15 悪魔のプライド
「じゃあ美夢のこと、励まさなくちゃ……」
と走りだそうとする奈々の袖口をまるで猫を掴むように捕まえる。
「ちょっと待って。何する気?」
「だから励ましに――」
「行けませんよ。そのために存在を消したこと忘れてませんか?」
あっと思い出す奈々。その言葉を聞いてほのかも……。
「あんな風に苦しんでる姿を見るのが狙いなんでしょ?さすがは悪魔ね」
皮肉を交えるが……。
「ええ!悪魔ですからねぇ」
にやりとほくそ笑む。
「私たち……何ができるんだろ」
「見守ることしかできないと思いますよ。金子様」
爺は彼女に優しく接した。だが、その爺に対し悪魔は言い放つ。
「まあまだ、何かしら仕出かしそうなのもいますけどねぇ」
「どうゆうことでしょうか?悪魔様」
「まだゲームは折り返しも来ていません。何が起きるか楽しみにしましょう」
楽しそうに語る悪魔に疑問を抱いたのか質問が飛ぶ。
「あんた、やってることが結構めちゃくちゃだからさ、もしかしてもう結果がわかってるの?」
この悪魔は規格外だ。魔法を使い、ゲームに必要な物を出したり進行したり、分身もする。挙句、こんなどこまでも続くと連想すらさせる黒い空間作り、ありとあらゆる異世界人召喚に勝てば望みが叶い放題の力の譲渡。いくらなんでも出来すぎる。
「いいえ。私は知りませんよ。知ることは確かにできますが……」
人差し指をトントンと顎に指で叩く。
「それは私のプライドが許しません」
はっきりと、しかし楽しそうに話す。
「私はですね、全力で潰し合うのが見たいんですよ。人間同士のね!そこに答えを知ることや私がイカサマなんて絶対したくありません。……それに」
首を大きく傾げニコッと笑う。
「人間が自分の考えで相手を潰し、逆に考えるだけ考えたものが潰されて絶望する姿とか……」
ベロリッ。
「堪りませんよねぇ」
不気味に笑った。
要するにこの悪魔はより深い絶望感を与えるために悪魔自身が施すのではなく、人間がやることに意味があるということらしい。
確かに悪魔が不思議な力で与える絶望も恐ろしいが、人間が人間を傷つける……それも恐ろしい。しかもニュースなどを見ればいくらでもあることだ。悲しいことに……。
「…………やっぱ、あんた悪魔だわ」
みんな背筋が凍る。悪魔は悪魔だった――。




