29 勝負師
「……随分とお早いのですね」
「まあ、長く悩んでも意味がないのでな。1枚はわかっているのだしな」
「あのね、それでもあなたが1番確率が低いってお分り?」
「だから何だ?」
はぁと呆れ果てる。何て言うかサバサバしてるっていうかあんまり人の意見に左右されない人なんだな。私もきっとこうゆう人だったら、きっとこんな場所にはいなかったんだろうな。
あれ?私は疑問に感じた。どうしてこれに参加したんだろう?望みはないって言ってたのに。……そういえば度胸試しがどうとか言ってたっけ。
ちょっと聞いてみることにした。
「ねぇ?東堂さんはどうしてこのゲームに参加しようとしたの?私と似たような広告を見たなら、胡散臭いとか思わなかったの?」
「思ったから参加したのだ」
「あぁー」
……なんか救いようがないほど何かおかしい気がする。東堂さんの人間を探ってみる。
「度胸試しだっけ?こうゆうのは結構やってたりするの?」
「いや、数回くらいしか……ほとんどは格闘で勝負したりスポーツもあったなぁ」
ホントこの人何やってるのかな……。聞けば聞くほどわからん。
「勝負事が好きなんですね」
私たちが話していると倉田さんが割り込む。
「ああ。勝負はいい。お互いの力、技量、運、いろんな要素がぶつかり合い高めんとするところ。そして……このように自分が積み上げていったものが実を結ぶのか崩れ去るのかそのスリルもいい!」
今までで1番、生き生きとした表情と声を上げる。これが本来の彼女なのだろう。
「スリルジャンキーとは、それは救いようがありませんわね」
「救わなくていい。そのスリルこそが生きている証だ」
勝負か……自分のやりたいことを目指して進み競う。あの事務所ではその競争心を駆り立てつつ育ててたんだ。
……多分、東堂さんのとは少し違うだろうけど、誰だって何かと戦って勝ち負けを決めてるんだろうな。
私は何と戦っていたんだろ。アイドルを目指す上で……。いや、何とも戦わなかった……。勝負以前の問題だった。
だからこそ、私はもう間違える訳にはいかない。私も戦わなくちゃいけない。これからの1歩を踏み出すためにも……。傷つかなくちゃ……この人たちを倒して!
2と6のカードを手に取り伏せた。ふと耳を澄ませるとまだ、言い争っているようだ。
「――とにかく、あなたはここでお終いですわ。私が引導を渡してくれますわ」
「私のカードをオープンしたのはその手向けかな?」
「そう受け取っていただいて結構ですの。あなたのカードをオープンしても私は勝てると証明してくれますわ」
そう言うとカードを2枚、伏せて置いた。倉田さんも伏せたようだ。




