せず、なおかつリバースカードを当てないことと自分たちが3枚取りしなければならないからだ。
だが、悪魔は2人を追い詰める。
「おやぁ?ご自身で言っていたではありませんか。こんな低い確率当たるわけありませんわぁーって」
「こ……口調を……真似しないで……くださいまし……」
今までのようなツッコミがない。もうこの2人は満身創痍状態だ。さらに追い討ち。
「私たちのような流れをお前たちが作れるとは思えん」
東堂さん……突き落とさなければならないからってあなたが言わなくても……。
「私や佐藤……いや、美夢だったか。私たちは運を引き寄せられるほどの覚悟と考えを示した。お前たちにそれができるか?自分の運も信じられぬお前たちが」
……そうか。突き落とすからこそ、せめて私たちがやらなきゃダメなんだ。傷つかなくちゃいけないんだ。忘れないように……。
その言葉に2人の落胆ぶりは見ていられないほどだった。倉田さんに至ってはずっと無言だ。
そこに悪魔はさらにトドメを刺す。
「一応もう1度言っておきますね。死んでも呪魂契約はしていただきますよぉー。だからゲームもしっかり進行してくださいねぇ」
「……いやぁ……いやぁーーーーっ!!」
あの不幸の連鎖が現実に見えてきたのか、たまらず声を上げる。上げたのは倉田さんの方だった。
「もうやめてよ!!私はただ……また歩けるようになりたかっただけなのに……」
顔はもうボロボロだ。我慢してきたのが吹き出たように言葉も出てくる。
「どうして……どうしてこうなっちゃたのよーー!!ああぁーーーー!!」
その叫びはこの暗闇には意味をなさず、ただ呑み込むだけだった――。




