あれって夢だよね⁉︎
夢…なんだよね?
…
目の前に夏実ちゃんが…
夏実ちゃんは、ずっとオレの手を握って…握っててさ…直斗くん…直斗くん…わたしは、ずっと直斗くんのそばにいたかったよってオレの手を頬擦りして…薬指にキスをしたんだ。
夏実ちゃん…夏実ちゃん…
オレは夢で何度も夏実ちゃんを呼んでいた。
そして…
たっぷり寝て、いつのまにかオレは、復活した‼︎
あー、夢でもさ…夏実ちゃんにあんなことしてもらえて嬉しかった。
そうだ‼︎
もう、オレはバーチャル夏実ちゃんとでも付き合おうか⁇なんて開き直りつつあった。
「母さん!お腹空いた‼︎」
「あら、直斗。熱下がったのね。」
母さんは、オレのご飯の支度をしてくれた。
優しいお粥の味を堪能していたら、母さんがいきなり、
「そうそう、直斗。ちゃんと夏実ちゃんにお礼を後で言いなさいよ」
なんて言われた。
⁇
なんのお礼?
…まさか、今まで幼馴染ありがとうって⁈
「えっ…お礼…?」
「そうよ。夏実ちゃん、ずっと直斗のそばから離れなかったんだから」
え?
なんでそんなことに…
「ちょっとオレ夏実ちゃんのとこ行ってくるよ!」
「落ち着きないよ〜。汚いからまずさぁ」
「え?」
き、汚いから?
汚いとは?
心が汚いと⁇
心のドアが壊れると心が汚れてしまうのか?
母さんには、オレの心が汚く見えているのか?
それとも…心が漏れて腐敗臭がするのですか?
「それ食べたら、お風呂入りなさい」
と言われた。
なのでまたスプーンにお粥をのせて口に運んだ。
あぁ、そうだよな。
その汚いか。
たしかに風呂もそうだし、歯も磨いてないな。
これ以上夏実ちゃんに嫌われたくない…ってさ、
ガシャーン カラカラ
オレはスプーンを落としてしまった。
あぁ、お粥がスプーンに乗っていなくてよかった。
誰も乗車していなかったのでお粥さんたち全員ご無事で。
って‼︎
そこじゃないっ‼︎
夢は⁉︎
どこまでが夢なわけ⁉︎
夏実ちゃん…オレに…だって…
えと…
え?
やばい…どこまでが夢?
たしか夏実ちゃん…オレに…
あれって夢?それとも現実⁇
でも、ほかにも野原で八人くらいの夏実ちゃんが楽しそうに踊ってる夢みたし、やっぱりあれも夢なんだろうな。
で、なんで夏実ちゃんは…こんなキモいオレの看病を…
もしかして…オレがずっと夏実ちゃん夏実ちゃんって言ってたから…だよね…きっと…
…またキモ発言。
そして迷惑をかけた…と。
オレはお粥をスプーンに入れてはお皿に戻し、またすくってはお皿に戻した。
お粥は、戻せるのに時間は…戻せない。
…
仕方なくお風呂に入り歯を磨いて夏実ちゃんにお詫びに行こう…。
幼馴染解散したばっかりなのに、また…
夏実ちゃんは、ほんとはオレなんかに会いたくもないし、話したくもないかもしれない。
それなのに、オレが夏実ちゃん夏実ちゃんって連呼したばっかりに…
全く…オレはどうしようもないやつだ。
ところでオレ…熱であんまり覚えてないけど…ほかになにも言ってないよね⁉︎
…ね⁉︎
…いろいろと曖昧だ。
でも、早く夏実ちゃんに謝罪せねば‼︎
続く。




