37 未来の自分
「私、言ったよね。覚悟を決めたって」
「なんなんですの。なんなんですの!!」
私が答えるたびに感情が爆発する彼女。さすがに見兼ねた倉田さんが割って入る。
「落ち着いて!エリスちゃん。彼女が何をするかなんて、あたしたちには関係ないよ」
だが、彼女は止まらない。
「大ありですわよ!彼女はゲームの参加者!意味のわからないことをされると腹が立ちますわ。しかも、そこのバカと違ってゲームを理解した上でですわ!!」
「じゃあそういう作戦かもしれないよ。それに彼女は自分のリバースカードの情報がないのよ。当たる訳ないよ」
その言葉を聞いて、少しは落ち着いてきた。言われてみればと語る。
「それに仮に3枚取り狙いなら、なおさら当たらないよ」
「そ、そうですわね。おっしゃる通りですわ」
でも、私の狙いはその3枚取りである。
彼女の言う通り、私のやっていることは常軌を逸したことだと自分でも思う。
でも、私は考えた。もし、この先に私の望む未来があるのなら、きっとここで負けることはない。そう考えたのだ。
その考えに至ったのは彼の言葉……運で命が作られる。
この出会いですら私を作る出会いであるなら、こんなところで終わらない。私は信じる。
未来でアイドルとして輝く自分がいることを……。掴んでくれると信じてる。未来の私が今の私の手を掴んでくれることを。
「顔つきが違うな」
真正面から私を見る彼女が言った。私の表情を見て、何をしでかすのか楽しみでたまらないと顔に書かれている。
「うん。覚悟を決めたからね。正直、怖いのもあるけど……」
怖くない訳ではない。当たらなければここで終わる。ここで当たらないのだ、5セット目も多分、当たらなくなる。
ツキっていうのはそうゆうものだと思う。だから、恐怖心も必要なものと受け止めて進むしかない。理解したはずだ傷つく必要はあると。この恐怖心は必要な傷の1つだ。
「……そうか。まあ自信を持って挑め!」
「うん!」
敵ながらエールを送る東堂さん。この人はこんな状況でも人生を楽しむことを忘れない。すごい人だ。
「何で敵を励ましているんですの!」
「ほっといておこうよ。私たちにはわからないよ」
みんな、カードを伏せて置いた。
「ねぇ、東堂さん……」
「ん?」
「さっきのセリフ、借りていいかな?」
「ほう?何だったかな?」
キョトンとするが、私は気にせずセリフを奪う。
「ここで負けたら私はただの道化。……でも、勝てば英雄だよ!」
私は1セット、2セットとドローを選択して、同じ展開で外している。
ここで外せばただの道化、笑い者だ。でも当てて私は進む。英雄になる!
「では皆さんよろしいですねぇ」
来い!
「ジャッジ!」
カードが一斉に開く。思わず目を閉じてしまった。
「……っ」
何故か沈黙が続く。ドックン……ドックン……。
暗闇の中、心臓の音がする。
ゆっくりと目を開ける――。




