30 勝負勘
「皆さん伏せましたねぇ」
悪魔は楽しそうだ。舌で口元を舐めまわし、ご馳走を目の前にしているようだ。
そんな中、彼女が口を開いた。
「ここで私は試されるのだろうな」
哀愁を漂わせつつ、どこか楽しげな表情を浮かべる。東堂さんだ。
「試されるぅ?はっ、このゲームの本質をご理解なされていない方に勝ち目などありませんわ」
また、エリスちゃんは突っかかる。どうやら東堂さんみたいなタイプは嫌いらしい。
「確かに私はあまり頭の使うゲームはやらない。だが――」
エリスちゃんの物言いは、この人には通用しない。自分のやりたい事がはっきりしているからだろう。
「ここぞというところはわかるぞ。勘だがな」
「勝負好きが聞いて呆れますわ。勝負するならそれなりの準備というものが必要ですわ。それを勘ですって」
「あまり勘を……運を舐めない方が良い」
キリッとした表情で言い放つ。でもエリスちゃんも気にも止めないようだ。
「運だけでゲームを制することができるなら苦労しませんわ。舐めているのはそちらではなくて」
「舐めてはいないさ。先程も言ったが、私は考える事自体は嫌いじゃないが、お前たちほど賢い訳ではないだけだ。それに勘と運は違うぞ」
「ほとんど同じですわ!」
この2人の話し合いは平行線だ。さっきから話の内容は変わらない。
「お前から見たら私は、さながら道化だろうな」
「そうですわね」
「だが、この勝負どころ……勝利できれば私は英雄だ」
「英雄?はっ!」
やれやれと仕草をすると……。
「そろそろジャッジしますよ〜、よろしいですかぁ?」
「ああ、すまない。構わないぞ」
「ふん!」
さっきから揉めていた2人は返事する。私たちも首を縦に振る。
「ではいきますよ――」
この3セット目、ここでポイントカードを取るのはポイント的にも……ゲームの勝利のためにも。
ここは落とせない!3分の1……当たらないことはない。お願い!
目を閉じ、祈る。
「――ジャッジ!」
佐藤 美夢……2、6、答え……3、5。
エリス・メールワイス……3、6、答え……2、7。
倉田 千夏……2、5、答え……1、6。
東堂 雪綱……4、8、答え……4、8。
「おめでとうございます!東堂さんのみ当たりでーす。ポイントカードをプレゼント」
私たちは衝撃を受ける。
そ……そんな、私たちより遥かに確率が低かったのに、当てたの!?この人……。
その彼女は悪魔から貰ったカードを手に取り……。
「どうやら私は道化ではなかったらしい。……英雄だったらしいぞ」
ニッと誇らしげに笑った。




